交通事故の手続で必要な刑事記録と交通事故証明書の入手方法

交通事故被害者

交通事故の被害者が必要な刑事記録の写真

 

 交通事故証明書は自動車安全運転センターで手に入る

 刑事記録で必要なのは「実況見分調書」「供述調書」のふたつ

 二つの刑事記録は事件の大きさによって手に入る時期が変わる

刑事記録の前に交通事故証明書を入手

交通事故後に必要な証明書のイメージ画像

刑事記録を入手するには交通事故証明書が必要になります。そのため、刑事記録の前に交通事故証明書の入手方法を見てみましょう。

事故証明書で事故の扱い方を確認

警察が行う処理には、「物件事故(物損事故)」と「人身事故」の2種類があります。人身事故は犯罪となりますし、自賠責保険の対象となりますが、物件事故は原則として犯罪にはならず、自賠責保険の対象にもなりません

被害が比較的軽い交通事故では、事故の当事者(ほとんどの場合は被害者)の申し出により、物件事故として処理される可能性があります。そこで、事故が警察でどのような扱いとなっているか交通事故証明書で確認する必要があります。

りんね
なるほどー。人身事故にしてしまうと相手は犯罪者になってしまって捕まってしまうんだね。だからみんな人身事故にするのを嫌がるんだ。
アシスト爺ちゃん
そうじゃな。だが、交通事故は立派な犯罪じゃ。相手ではなく自分を最優先にするべきじゃよ。

人身事故への切り替えは迅速に行うこと

josei_2物件事故の扱いですと警察ではケガ人が出なかったという認識になるため、後日に後遺症が発生しても、治療費などの損害賠償が受けられない可能性があります

そのため、人身事故であるのに物件事故の扱いになっている場合は、医師の診断書を持って、警察で人身事故への切り替えを申請しましょう。その際、事故からあまり時間が経たないよう、迅速に行動するようにしましょう。

事故証明書の入手方法

交通事故証明書は、自動車安全運転センターに申し込みをして入手することになります。その申し込みは、下記の3つの方法があります。

1 郵便振替による申し込み
最寄りの郵便局に郵便振替用紙と手数料を提出(手数料は1通あたり540円)
2 直接窓口による申し込み
全国にある自動車安全運転センター事務所の窓口に窓口申請用紙と手数料を提出
3 自動車安全運転センターのホームページ経由の申し込み
自動車安全運転センターの公式ホームページで申請

申し込みをしたとき、交通事故の資料が警察署から届いていれば即日交付してもらえますが、届いていない場合は、申請者の住所または希望宛先へ後日郵送されることになります。

アシスト爺ちゃん
とまぁ、このような感じで交通事故証明書が必要なんじゃよ。少々面倒な流れなんじゃが。
りんね
おじーちゃーん!もうちょっとわかりやすく教えて!
アシスト爺ちゃん
やれやれ……警察が事故の内容をまとめたものが刑事記録。その記録は交通事故証明書がなければ手に入らない。交通事故証明書は自動車安全運転センターにいけばもらえるんじゃ。
りんね
刑事記録がないと事故の手続きができないんだっけ?
アシスト爺ちゃん
というか、事故後の示談交渉に必要なんじゃ。警察は事故について中立な立場で見ている大きな存在だからのう。

交通事故の手続きにおいて必要な刑事記録

交通事故の記録をとる警察官のイメージ画像

刑事記録は、あくまで加害者に対する刑事裁判のために作成されるものなので、加害者に対して損害賠償請求を行うためには、刑事記録の全てが必要というわけではありません。

ここで必ず必要になるのは、事故状況を客観的に証明するための「実況見分調書と、当事者や目撃者の供述内容が記載されている「供述調書、この2つです。それぞれどのような調書なのか詳しく見てみましょう。

実況見分調書……事故発生直後の現場を警察官がまとめたもの

供述調書……交通事故の当事者同士や第三者の言い分をまとめたもの

実況見分調書

事故発生直後の現場の様子を警察官がまとめたものです事故発生日時、現場や道路の状況、衝突地点などが記録され、事故現場の写真や見取り図も貼付されています。

この実況見分調書は、被害者のケガの程度や事故の悪質性などに応じて以下のように種類が分けられます。

基本書式 死亡事故または被害者のケガの程度が全治3か月を超える重傷の場合
特例二号書式 被害者のケガの程度が全治1か月を超える場合
特例書式 被害者のケガの程度が全治1か月以下の場合
簡約特例書式 被害者のケガの程度が全治2週間以下の場合

供述調書

交通事故の当事者(被害者・加害者・遺族)や目撃者の言い分をまとめたものです。被害者と加害者の言い分が対立している場合、第三者である目撃者の供述調書は決定的な証拠となる可能性があります。

しかし、加害者と被害者の供述調書は必ず存在するものの、現場の目撃者の供述調書が必ずしも存在するとは限りません。それは、目撃者が存在しない場合や、目撃者が警察の取調べを受けていない場合があるためです。

訴訟提起をする場合は文書送付嘱託を行う

訴訟提起を行う場合、その訴訟手続きにおいて「文書送付嘱託」という手続きを行います。

文書送付嘱託において供述調書は必要不可欠な証拠です。その為、下記の場合において検察庁が、民事裁判が行われている裁判所に供述調書を送付する形で、開示を受けることが可能になります。

  • 供述をした人が死亡したりして証拠以外では証明が困難
  • プライバシー侵害の恐れがない等の条件が満たされ検察官が開示可能と判断

Q:文書送付嘱託とは何でしょうか?

