損害賠償の慰謝料が増額できる可能性があるケース

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事故の原因が加害者の悪質な不注意である場合や、事故後に加害者側が不誠実な態度をとって被害者側に精神的苦痛を与えた場合は、請求できる慰謝料を増額できる可能性があります。

ここではどのようなケースが慰謝料の増額の対象となるのか説明します。

事故の原因が加害者の悪質な不注意

ここでは、明らかに加害者の不注意(過失)が事故の原因である場合を紹介します。比較的慰謝料の増額が認められやすいものであるため、該当する場合は必ず増額を主張しましょう。

加害者がスピード違反をしていた

zogaku_sokudoihanスピード違反は、比較的軽い罪のように思われがちです。しかし、超過速度が一般道で30キロ以上、高速道路で40キロの場合、刑事罰の対象となる重大な違反であり、罰金に加え、懲役が科せられる場合もあります。

スピード違反による死亡事故は、スピード違反でなければ被害者は死亡することはなかったのではないかと、被害者や遺族の悲しみも非常に大きなものになります。そのため、通常の死亡事故よりも、慰謝料の増額が認められる可能性があります。

加害者が居眠り運転をしていた

zougaku_inemuri居眠り運転は、道路交通法において、「過労運転」として処罰の対象となり、懲役および罰金が科せられます。

運転手には車を運転するにあたり、眠気を感じた時点で運転を中止し、疲労回復をするなど、安全運転を心がげる義務があります。それを怠ることは、基本的な義務を怠る重大な過失であるとして、通常の死亡事故よりも、慰謝料の増額が認められる可能性があります。

加害者が飲酒運転をしていた

zougaku_insyu道路交通法第117条の4第3項では、呼気1リットル中0.15ミリグラム以上のアルコールが検出された場合、酒気帯び運転で懲役または罰金と定められています。しかし、飲酒運転による交通事故は後を絶ちません。

飲酒運転による死亡事故は、被害者や遺族の無念も非常に大きなものになりますし、加害者側も言い訳をすることができません。そのため、飲酒運転による事故の被害にあった場合、通常の死亡事故よりも、慰謝料が増額される可能性があります。

酒気帯び運転と酒酔い運転の違い

「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」には、明確な定義の違いがあります。

酒気帯び運転 呼気アルコール濃度が0.15mg以上
酒酔い運転 呼気アルコール濃度に関係なく、酔って正常な運転ができない状態での運転

これらをまとめたものを「飲酒運転」と呼びます。

加害者が無免許運転をしていた

xf1025012215l加害者が無免許運転だった場合、加害者は教習所などで必要な研修を済ませていない、または、免許は取得したものの免許停止や免許取り消し処分を受けていることになります。つまり、運転に必要な技術やマナーが身についていない、あるいは忘れてしまっている人であるということです。

このような運転者は運転は危険であり、道路交通法において懲役または罰金という重い刑罰が科せられます。そのため、裁判においても無免許運転という加害者の悪質さを慰謝料に反映し、通常の死亡事故よりも、慰謝料の増額が認められる可能性があります。

加害者が脇見運転をしていた

zogaku_wakimi近年、スマートフォンを操作しながらの運転による事故の件数が増えています。脇見をしたのが例えほんの一瞬であっても、走行中の車はかなりの距離を進んでしまい、前方の歩行者や自転車などに衝突してしまう恐れがあり、非常に危険な行為です。

そのため、裁判において加害者の悪質な不注意として慰謝料に反映され、通常の死亡事故よりも、増額できる可能性があります。

加害者が信号無視をしていた

zogaku_singo信号無視は道路交通法において、懲役または罰金が科せられるほどの重大な違反です。

死亡事故においても、信号を守っていれば被害者は死亡することはなかったのではないかと、被害者や遺族の悲しみや憤りは計り知れません。そのため、通常の死亡事故よりも、慰謝料の増額が認められる可能性があります。

