交通事故に遭う事は予測がつかない事が多い為、いきなり被害に遭うことも珍しくありません。突然の出来事に、冷静な対処ができる人は多くないでしょう。
このページでは交通事故の被害者となった時に、事故直後からどうすれば良いのか説明しています。
目次
交通事故にあった後に被害者がとるべき5つの対応
交通事故に遭った被害者が最終的に損害賠償金を受け取るまでには、下記の対応をとっていく必要があります。
①警察への通報
交通事故に遭った後は必ず警察に通報をしましょう。
基本的に通報は加害者の義務になりますが、加害者が動転している可能性も高い為、被害者が行う事が多いです。
また、加害者の住所・連絡先・車両ナンバーと車の所有者・保険会社の情報は事故現場で必ず手に入れておきましょう。
②病院での治療
警察に連絡した後はすぐに病院に行きましょう。どんなに遅くても1週間以内に向かってください。最初に検査を受けることで事故直後の怪我の容態を第三者に明確に示すことができます。
また、最初から整骨院で治療を行っていると、医師が怪我の様子が分からず診断書を書くことができない為、後遺障害等級の認定が不合格になる可能性が高いです。他にも保険会社によっては整骨院での治療を治療費として認めない場合がある為注意が必要です。
③怪我を完治させる もしくは症状固定の判断を受ける
治療を続けて怪我が完治したと医師から伝えられると、次に被害者は損害賠償金の示談の準備に入ります。
逆に、怪我の治療の為にある程度通院しても怪我が治らない場合、保険会社より被害者宛てに症状固定にしないかという連絡が入ってくるケースが多くみられます。
もし保険会社より症状固定についての連絡が来た場合はその場で答えを返さずに、主治医と症状固定にするかどうか話し合いましょう。
その上で被害者と医師が怪我の通院治療を必要だとした場合は、主治医に「まだ怪我が治っていないので、通院治療が必要である」という意見書を作ってもらいます。意見書を保険会社に提出することで、治療費の請求が可能です。
④症状固定の場合は後遺障害等級の申請を行う
治らなかった怪我を症状固定にした後の被害者がすることは、後遺障害等級の申請です。後遺障害等級に認定されれば逸失利益や慰謝料が損害賠償金にプラスされます。
後遺障害等級の申請には医師の診断書が必須になります。整骨院では診断書が書けない為、要注意です。
⑤示談の準備ができたら加害者側と示談交渉
後遺障害等級の結果は、保険会社(※)宛に書類を投函してから1か月~2ヶ月後に被害者宛てに通知が郵送されます。
※後遺障害等級申請の申請先は申請方法によって変化する※ | |
---|---|
事前認定 | 加害者側の任意保険会社 |
被害者請求 | 加害者側の自賠責保険会社 |
そののちに加害者側の保険会社より後遺障害等級の損害も含めて算定された損害賠償金の示談書が被害者宛てに届きます。
このとき送られてくる示談書の金額の殆どは一番低い基準で算定されている為、思っていたよりも低いと感じる人が殆どでしょう。
金額の増額を求めてただ示談を行っても意味がありません。保険会社より提示された示談金を増額するには相手を納得させるだけの資料を集める必要があります。
被害者が示談交渉に向けて知っておきたい5つのポイント
交通事故に遭ってしまった被害者の悩みに多いのは「事故後の対応方法」「保険や後遺障害の手続きの方法・流れ」「保険金はきちんと支払われるのかわからない」の3つといえます。
そこで交通事故が発生してからの被害者がとるべき対応や、保険金の支払われ方や、書類の手続き方法、これさえ抑えておけば間違いないポイントをまとめました。
ポイント1 警察からの事情聴取の際の心得を知っておく
もし交通事故が人身事故になった場合、刑事事件として扱われるため、被害者は警察署でいわゆる「事情聴取」を受けます。
この事情聴取で聞き取られた情報は「被害者供述調書」と呼ばれ、過失割合や損害賠償金などを決める示談においてとても重要な書類となります。
また、被害者が警察に意見を話す機会は基本的にこの時だけですので
下記内容を心得ておくと良いでしょう。
●警察の事情聴取における被害者の鉄則4点●
