示談をする目的は「被害者が事故で受けた損害を金銭で確定」させるため
保険会社のメリットは直接示談交渉をしなくてもよいことや事故後から治療へのスムーズな対応。デメリットは被害者よりも営利を優先してしまう所。
弁護士のメリットは慰謝料を最高基準で請求でき、被害者の代弁者になってくれるところ。デメリットは高額な弁護士費用。
交通事故に遭い、加害者に慰謝料を含む損害賠償をする場合、よくテレビで見かける保険会社と弁護士、どちらにお願いするべきなのでしょうか。 両方のメリット、デメリットを見比べつつ見ていくことにます。
目次
交通事故にあったら…事故から解決までの流れ
交通事故で怪我をした被害者は、交通費を自己負担しながら通院し、怪我の治療をすることになります。一人での通院が難しければ、誰かに付き添ってもらうことになるでしょう。
また怪我の状態によっては入院するためにその期間は仕事を休まなければならないとすると、その期間の給料が減額される可能性があります。
もし怪我が重症であれば住みやすくするために家の改築が必要になることもあります。
このように、事故で怪我をした被害者は、被害を受けた立場に関わらずその後で何かと支出を迫られてしまうのです。
交通事故の示談の目的は「被害者が受けた損害の金額を確定」させるため
事故が起こっても双方怪我人がいなかった為に、物損事故で処理したとしても、車の修理費、代車料、買換え費用など、被害者が支払った損害は存在します。
交通事故が起きた際に被害者に何か不注意な点(=過失)があったとしても、巻き込まれたにすぎない被害者が損害の全額を負担するのはおかしな話です。
そこで、加害者または加害者が加入する保険会社に対して、交通事故においてかかった様々な費用やそれに伴って発症した精神苦痛の慰謝料を支払うように請求します。これが示談を行う理由です。
示談交渉~和解or裁判の流れ
まずは当事者間で話し合って、両者が折り合いをつけられるところを探ります。これを「示談交渉」といい、約9割のケースが示談交渉で決着します。
このとき被害者が何の根拠もなく「私は事故の被害者なのだから〇〇万円支払え」と言っても、罪悪感を抱いている加害者はともかく、営利を目的とする相手の保険会社は支払いに応じません。
相手の保険会社を納得させるために被害者が動かざるを得ない
その為被害者としてはある程度継続的に治療を行い最終的な金額を確定させる必要があります。
もし治療が困難で症状固定になり必要であれば自賠責の後遺障害等級認定を受けなければなりません。
また、加害者の主張に応じて反論できるよう診断書や写真、刑事記録など証拠となる資料を集める必要があります。
もし両者の折り合いがつかないようであれば、支払いを求めて裁判を提起することになるでしょう。
裁判になると対応に時間がかかるため1年以上解決しないことも珍しくありません。
★慰謝料の交渉を保険会社に依頼する場合★
慰謝料を算定するのに必要な資料を集めて、その事件における慰謝料の相場を割り出し、両者が合意できる金額を探っていきます。
慰謝料は3種類あり、それぞれ基準は決まっていますが、支柱になるものが異なっています。
慰謝料の前提
慰謝料を判断する支柱 | |
---|---|
傷害慰謝料 | 入院と通院の日数 |
後遺障害慰謝料 | 後遺障害等級の有無 |
死亡慰謝料 | 家族構成・家族の中での立場 |
慰謝料の金額は、死亡事故による慰謝料であれば被害者の家族構成、家族間での立ち位置、傷害事故による慰謝料であれば入通院日数、後遺障害による慰謝料は等級の有無・何等級かによって金額が変わります。
物損事故の場合の慰謝料はどうなるの?
