「事故直後」は加害者側の情報確認が非常に大事(氏名、連絡先、車のナンバー、契約保険会社など)
事故後は警察への連絡は必須、治療にどの保険を使ったのかを確認
保険会社との交渉のため交通事故証明書、診断書等の必要書類の準備を忘れずに
交通事故は、いつ自分が被害に遭うか分かりません。
もし、自分が交通事故に遭ってしまった場合、自分がその場でできる対応によって、事故処理やその後の交渉をスムーズに進めることができます。
事故の大きさによって異なりますが、交通事故に遭ってしまった際は、可能な限り以下の事項を確認するようにしましょう。
目次
事故直後に最重要なのは加害者の情報確認
交通事故に遭った時、被害者として刑事上・民事上の責任や示談交渉を追及するうえで、加害者が誰であるのかを確認することは非常に重要です。以下の情報を確認するのが交通事故直後においては最優先といえるでしょう。
1 | 2 | 3 | 4 | |
情報 | 相手の住所 | 連絡先 | 車両ナンバー・所有者 | 保険会社 |
---|---|---|---|---|
入手方法 | 免許証のコピー 職場の名刺 | 携帯電話番号 | 車検証のコピー | 自賠責保険証明書 |
事故現場において被害者が必要な対応
交通事故に遭った時、ケガがそこまで酷くなくて自力で動ける場合、被害者がまず行うべき対応はこちらです。
★被害者が、まず行うべき対応3つ★
1 警察・救急車を呼ぶ
2 警察に事故の状況を正しく伝える
3 目撃者の有無を確認
110番、119番に連絡(重要度★★★★★)
本来、警察への連絡は加害者がするべきことですが、加害者も冷静ではない場合があります。加害者が連絡をしていない場合は、被害者自らが119番通報、110番通報をしましょう。
また交通事故の加害者はしなくてはいけない義務が存在し、しないままでいると罰金が発生します。もしこちらを加害者が放置していた場合は警察に伝えましょう。
事故の状況を正確に把握し伝える(重要度★★★★)
交通事故の事実関係を確認した際、被害者と加害者の間で意見が異なる場合があります。互いに意見が異なり、収拾がつかなくなった場合は、駆け付けた警察官に自分の意見を正確に伝えるようにしましょう。
また、被害者には被害者供述調書というものが存在し、基本的にはこの時しか自分の意見を警察に伝える機会がありません。
救急車で搬送される場合は要注意
ちなみに、被害者が現場から救急車で搬送されると、加害者のみの立ち合いで実況見分調書が作成されることがあります。
その場合、加害者側の言い分だけが記載されることになり、被害者にとって不利になる可能性があります。
そうならないためにも、双方の言い分が異なると予想される場合は、警察に対して被害者立ち合いの実況見分調書の作成を申し出るようにしましょう。
その際、事故から時間が経ち過ぎると警察も非協力的になる恐れがあるため、速やかに申し出るようにしましょう。
事故の目撃者がいるか確認(重要度★★★)
交通事故の現場に目撃者がいる場合は、名前や電話番号などの連絡先を聞き、後日(主に示談交渉の際の証拠)の協力をお願いしておくようにしましょう。第三者による意見は示談の時、大いに役立つからです。
事故現場で加害者から一筆入れてもらう(重要度★)
交通事故の現場において、加害者から一筆とるのは良いですが、「加害者に全て責任がある」や、「全損害を賠償する」などという文書を作成するよう依頼をするのはやめましょう。
事故直後に作成したこのような文章は、効力が認められる可能性が極めて低く、さらにはいたずらに示談交渉に混乱をもたらすだけです。
事故後に確認が必要なこと
交通事故の示談をスムーズに始められるための前提として、被害者が確認するべき必要があることを見てみましょう。被害者が事故後に行う対応ですべきことは下記の4つがあげられます。
被害者が確認するべき4つの「したか」 |
---|
➡事故に遭った事を警察に報告したか? ➡怪我をした場合すぐに治療したか? ➡事故によって仕事を休んだ場合資料を提出したか? ➡自身の保険を確認したか? |
それぞれ詳しく見てみましょう。
事故を警察に報告したか
警察に対して交通事故の報告をしない場合、加害者側の保険会社から保険金を支払ってもらえない可能性があります。(2か月以内に報告をしないともらえない)
もし報告をしていない場合は、速やかに病院で診察を受け、診断書を警察署に持って行くようにしましょう。
事故の状況を詳しく記録した実況見分調書を作成してもらうことができます。またこの書類は示談交渉や過失割合を決める際に大いに役立ちますので忘れずに取りに行きましょう。
人身事故と物損事故、どちらで処理されたか必ず確認しよう
交通事故には、人の死傷がある「人身事故」と人の死傷がない「物損事故」の2つの種類があります。
人身事故であれば、警察官が事故現場の調査(事故車両の位置関係や道路の状況などを確認・検証)を行い、事故現場の図面など必要な資料を作成してくれます。
しかし、ケガをしたにも関わらず、物損事故として処理された場合は、軽微な事故として扱われますし、過失割合を決める時に必要な書類を作成してもらえません。
また物損事故になりますと、自賠責保険が使えない為、相手が自賠責保険にしか入っていない場合は自分が加入している任意保険を使用するか相手に直接請求することになります。
人身事故への切り替えは早めに行おう
加害者が知り合いや親族であるためにどうしても物損事故で済ませたいという事情がある以外、交通事故でケガをした場合は、必ず人身事故としての届出を行いましょう。
いつまでに届出をしなければいけないという決まりがあるわけではありませんが、事故発生から1か月近くも経つと、人身事故として受理しないという対応をとられる可能性があります。
