交通事故の加害者になってしまった場合

また、加害者の言葉を受け入れるタイミングも被害者が決めて構いません。ただし、事故直後に加害者が持参したお金など手土産を受け取って「こちらも悪いので気にしないでください」などと伝えるのは止めたほうが無難です。事故直後であれば損害額が決まっておらず、加害者が持参したものの価値を超える損害が生じることも少なくありません。

それにもかかわらず、「気にしないでください」のように相手を赦す言葉を伝えると「示談」が成立したと加害者から主張され、後日正当な金額のお金を支払ってもらえないことになりかねません。

過失割合について争いがあるなら被害者と加害者が直接会うことはなるべく避け、謝罪も手紙などで受け取ったほうがいいでしょう。100%加害者が悪い時には、「示談交渉については後日保険会社（または弁護士）を通じて行いましょう」と伝え、「これで終わり」といった趣旨の発言はしないようにしたほうがよいでしょう。

しかし、基本的に加害者と直接交渉するメリットはありません。たとえば、加害者が保険会社に話している内容が自分の認識と異なる場合、被害者として行うべきことは加害者に直接会うことではなく、客観的な状況を明らかにすることです。目撃者を探したり実況見分調書を取り寄せたりするのが有効です。

また、加害者が悪質で直接謝罪してほしいと思っても、法律上謝罪を義務付けることはできません。たとえば謝罪してもらう代わりに示談金額を上げる、ある程度の示談金額で妥協するといった交渉をしていくことになるでしょう。

被害者が加害者に直接会いたいと考える目的はさまざまですが、その目的を実現するために必ずしも加害者に会う必要はありません。

むしろ加害者に直接会うことで状況が悪化しかねないので、弁護士に依頼して対応してもらうなど、できるだけ加害者に会うことは控えたほうがよいでしょう。