加害者に未必の故意(殺意)があった

未必の故意とは、実害が出るかもしれないとわかっているにも関わらず、ある行為を行う(もしくは行わない)ことを言います。交通事故の場合は、たとえ殺害する気がなかったとしても、相手がどうなろうと、死亡しようと構わないという殺意が認められる状態を指します。

多くの死亡事故は、上記であげたような「過失」によるものです。過失か故意であるかで、家族を失った遺族の悲しみや怒りに優劣をつけることはできませんが、裁判においては過失か故意であるかは、慰謝料の算定において非常に重要になります。

checkこのように、加害者側に悪質な不注意(過失)があった場合は、慰謝料が増額される可能性がありますが、そのためには、刑事事件を担当した検察庁に問い合わせて刑事記録取り寄せ、それを使って加害者の悪質さを立証しなければばりません。刑事記録上にそのような証拠がない場合は、関係者の陳述書などで立証を行うことになります。

刑事記録の詳細や入手方法はこちら

加害者側の態度や対応が悪いケース

ここでは、加害者側が誠意ある対応をせず、被害者側に精神的苦痛を与えたとして、慰謝料が増額されたケースを紹介します。

被害者を救護せずに加害者が逃走した

zougaku_tuho交通事故が発生した場合、運転者は警察に事故が発生した日時や場所、死傷者・負傷者の数や程度、損壊した物の程度、行った措置などを報告する義務、負傷者がいる時は救護し、道路上の危険を防止する措置をとる義務が法律によって科せられています。

事故直後に加害者がやるべき義務はこちら

加害者が救護せずに逃走したとなれば、被害者側の憤りや悲しみは当然増大することになりますし、加害者が逃走したことで、助かったはずの被害者が死亡する場合もあります。そのため、裁判所は加害者が現場から逃走した場合は、慰謝料の増額を認める傾向にあります。

加害者が証拠を隠滅しようとした

被害者側としては、事故の後はすぐに治療を受け、加害者が潔く責任を認めることを望みます。しかし、加害者が責任を逃れようと事故現場から逃走したり、証拠を隠滅しようとした場合は、被害者や遺族の精神的あるいは身体的苦痛はさらに増大することになりますので、慰謝料の増額が認められる可能性があります。

加害者が事実と異なる主張をした

zogaku_mujun裁判において、加害者は自分の権利を守るために、正当な主張に沿った供述をすることは、当然の権利であり、慰謝料の算定に影響を及ぼすことはありません。

しかし、自分の責任を軽減するために、実況見分調書などの証拠と矛盾する不合理な弁解をすることは、被害者や遺族に対して、苦痛や怒りを増大させ精神的苦痛を与えるため、慰謝料の算定において、大きく影響を及ぼすことになります。

実況見分調書について詳しくはこちら

加害者が被害者に責任を転嫁した

加害者が重大な過失によって事故を起こしたにも関わらず、責任を免れるために、被害者に原因があったような嘘の供述をした場合は、慰謝料が増額される可能性があります。

加害者が被害者側に謝罪をしなかった

zogaku_syazai事故は起きてしまった以上、取り返しのつかないものですが、加害者による心からの謝罪があれば、被害者や遺族の怒りが多少なりとも軽減されます。

しかし、加害者が事故後の対応を完全に保険会社に任せ、被害者側に謝罪の意を示さなければ、被害者や遺族の悲しみや怒りなどの精神的苦痛は増幅することになります。この増幅された精神的苦痛は、慰謝料に反映され、増額に繋がる可能性があります。

加害者が被害者を訴えた

すべての国民には裁判所で裁判を受ける権利があります。そのため、加害者は被害者に対して、自分には交通事故において責任がなく、被害者が被った損害に対して、賠償金を支払わなくても良いのか、あるいは加害者が妥当と考える範囲でのみ賠償金を支払うことに対して確認を求めて提訴することは、特に問題にはなりません。

しかし、加害者側が不誠実な態度をとったり、訴え提訴のタイミングにより、被害者や遺族の精神的苦痛が増大したとあれば、慰謝料が増額される可能性があります。

checkこのように、被害者側に対する加害者側の態度や対応が悪かった場合は、慰謝料が増額される可能性があります。しかし、あくまでも可能性があるというだけで、上記のようなケースに該当していても、慰謝料の増額が認められない事案はいくらでもあります。そのため、いかに加害者側の不誠実な態度が、被害者や遺族に精神的苦痛を与えたかを立証しなければなりません。

