交通事故の手続で必要な刑事記録と入手方法

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交通事故の被害者として、刑事記録をできるだけ早く取得することは非常に重要です。なぜなら、刑事記録は警察という利害関係のない第三者が職業的正確性を持って作成する、非常に高い信用性を持った書類だからです。

ここでは、その刑事記録の入手方法とその注意点を紹介します。

刑事記録を入手するために必要な交通事故証明書

刑事記録を入手するには交通事故証明書が必要になります。そのため、刑事記録の前に交通事故証明書の入手方法を見てみましょう。

交通事故証明書で事故の扱い方を確認しよう

警察が行う処理には、「物件事故(物損事故)」と「人身事故」の2種類があります。人身事故は犯罪となりますし、自賠責保険の対象となりますが、物件事故は原則として犯罪にはならず、自賠責保険の対象にもなりません。

被害が比較的軽い交通事故では、事故の当事者の申し出により(ほとんどの場合が加害者)、物件事故として処理されてしまう可能性があります。そこで、事故が警察でどのような扱いとなっているか交通事故証明書で確認する必要があります。

人身事故への切り替えは迅速に行うこと

josei_2物件事故の扱いの場合、警察ではケガ人が出なかったという認識になりますので、後日に後遺症が発生しても、治療費などの損害賠償が受けられない可能性があります。

そのため、人身事故にも関わらず、物件事故の扱いになっている場合は、医師の警察に診断書を持って、人身事故への切り替えを申請しましょう。その際、事故からあまり時間が経たないよう、迅速に行動するようにしましょう。

交通事故証明書の入手方法

交通事故証明書は、自動車安全運転センターに申し込みをして入手することになります。その申し込みは、下記の3つの方法があります。

・郵便振替による申し込み
・直接窓口による申し込み
・自動車安全運転センターのホームページ経由の申し込み

郵便振替による申し込みは、最寄りの郵便局に、必要事項を記入した郵便振替用紙と手数料を提出します。この手数料は1通あたり540円になります。
直接窓口による申し込みは、全国各地にある自動車安全運転センター事務所の窓口に、必要事項を記入した窓口申請用紙と手数料を提出します。

自動車安全運転センターのホームページはこちら

申し込みをした際、交通事故の資料が警察署から届いていれば、即日交付してもらえますが、届いていない場合は、申請者の住所または希望宛先へ後日郵送されることになります。

交通事故の手続きにおいて必要な刑事記録

刑事記録は、あくまで加害者に対する刑事裁判のために作成されるものなので、加害者に対して損害賠償請求を行うためには、刑事記録の全てが必要というわけではありません。

ここで必ず必要になるのは、事故状況を客観的に証明するための「実況見分調書」と、当事者や目撃者の供述内容が記載されている「供述調書」、この2つです。それぞれどのような調書なのか詳しく見てみましょう。

実況見分調書

事故発生直後の現場の様子を警察官がまとめたものです。事故発生日時、現場や道路の状況、衝突地点などが記録され、事故現場の写真や見取り図も貼付されています。

ちなみに、この実況見分調書ですが、被害者のケガの程度や事故の悪質性などに応じ、以下のように種類が分けられます。

    基本書式  死亡事故または被害者のケガの程度が全治3か月を超える重傷の場合 
 特例二号書式   被害者のケガの程度が全治1か月を超える場合
    特例書式  被害者のケガの程度が全治1か月以下の場合
 簡約特例書式   被害者のケガの程度が全治2週間以下の場合

供述調書

交通事故の当事者(被害者・加害者・遺族)や目撃者の言い分をまとめたものです。

加害者と被害者の供述調書は必ず存在するものの、現場の目撃者の供述調書が必ずしも存在するとは限りません。それは、目撃者が存在しない場合や、目撃者が存在していても警察の取調べを受けていない場合があるためです。

しかし、被害者と加害者の言い分が対立している場合、第三者である目撃者の供述調書は決定的な証拠になり得ます。

訴訟提起をする場合は文書送付嘱託を行う

訴訟提起を行う場合、その訴訟手続きにおいて「文書送付嘱託」という手続きを行います。その手続きの中で、供述調書が訴訟に必要不可欠な証拠であり、供述をした人が死亡したりしてその証拠以外では証明が困難であり、プライバシー侵害の恐れがないなどの条件が満たされ、検察官が開示可能と判断した場合、検察庁が民事裁判が行われている裁判所に供述調書を送付する形で、開示を受けることが可能になります。

目撃者の供述調書が存在するのかわからない場合は?

目撃者の供述調書が存在するか不透明な場合は、存在の有無の回答、存在すれば送付を求める文書送付嘱託の手続きを行います。

しかし、この手続きを個人で行うのは非常に難しいです。そのため、専門家に依頼する方が良いでしょう。なお、弁護士であれば、弁護士法23条の2の照合という特別な証拠収集方法があります。

刑事記録を入手する前に刑事処分の結果を確認

刑事記録は、刑事事件がどの段階にあるかで、入手方法が異なります。そのため、刑事記録を入手する前に、刑事処分の段階・結果を確認しましょう。

加害者の刑事処分の段階・結果を知る方法

加害者の刑事処分を決めるのは、最終的には検察官になります。そのため、事件の管轄検察庁をたどっていけば、その検察庁から処分の結果を聞くことができます。

1.事件が検察庁に送られたかどうかと検番を確認

kensatutyoまず、交通事故証明書に書かれている警察署に電話をし、交通事故の内容と被害者であるあなたの名前を伝え、事件が検察庁に送られたかどうかを確認します。(正式な名称は「検察官送致」ですが、一般的には「送検」などと呼ばれます)