A:文書送付嘱託(ぶんしょそうふしょくたく)とは、裁判になった際、裁判所の命令で証拠を持っている所持者に対して証拠を提出してもらう方法の一つです。 ちなみに「嘱託」とはある行為を頼んで任せることを意味します。

目撃者の供述調書が存在するか不明な場合

目撃者がいたのか思い出せない被害者のイメージ写真目撃者の供述調書が存在するか不透明な場合は、存在の有無の回答、存在すれば送付を求める文書送付嘱託の手続きを行います。

しかし、この手続きを個人で行うのは非常に難しいです。そのため、専門家に依頼する方が良いでしょう。なお、弁護士であれば、弁護士法23条の2の照合という特別な証拠収集方法があります。

刑事記録の入手前に刑事処分の段階を確認

交通事故後に必要な事柄のチェックイメージ画像

刑事記録は、刑事事件がどの段階にあるかで、入手方法が異なります。そのため、刑事記録を入手する前に、刑事処分の段階・結果を確認しましょう。

加害者の刑事処分を決めるのは、最終的には検察官になります。そのため、事件の管轄検察庁をたどっていけば、その検察庁から処分の結果を聞くことができます。

事件が検察庁に送られたかどうか・検番を確認

刑事記録がある検察庁の写真まず、交通事故証明書に書かれている警察署に電話をし、交通事故の内容と被害者であるあなたの名前を伝え、事件が検察庁に送られたかどうかを確認します。(正式名称は「検察官送致」ですが一般的には「送検」などと呼ばれます)

事件が検察庁に送られていた場合は、その検察庁の場所と、検察庁で事件を管理するためにつける番号である「検番」を聞きます。事件が検察庁に送られていない場合は、検察庁に送られる時に連絡してもらえるよう担当の警察官に依頼しましょう。

検番をもとに検察庁に結果を確認

事件が送られた検察庁に電話をし、被害者として加害者の刑事処分の結果を知りたいことや、加害者の氏名と検番を伝えて担当の検察官につないでもらい、起訴か不起訴かを確認します。

起訴であれば裁判が確定しているか、確定していたら刑事処分の結果も聞きましょう。裁判がまだ確定していない場合は、刑事処分結果の通知の希望を伝えておくと良いです。

刑事記録の入手方法

刑事記録を手に入れる段階のイメージ画像

前項で説明した通り、刑事記録は、刑事事件がどの段階にあるかで、取得方法が異なります。それぞれの段階ごとに見てみましょう。

捜査段階

刑事裁判が始まるまでは非公開のため、入手することはできません

不起訴処分後

実況見分調書のみ検察庁で閲覧謄写を申請することが可能です。
「閲覧」とは、検察庁から持ち出したり、コピーしたりせずに記録を見ることを言います。一方で、「謄写」費用を支払いコピーをもらうことを言います。

実況見分調書の閲覧謄写

実況見分調書の閲覧謄写は、郵送の受け付けはなく、事件が送られた検察庁に直接行く必要があります。ちなみに、謄写の場合ですと当日にはもらえず、後日に改めて検察庁に受け取りに行くことになりますので、余裕をもって申し込みをするようにしましょう。

また、検察庁に行く前に、電話で受け付け可能な日時や持ち物(交通事故証明書や身分証明書など)を確認するようにしましょう。

刑事裁判中

刑事記録がある裁判所の写真被害者およびその遺族や代理人弁護士は、刑事裁判が行われている裁判所に対し、実況見分調書と供述調書の謄写申請をすることができます。しかし、裁判所が刑事裁判に関わる検察庁、加害者、弁護士の意見を聞き、閲覧謄写をさせる必要がないと判断する場合もあります

謄写申請は、裁判所の閲覧係に備えてある申請書に必要事項を記入し、手数料(収入印紙で150円程度)を支払います。ちなみに、この段階でも民事訴訟を提起する場合は、文書送付嘱託の手続きをとることができますが、文書の所有者は、あくまで裁判所です

刑事裁判の確定後

実況見分調書と供述調書に加え、判決文などの刑事記録の閲覧謄写検察庁ですることができます。

不起訴処分の場合とほとんど同じ方法

まず検番を調べ、検察庁に電話で閲覧申請が可能な記録であるか確認します。閲覧申請が可能であれば、交通事故証明書などの書類を持って検察庁に行き、記録担当に閲覧申請をすることになります。