ケガの治療を事故後すぐに始めたか
事故直後は大したことがないと思われるケガであっても、必ず事故後すぐに病院で診察を受けましょう。
事故後しばらく経ってから治療を始めた場合、そのケガと交通事故との因果関係(怪我の原因は事故によるものか)が認められず、加害者側の保険会社より治療費が支払われない可能性があります。
治療にどの保険を使ったか確認しよう
病院によっては、交通事故によるケガは自由診療扱い(治療費10割負担)でないと対応できないと勘違いをしているケースもあります。
しかし、交通事故によるケガであっても健康保険(治療費3割負担)を利用することができます。他にも通勤途中や勤務中の事故の場合は労災保険が適用されることもあります。
事故によって会社を休むことになったか
交通事故の影響で会社を休まざるを得なくなった場合、加害者側の保険会社に対し、休業損害という仕事を休んだ分の補償を請求することができます。
その際、休業損害証明書という書類を勤務先に作成してもらいます。
また自営業者が交通事故に巻き込まれた場合、休業損害証明書を第三者に発行してもらうことが不可能なため、自分で資料を書いて提出することになります。その際、確定申告資料が必須になります。
自分の加入している保険をチェック
加害者が加入している保険だけではなく、被害者自身が加入している保険の内容も確認しておきましょう。加害者が任意保険に加入していない場合や、被害者にも過失がある場合は、加害者側から満足な補償を受けることができません。
Q:どうして上記の二つにあてはまると加害者から満足に補償を受けることができないの? |
A1:加害者が任意保険に加入していない ➡自賠責保険のみの支払い。自賠責保険は支払いの上限が決まっていて、怪我は120万円、死亡は3,000万円 A2:被害者にも過失がある場合 ➡過失割合によって相殺され、示談金が少なくなる(自分の過失分の金額が引かれる) |
被害者の保険(任意保険)のオプションによっては……?
被害者が加入している保険の中には、自身に過失がある場合や相手が自賠責保険に加入しているのみに使うことができる保険もあります。
また、任意保険の特約によっては保険をかけている自動車に乗車していなくても適用される場合があります。
残念ながら、このような内容を積極的に被害者に教えてくれない保険会社もありますので、自ら確認するようにしましょう。
被害者が集めるべき書類と発行先
交通事故の被害者となり、保険会社と示談交渉していくにあたり、必要になる書類と、書類の発行を依頼する場合はその依頼先を見てみましょう。
また、本人でなければ手に入らない書類もあるため、代理で行く場合は必ず「委任状」を書いてもらうようにしましょう。
書類 | 発行元 | 発行手数料 |
---|---|---|
交通事故証明書 | 自動車安全運転センター | 540円 |
診断書 | 医師・病院 | 病院ごとに変わる(診療報酬証明書のみ無料) |
診療報酬明細書 | ||
(後遺障害が残った場合)後遺障害診断書 | ||
(被害者が死亡した場合)死亡診断書、死体検案書 | ||
印鑑証明書 | 市町村役場 | 市町村によって変わる |
(被害者が死亡・意思能力がない場合)戸籍謄本 | ||
源泉徴収票 | 勤務先 | 無料 |
休業損害証明書 | ||
(事業主の場合)前年度の確定申告書 | 無料 | |
実況見分調書 | 検察庁 | 閲覧のみなら150円(印紙)謄写手数料は検察庁ごとにかわる |
通院交通費明細書 | その都度保存してもらい保存 | 無料 |
交通費領収書 | ||
実費の領収書 | ||
被害者請求書類一式 | 加害者側の自賠責保険会社 | 無料 |
書類を取り寄せる前の前提
証明書などは直接取りに向かうのであればその場で現金支払いになります。
ですが、遠方や時間の都合がつかないなど、郵送などで取り寄せる場合は印紙代や為替、振り込みの手数料が別途かかるので要注意です。
また、病院や市町村の書類は一律ではないため、必ず発行元に問い合わせて金額を確認しましょう。
交通事故に遭った被害者がまずとるべき方法はこちら
交通事故に遭った被害者がとるべき方法をまとめましたが、まずは慌てず冷静になる事がとても大事です。
事故は、被害者以上に加害者がパニック状態に陥っていることが多いため、まずは警察に連絡した上で、相手先の情報を取得することも重要だといえるでしょう。
また、けががもとで緊急搬送された場合は必ず警察に行き、実況見分調書を閲覧して自分に不利な情報で構成されていないかどうか確かめるようにしましょう。
交通事故の被害者になったら、事故からなるべく早い段階で弁護士への依頼がおすすめです!
交通事故で被害に遭い怪我を負った場合、保険会社との示談交渉を弁護士に依頼することによって、治療費や慰謝料などの示談金を増額できるケースがあります。
損害賠償の交渉を行う場合のほとんどは、相手は示談交渉において知識がある担当者です。保険会社側の担当者は被害者の味方ではありません。被害にあったら弁護士に依頼をすることで、示談交渉に臨むことをおすすめします。
初回相談が0円の弁護士事務所もありますので、示談交渉に不安を感じたらまずは相談してみましょう。
【交通事故の被害に関する示談交渉を弁護士に依頼するメリット】
・専門知識が必要な示談交渉を弁護士に任せることにより、有利かつスムーズに示談交渉を進められる。
・相手方に請求する示談金を増額させることができる。
・通院中や入院中など、交通事故のダメージが残っているときでも、示談交渉を任せられるため、治療に専念できる。
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