なお、物損事故では基本的に慰謝料請求は認められていません。
何故なら慰謝料は損害賠償における「精神的損害」の一つであり、上記の3種類の慰謝料を見ればわかりますが、どれも肉体的苦痛による精神的損害が請求の根幹になっています。
▼物損事故の場合、加害者に請求できる損害賠償の内訳はこちら
交通事故による物的な損害として認められる費用はどこまで? 絶対に知っておきたい賠償請求を行う際の注意点
保険会社に頼むメリット:被害者が示談をしなくてもよい、時間を節約できる
保険会社に示談交渉を依頼するメリットとしては、被害者が自ら加害者と交渉する必要がなく、時間・手間を節約できる点が挙げられます。
任意保険の示談交渉代行サービスに加入している場合は、連絡した時点で保険会社が被害者の窓口となって動きます。
その為、事故に遭った後治療に追われる中で、改めてどの保険会社に依頼するかを悩まなくて済み、治療に専念しつつスムーズに示談交渉に移れる点もあげられます。
保険会社に頼むデメリット:過失ゼロの場合は自分で示談交渉になる、被害者より自社の営利優先
逆に、デメリットとしては、すべてのケースで保険会社の示談代行サービスを利用できるわけではない点があります。
被害者の過失が認められない事故(=いわゆる「もらい事故」)では、保険会社の示談代行サービスを利用できない為に、弁護士に依頼しない限り、被害者が自ら交渉しなければなりません。
被害者の過失がゼロになるものとしては、相手の車がセンターラインを越えて走行したため被害者と衝突したケースや停車中の被害者の車に加害者が衝突したケースなどが考えられます。
何故無過失の事故で保険会社が代行できないのかといいますと、保険会社が代行できるのは「こちらも損害賠償金を支払わなくてはいけない可能性がある」為に利害が一致しているからです。
▼もらい事故についてはこちら
「もらい事故は示談交渉が面倒…無過失の交通事故に遭った際、示談交渉で注意すべきポイントとは」
加えて、保険会社の担当者は弁護士ほど高い交渉スキル、法律知識を持っているわけではないので、加害者が弁護士に依頼したときに不利になるでしょう。
また、被害者側の保険会社も営利関係で動く為、被害者の思いを伝えるどころか、相手の保険会社との落しどころを見つけて早々に慰謝料額を決めてしまう場合もあります。
★慰謝料の交渉を弁護士に依頼する場合★
弁護士に依頼した場合も交通事故における慰謝料の示談交渉の流れ自体は大きく異なりません。
誰に依頼したとしても、一般的な交通事故の示談交渉は、交渉を経て決着がつかなければ、裁判や外部機関を介入させての話し合いになります。
弁護士に頼むメリット:請求できる慰謝料の金額が2倍以上跳ね上がる
弁護士に示談交渉を依頼するメリットとしては、慰謝料の金額が大幅に増額することが期待できる点が挙げられます。
そもそも慰謝料の算定基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3種類があります。
これら3つの基準において最も高いのが弁護士基準なのです。その差は、後遺障害でたとえれば同じ等級でも2倍の差があります。
自賠責基準 | *任意保険基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|---|
むちうち (※14級9号) | ¥320,000 | ¥400,000 | ¥1,100,000 |
片手首の欠損 (※第5級4号) | ¥5,990,000 | 7,500,000 | ¥14,000,000 |
植物状態 | ¥16,000,000 | ¥19,000,000 | ¥28,000,000 |
(※注:任意保険基準の金額はあくまで一例)
特に後遺障害等級1級や2級といった介護が必要な重度の後遺障害を負った場合、
上記の表を参考にすればわかるようにどの基準で後遺障害慰謝料を計算したかによって最終的に受け取れる金額が大きくぶれるのです。
被害者の将来の生活を考えると支払われる保険金額は高いほうが良く、保険金額が増額できる可能性は大きなメリットといえるでしょう。
入通院慰謝料や死亡慰謝料もほかの基準に比べて高い
弁護士に頼むデメリット:弁護士費用が高い
デメリットとしては、保険会社に依頼した場合に比べて依頼の費用が高くなる可能性がかなり大きい点が挙げられます。
しかし、保険会社が示談代行をできない事故に遭った場合、弁護士費用特約を利用できるケースならば、弁護士費用を保険会社が負担してくれます。
つまり、実質無料で弁護士に示談交渉を依頼できるので、デメリットと呼べるデメリットではありません。
また弁護士費用特約が利用できない場合でも、その法律事務所が法テラスと契約していれば、法テラスによる弁護士費用の立替が利用できます。(但し、審査がある)
▼弁護士費用特約に関して詳しくはこちらの記事から
「交通事故の損害賠償請求に役立つ弁護士費用特約が使えるケースと使えないケースを弁護士費用の実例を交えて徹底解説!」
まとめ・結局弁護士と保険会社どっちに依頼するべき?
保険会社の中には純粋に被害者の利益だけを考えるのではなく、早期に事件を処理できることや自社の損失を少なくする事、相手方の保険会社との良好な関係を保つことを重視している会社もあります。
このような保険会社に依頼しても被害者にとって大きなメリットは期待できないでしょう。
もし示談をお願いしている保険会社の対応に不平不満や疑問を感じたなら、そのままにせず、弁護士への依頼を検討するべきです。
弁護士は被害者の声をきちんと相手に伝えてくれる上、保険会社が提示する慰謝料よりも高い基準で計算された慰謝料の金額で示談を進めてくれるからです。
交通事故での慰謝料を請求するにあたり、交渉を有利に進めたい場合は弁護士への依頼がおすすめです!
【交通事故の被害に関する示談交渉を弁護士に依頼するメリット】
・専門知識が必要な示談交渉を弁護士に任せることにより、有利かつスムーズに示談交渉を進められる。
・相手方に請求する示談金を増額させることができる。
・通院中や入院中など、交通事故のダメージが残っているときでも、示談交渉を任せられるため、治療に専念できる。
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私が小学生の時、部活が終わり友達と自転車で帰ろうとしていた時です。学校の裏門をでるとすぐに道路に出るのですが、当時道路に出る門の近くにはたくさんの木が生えており、車が来ても全くわかりませんでした。
事故にあったのは住宅街に面した道路でコンビニエンスストアなどもある通りですので、そこまで狭い道路ではありませんでした。
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