①事故の真実だけを話す
②知らなければ知らないと素直に伝える
③事故の証拠(写真やドライブレコーダー)は積極的に提出する
④加害者への同情からくる事実の黙秘や遠慮はダメ
また注意点とし、被害者供述調書は一度署名捺印してしまうと修正や追記ができません。その為、署名をする前に書類の内容に不備がないか、自分の話したことと書類の中身が間違っていないか確認しましょう。詳細はこちらの記事でも紹介しています。
ポイント2 治療は整骨院よりも病院がおすすめ
交通事故に遭い、現場の対応を終えた被害者が次にするべき行動は「病院に行く」事です。これといった目立った怪我がなく痛みを感じていなくても、一度病院の診察を受ける事が重要です。
また「病院ではなく整骨院でよいのでは」と考える被害者がいますが、これは間違いです。
何故なら整骨院では保険金や後遺障害等級の申請に必要な「診断書」を作成することができません。
このため、もし整骨院だけ通院していた被害者が診断書を作成してもらおうと病院に行っても、医師は事故直後の被害者の怪我の状態が分からない為、診断書が作れません。
その為後遺障害等級の申請をするときに書類不足となり被害者は認定されない事が殆どです。また示談においても医師の診断書がないことは結果として不利に繋がります。
被害者が事故後すぐに病院に向かうべき2つの理由
理由①事故後は興奮状態で判断力が低下していて痛みを感じにくい▶▶▶気づいたら骨折している可能性もあるので注意! 事故の直後の人間の脳は酷い興奮状態にあり、痛みを感じていない事が多いからです。特に交通事故の怪我の7割を占めるむちうちは数日後に症状が現れるケースが多くあります。 |
理由②事故から日数が経った後に受診しても「この怪我は本当に事故でできたもの?」と疑われるケースがある▶▶▶結果として保険会社が治療費の負担を拒否する可能性がある |
無用なトラブルを防ぐ為にも、事故に遭った被害者は当日か翌日には病院で診察を受けるのがおすすめです。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
ポイント3 重傷で動けない場合や死亡した場合の対応方法を知っておく
交通事故に遭った被害者が死亡、あるいは被害者の怪我が重傷で全く動けない場合の示談の交渉や書類請求は、主に相続人(※被害者の家族)や委任状を受けた第三者が行います。
被害者が死亡した場合の、被害者側が加害者に請求できる慰謝料の金額や賠償の内容は予め決められています。
●被害者が死亡した事故で被害者側が加害者に請求できるもの● | |
---|---|
葬儀に関する費用 | 150万円が相場(自賠責基準だと最大100万円) →火葬代・通夜代・葬儀業者代・お布施代・四十九日祭などの法要費 |
死亡逸失利益 | 被害者が死亡した為、これから貰うはずだったけど貰えない金額 |
死亡慰謝料 | 死亡した被害者や残された遺族に対する精神的苦痛に対する賠償金 →金額は最初から統一されているがどの基準で計算されたかによって大きく変化する |
死亡慰謝料は自賠責基準・任意保険基準・裁判基準(弁護士基準)のどれで計算されたかによって、金額の次の選択が変化します。
例えば、自賠責基準なら被害者と遺族の人数で金額が確定しますが、裁判基準は被害者が家庭においてどのような立場だったかによって金額が決まるので知っておきましょう。
詳しくは下記の記事で紹介しています。
ポイント4 症状固定になったら後遺障害等級の申請を行う
交通事故で受けた怪我を治療するために通院して数ヶ月が経過すると保険会社側から「怪我を症状固定にしないか」といわれる場合があります。
症状固定とは? |
---|
怪我の治療を行っても現状以上の回復が見込まれない状態の事。 |
保険会社が被害者を症状固定にしたがる理由
これは保険会社側から見て、被害者の通院期間が長くなればなるほど支払う治療費が増えてしまうという理由があるためです。症状固定にできれば、これ以上治療する必要がなくなり、保険会社は治療費を打ち切る理由を得てしまうのです。
被害者が保険会社から症状固定にしないか提案を受けた際は、すぐに返事をせず、担当の医師と相談をするようにしましょう。