その他に慰謝料が増額される可能性があるケース

ここからは、事故が被害者側に特別な影響を及ぼしたりたことで、慰謝料の増額が認められる可能性があるケース、慰謝料を増額することで損害賠償金を調整するケースを紹介します。

事故が原因で被害者が婚約を破棄された

結婚を控えていたにも関わらず、事故に遭ったばかりに被害者が婚約を破棄された場合、婚約相手だった人物に陳述書を書いてもらうなどして、事故により婚約破棄に至ったことを立証できれば、慰謝料の増額が認められる可能性があります。

事故が原因で被害者が離婚した

事故に遭ったために夫婦関係が悪化し、離婚に至った場合は、事故と離婚との間に、合理的な因果関係を明確に立証できれば、慰謝料が増額される可能性があります。

どのように特別な事情を立証すれば良いのか

zogaku_rikonこのように事故によって被害者側が特別な被害を被った場合、その事情を立証するために、客観的な資料が必要となります。

しかし、客観的な資料を用意することができなかった場合は、被害者本人や関係者が経験した事実や思いなどを詳しく記した報告書や、法定における証言などで裁判所に事情を訴えることもできます。

被害者の顔などの露出面に傷が残った

洋服などで隠れる部分に関しては、労働能力に影響を及ぼすとは考えにくいですが、それが顔となると、話が違ってきます。営業職など対面で仕事をする人であれば、外見の変化は少なからず仕事に影響を与えますし、就職活動においても採否に影響があると考えられるためです。

外貌醜状による逸失利益は認められにくい

zogaku_kizu外見の変化は、法律用語で「外貌醜状(他人が見てわかる体・顔の傷跡)」と呼ばれ、男性と女性では扱われ方が異なります。裁判において、外貌醜状による逸失利益の有無や慰謝料の金額は、傷跡の状態や被害者の職業、年齢や性別などを考慮したうえで判断されます。

しかし、顔面の傷跡や変形が仕事に影響を及ぼすかどうかは、それを見た相手の心の問題であり、判断が非常に難しいものとなります。

外貌醜状について詳しくはこちら

逸失利益とはどんな損害賠償なのか

ちなみに、逸失利益とは、事故によって被害者が後遺傷害を負ったこと、あるいは死亡したことで事故前の仕事ができなくなり、収入が減少するために失われる利益をさします。

逸失利益について詳しくはこちら

慰謝料の増額で損害賠償金を調整を図ることもある

過去の裁判例において、被害者の外貌醜状について逸失利益は認められにくいですが、代わりに慰謝料の増額で損害賠償金の調整を図るケースが見られます。

そのため、被害者としては先に外貌醜状による逸失利益を主張し、逸失利益が認められなければ慰謝料の増額を主張するという、二段構えをとる必要があります。

また、将来的に手術が必要になりそうな場合も、まず医師に意見書をもらって将来手術費を主張し、それが認められない場合は慰謝料の増額を主張するようにしましょう。

juuyouたとえ紹介したような慰謝料の増額に値する事情があったとしても、被害者側にも大きな過失があったり、加害者側に誠意ある態度や反省の様子が見られる場合は、慰謝料が増額されない、あるいは慰謝料が減額されるケースがあります。これは、損害賠償が加害者側の事情だけではなく、被害者側の事情も考慮したうえで算定されるものであるためです。

交通事故の示談交渉は弁護士に依頼するべき?

交通事故の被害にあうと、通院中や入院中に保険会社との示談交渉が始まる場合もあり、事故のダメージが残っている中、専門知識もないまま専門家と対峙しなければなりません。

非常にハードルの高い交通事故の示談交渉。弁護士に依頼したらどのようになるのでしょう。交通事故示談アシストでは、実際に交通事故被害にあい、弁護士に依頼した方のインタビューをしました。

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