その申請後2~3週間で閲覧が可能がどうかの判断が下され、記録担当より連絡がきます。ここまでは不起訴処分の場合と同じですが、閲覧に行き、謄写が必要な部分について、別途謄写の申請を行うところは不起訴処分の場合と異なります。

不起訴処分と異なる部分

謄写申請を行った場合、その後2~3日で検察庁より連絡があり、謄写を求めた部分の謄写費用を持参し、謄写を行うことになります。なお、この段階でも民事訴訟を提起する場合は、文書送付嘱託の手続きを行うことができますが、あくまで文書の所有者は検察庁です

  捜査段階 不起訴処分 刑事裁判中 刑事裁判後
実況見分調書 ×
供述調書 × ×
閲覧謄写ができる場所 ―― 検察庁 裁判所 検察庁

刑事記録の保管期間

刑事記録を保管している場所の写真

起訴された場合は、刑の重さによって刑事記録の保管期間が異なります。なお、不起訴処分の場合は、1年で破棄されてしまう場合もありますので、なるべく早めに取り寄せるようにしましょう。

刑の重さ 保管期限
5年以上10年未満の懲役または禁固に処する裁判 10年間
5年未満の懲役または禁固に処する裁判 5年間
罰金に処する裁判 3年間

交通事故証明書と刑事記録は入手経路が違うため注意

交通事故後どうすればいいのか悩む被害者のイメージ画像

交通事故の被害者になってしまったら、まずほしいのは交通事故証明書と刑事記録(供述調書と実況見分調書)の二種類。こちらはそれぞれ手に入る時期も場所も違うため、注意が必要です。

特に刑事記録は事件のタイミングによって変わって来るため、記録を手に入れる際にはどこで閲覧謄写できるのか確認しておくのも大切です。

  交通事故証明書 刑事記録
入手可能時期 事故直後 事件の段階による
取得場所 自動車安全運転センター 検察庁・裁判所
手数料 540円 150円(閲覧のみ)
※謄写費用はまちまち

また、こういった書類を集める事や役所関連が苦手でたまらない人は、最初の時点で専門家である弁護士に依頼してしまうのも一つの手ですよ。

交通事故の被害者になったら、事故からなるべく早い段階で弁護士への依頼がおすすめです!

交通事故で被害に遭い怪我を負った場合、保険会社との示談交渉を弁護士に依頼することによって、治療費や慰謝料などの示談金を増額できるケースがあります。損害賠償の交渉を行う場合のほとんどは、相手は示談交渉において知識がある担当者です。保険会社側の担当者は被害者の味方ではありません。被害にあったら弁護士に依頼をすることで、示談交渉に臨むことをおすすめします。初回相談が0円の弁護士事務所もありますので、示談交渉に不安を感じたらまずは相談してみましょう。

【交通事故の被害に関する示談交渉を弁護士に依頼するメリット】

・専門知識が必要な示談交渉を弁護士に任せることにより、有利かつスムーズに示談交渉を進められる。
・相手方に請求する示談金を増額させることができる。
・通院中や入院中など、交通事故のダメージが残っているときでも、示談交渉を任せられるため、治療に専念できる。

↓  ↓  ↓

関連する記事一覧

弁護士に相談する被害者のイメージ画像

交通事故の被害者のための基礎知識

このページでは交通事故の被害者になられた方へ、必要な知識をご紹介しています。被害者になったら解決に向けて知っておきたい、保険の種類、過失割合、休業損害、加害者側の情報について、ご紹介をしています。続きを読む

交通事故の被害者が救急車で搬送されるイメージ写真

事故後に被害者が必要な対応とは?

交通事故は、いつ自分が被害に遭うか分かりません。もし、自分が交通事故に遭ってしまった場合、自分がその場でできる対応によって、事故処理やその後の交渉をスムーズに進めることができます。事故の大きさによって異なりますが、交通事故に遭ってしまった際は、可能な限り以下の事項を確認するようにしましょう。続きを読む

被害者として必要な警察への対応

交通事故の当事者になった場合、被害者/加害者・物損事故/人身事故に関係なく必ず警察へ届出をする必要があります。警察への届出は法律上の義務であるだけでなく、保険金を請求するうえで必須となる交通事故証明書を交付するためにも必要です。続きを読む

被害者として必要な検察官への対応

検察官とは、加害者を起訴または不起訴にするかを決定する非常に重要な役割を担っている存在です。ここでは、その検察官が交通事故の手続きにおいてどのような立場であるか、被害者として検察官に対して必要な対応を説明します。続きを読む

被害者が使うことができる保険について

治療費や示談金は加害者が加入している保険会社から支払われるものですが、被害者に落ち度(過失)がある場合や被害者が任意保険に加入していない場合は、損害額の全てを加害者に支払ってもらうことはできません。続きを読む

シェアする