事件が検察庁に送られていた場合は、その検察庁の場所と、検察庁で事件を管理するためにつける番号である「検番」を聞きます。事件が検察庁に送られていない場合は、検察庁に送られる時に連絡してもらえるように、担当の警察官に依頼するようにしましょう。

2.検番をもとに検察庁に処分の結果を確認

次に、事件が送られた検察庁に電話をし、被害者として加害者の刑事処分の結果を知りたいこと、加害者の氏名と検番を伝え、担当の検察官につないでもらい、起訴か不起訴かを確認します。

起訴であれば裁判が確定しているかも聞き、確定していたら刑事処分の結果も教えてもらいましょう。裁判がまだ確定していない場合は、刑事処分結果の通知の希望を伝えておくようにしましょう。

交通事故の手続きにおいて必要な刑事記録の入手方法

前項で説明した通り、刑事記録は、刑事事件がどの段階にあるかで、取得方法が異なります。それぞれの段階ごとに見てみましょう。

捜査段階の刑事記録の入手方法

刑事裁判が始まるまでは非公開のため、入手することはできません。

加害者の不起訴処分後の刑事記録の入手方法

実況見分調書のみ検察庁で閲覧謄写を申請することが可能です。
「閲覧」とは、検察庁から持ち出したり、コピーしたりせずに記録を見ることを言います。一方で、「謄写」は費用を支払いコピーをもらうことを言います。

実況見分調書の閲覧謄写

実況見分調書の閲覧謄写は、郵送の受け付けはなく、事件が送られた検察庁に直接行く必要があります。ちなみに、謄写の場合ですと当日にはもらえず、後日に改めて検察庁に受け取りに行くことになりますので、余裕をもって申し込みをするようにしましょう。

また、検察庁に行く前に、電話で受け付け可能な日時や持ち物などを確認するようにしましょう。基本的に、交通事故証明書や身分証明書が必要になります。

どの検察庁に行けば良いかわからない場合は?

事件が送られた検察庁がわからない場合は、事故証明書を作成した警察署に問い合わせましょう。その際、送致番号を一緒に聞くと手続きがスムーズになります。

加害者が刑事裁判中の刑事記録の入手方法

saibansyo被害者およびその遺族や代理人弁護士は、刑事裁判が行われている裁判所に対し、実況見分調書のほか、供述調書の謄写申請をすることができます。しかし、裁判所が刑事裁判に関わる検察庁、加害者、弁護士の意見を聞き、閲覧謄写をさせる必要がないと判断する場合もあります。

謄写申請は、裁判所の閲覧係に備えてある申請書に、必要事項を記入して行います。手数料は、収入印紙で150円程度になります。ちなみに、この段階でも民事訴訟を提起する場合は、文書送付嘱託の手続きをとることができますが、文書の所有者は、あくまで裁判所になります。

加害者の刑事裁判が確定した後の刑事記録の入手方法

実況見分調書と供述調書に加え、判決文などの刑事記録の閲覧謄写を検察庁ですることができます。

不起訴処分の場合とほとんど同じ方法

まず検番を調べ、検察庁に電話でその検番を伝え、閲覧申請が可能な記録であるか確認します。閲覧申請が可能であれば、交通事故証明書などの書類を持って検察庁に行き、記録担当に閲覧申請をすることになります。

その申請後2~3週間で閲覧が可能がどうかの判断が下され、記録担当より連絡がきます。ここまでは不起訴処分の場合と同じですが、閲覧に行き、謄写が必要な部分について、別途謄写の申請を行うところは不起訴処分の場合と異なります。

不起訴処分と異なる部分

謄写申請を行った場合、その後2~3日で検察庁より連絡があり、謄写を求めた部分の謄写費用を持参し、謄写を行うことになります。なお、この段階でも民事訴訟を提起する場合は、文書送付嘱託の手続きを行うことができます。しかし、あくまで文書の所有者は検察庁になります。

交通事故の手続きにおいて必要な刑事記録の保管期間

起訴された場合は、刑の重さによって刑事記録の保管期間が異なります。

刑の重さ  保管期間 
 5年以上10年未満の懲役または禁固に処する裁判の記録    10年間 
      5年未満の懲役または禁固に処する裁判の記録    5年間
                    罰金に処する裁判の記録    3年間

不起訴処分の場合は、1年で破棄されてしまう場合もありますので、なるべく早めに取り寄せるようにしましょう。

交通事故の示談交渉は弁護士に依頼するべき?

交通事故の被害にあうと、通院中や入院中に保険会社との示談交渉が始まる場合もあり、事故のダメージが残っている中、専門知識もないまま専門家と対峙しなければなりません。

非常にハードルの高い交通事故の示談交渉。弁護士に依頼したらどのようになるのでしょう。交通事故示談アシストでは、実際に交通事故被害にあい、弁護士に依頼した方のインタビューをしました。

どのタイミングで弁護士に依頼したのか?、依頼するメリットとデメリットは?、弁護士費用はどの程度掛ったのか?など、気になる事をズバリお答え頂きました。

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