そもそも症状固定にするかどうかは医師と被害者側で決めるものだからです。
後遺障害等級の申請方法
★方法1 | 被害者請求 | 被害者自身が申請手続きを行う |
★方法2 | 事前認定 | 加害者側の保険会社に申請手続きを代行してもらう |
被害者の後遺障害等級の申請方法は事前認定と被害者請求の二つの方法があります。事前認定と被害者請求、それぞれの方法について申請から示談交渉までの流れをまとめた図は下記のようになります。
事前認定と被害者請求、のメリットデメリットについては下記の記事にて詳しく紹介してます。
ポイント5 示談が不成立の場合は調停や訴訟を行えるようにしておく
被害者が保険会社と示談を行っても互いに折れることなく納得しない場合は、示談ではなく別の手段による解決方法に移動します。
示談以外の解決方法は主に3つあり、ADR(裁判外紛争解決手段)機関による解決か、調停による和解か、訴訟による判決のどれかになります。
それぞれの内容を下記にて説明します。
●ADR | 専門の和解斡旋機関が仲介に入って、当事者双方の主張を聞き、折衷案を提示する。 |
●調停 | 調停委員と裁判員が当事者の間に入って話し合いを進める。ADRと違い、裁判所が絡んでくる。 |
●訴訟 | 裁判所に損害賠償の訴訟を提起する。民事裁判と刑事裁判の二つがあるが、損害賠償の訴訟は民事裁判に属する。 |
状況に応じて適切な解決方法を選ぶようにしましょう。
調停や訴訟を有利に進めるには弁護士への依頼がおすすめ
訴訟や調停になると、裁判員が介入してくるため、当事者である被害者はより専門的な知識が必要になります。
特に訴訟レベルになると書類や手続き一つとっても専門用語が飛び交う事になる為、専門家である弁護士に依頼するべきでしょう。
しかし弁護士側でも得意不得意の分野が存在します。もし交通事故の対応を弁護士にお願いするのであれば、下記の条件を満たす弁護士に任せるのがおすすめです。詳しいことは下記の記事に記載しています。
●おすすめの弁護士事務所の選び方● |
---|
・事務所が自分の家からストレスなく通える範囲内にある(30分以内がおすすめ) ・交通事故の解決実績、慰謝料の増額実績がある ・保険会社側との交渉実績が豊富にある ・実際に相談をして「この人の説明は聞いていてわかりやすいな」「信頼できる」と思った弁護士がいる |
交通事故の被害者に関するよくある質問と答え
1 むちうちの慰謝料相場はどのくらい?
むちうち症と診断されて半年通院した後、14級9号の後遺障害に認定された被害者が弁護士に依頼した場合の慰謝料の相場は、半年分の通院慰謝料116万円と14級の後遺障害慰謝料110万円の計226万円なんじゃ。自身のケースにおける慰謝料の相場を弁護士に見積もってもらうと良いじゃろう。
2 物損事故と人身事故における保険料や慰謝料の違いは?
「結論から言えば、物損事故と人身事故ではもらえるお金がかなり違うんじゃ。まず原則として物損事故で慰謝料は請求できん。これは、物損事故が怪我をした人がおらず自動車など物のみが破損した場合の事故で、人身事故が怪我人や死亡者が出た事故として処理されるからじゃ。
大まかにとらえると、物損事故だと修理費や破損したものの金額で、人身事故だと怪我の治療費や慰謝料が中心になるんじゃよ。」
3 交通事故の保険の請求方法は?
アシスト爺ちゃん「物損事故で、加害者が加入している保険が自賠責保険のみの場合は、加害者側の保険が使えない為、被害者自身の保険を利用するしかないんじゃ。何故なら自賠責保険は人が死傷した場合に治療費などを補うための保険で、車の修理代など物損については補償外だからのう。もしくは、加害者に直接に裁判で払うよう求めるしかない。」
4 自賠責保険は誰が支払うの?
被害者の治療費が自賠責保険の限度額を超えた場合、加害者が任意保険に入っていれば任意保険がその分を支払ってくれるんじゃ。必要かつ妥当な金額であれば任意保険会社に治療費を請求でき、実際には通院開始から任意保険会社が立て替えてくれているケースも多くあるんじゃよ。
5 被害者の過失割合は変わるのか?
保険会社が被害者の法的知識の疎さにつけ込んで誤った過失割合を主張しているときには、弁護士に依頼することで正しい過失割合に正されるんじゃ。
また、弁護士に依頼することで事故現場を改めて検証して、警察の実況見分でも把握できなかった事情が判明し、過失割合が修正されることもあるんじゃ。
このため、弁護士に依頼することで過失割合が変わる可能性はあるんじゃ。ただし、すべてのケースにおいて過失割合が変わるわけではないことに注意しておくんじゃな。
交通事故の被害者の体験談を見る
交通事故の被害者になったら、事故からなるべく早い段階で弁護士への依頼がおすすめ
交通事故で被害に遭い怪我を負った場合、保険会社との示談交渉を弁護士に依頼することによって、治療費や慰謝料などの示談金を増額できるケースがあります。
損害賠償の交渉を行う場合のほとんどは、相手は示談交渉において知識がある担当者です。保険会社側の担当者は被害者の味方ではありません。
被害にあったら弁護士に依頼をすることで、示談交渉に臨むことをおすすめします。初回相談が0円の弁護士事務所もありますので、示談交渉に不安を感じたらまずは相談してみましょう。
【交通事故の被害に関する示談交渉を弁護士に依頼するメリット】
・専門知識が必要な示談交渉を弁護士に任せることにより、有利かつスムーズに示談交渉を進められる。
・相手方に請求する示談金を増額させることができる。
・通院中や入院中など、交通事故のダメージが残っているときでも、示談交渉を任せられるため、治療に専念できる。
↓ ↓ ↓
交通事故の被害者に関する記事一覧
交通事故の損害賠償請求は、加害者本人ではなく加害者が加入している保険会社に対して行う 保険会社に行う請求の種類は、被害者請求と加害者…
交通事故証明書は自動車安全運転センターで手に入る 刑事記録で必要なのは「実況見分調書」「供述調書」のふたつ 二つの刑事記録は事件の…
示談をしないと被害者側に「賠償の時効成立」「賠償金が貰えない」の二つのトラブルが起こる 示談をしないと加害者側に「刑罰が軽くならない…
加害者が加入する保険で損害を補償できない場合に、被害者が使える保険がある 被害者が使える保険は、任意保険に含まれている いざという…
損益相殺は交通事故の被害者が事故の損害以上の利益を得ることを防ぐ 実損害(相手に請求する金額)=保険金(賠償金)-損益相殺の考え …
無保険車とは「自賠責保険のみの加入」もしくは「自賠責保険自体も未加入」のどちらかに該当する車 自賠責保険のみの加入で事故被害にあった場合…
自賠責保険の支払限度額は\1,200,000。超えた分は任意保険から支払われる 傷害慰謝料の計算方法は、入院は入院日数、通院は実際の…
後遺障害等級の申請方法は事前認定と被害者請求の二つがある 被害者請求は被害者が資料も提出も全て行うが、事前認定に比べて後遺障害等級に…
被害者が未成年の場合、親権を持つ親が損害賠償請求権を持つ 未成年の場合、成人と違い勉強や習い事の損害も示談交渉に含まれる 未成年だ…
休業損害は慰謝料ではなく、事故が原因で貰えなかった収入の事 休業損害の請求には「休業損害証明書」が必要 休業損害=1日の収入×休…
かかる税金も任意保険の支払い者によって種類が変わる 損害賠償金は税金の対象外 賠償金としての側面がない保険金は税金の対象になる 目…
示談の流れとしては、治療終了後に賠償金を確定させて過失割合と慰謝料について話し合う 示談を被害者自身でやろうとすると不慣れな交渉や精…
弁護士を選ぶ鉄則は近くにあり、実績を掲載し、わかりやすい説明をする弁護士 弁護士に頼めば慰謝料の最高基準で請求でき、書類作成を一任で…
自賠責保険の支払限度額は\1,200,000。超えた分は任意保険から支払われる 傷害慰謝料の計算方法は、入院は入院日数、通院は実際の…
被害者の遺族が被害者の精神的苦痛を慰謝料として請求できる 死亡事故の損害賠償額は実は定額化されている 被害者に落ち度があった場合、…
損益相殺は交通事故の被害者が事故の損害以上の利益を得ることを防ぐ 実損害(相手に請求する金額)=保険金(賠償金)-損益相殺の考え …
示談前に損害賠償する場合は賠償金の先払いが必要 仮渡金と内払金と被害者請求がある 治療費の一括対応がストップする可能性がある 目次…
示談をしないと被害者側に「賠償の時効成立」「賠償金が貰えない」の二つのトラブルが起こる 示談をしないと加害者側に「刑罰が軽くならない…
示談の流れとしては、治療終了後に賠償金を確定させて過失割合と慰謝料について話し合う 示談を被害者自身でやろうとすると不慣れな交渉や精…
示談前に損害賠償する場合は賠償金の先払いが必要 仮渡金と内払金と被害者請求がある 治療費の一括対応がストップする可能性がある 目次…
ADRとは中立の立場の専門家が双方の意見を聞いて折衷案を提示する手続き ADRは紛争解決を優先するため、使用できるケースが限られてい…
着手金+報酬金=弁護士費用を保険会社が負担する特約が弁護士費用特約 弁護士費用特約が使えるケースは被害者、配偶者、家族、事故に巻き込…
交通事故の損害賠償請求は、加害者本人ではなく加害者が加入している保険会社に対して行う 保険会社に行う請求の種類は、被害者請求と加害者…
弁護士事務所に電話した時の相手は弁護士本人ではなく事務員(パラリーガル)のケースが多い 聞かれる事は「現場状況」「加害者・被害者の情…
保険会社との示談内容は一度決まったら撤回は不可能であることをあらかじめ知っておく 示談交渉の際は許可を取って内容を録音し、感情的にな…