過失割合は当事者同士の主張によって決まる
交通事故の過失割合によって受け取る損害賠償金が変化する
過失割合を変更させるには、それを実証するための証拠が必須
交通事故に遭った際、当事者同士どのような落ち度(過失)があったかによって、最終的な損害賠償額が決まります。
これらの過失割合は、示談交渉において当事者の主張をベースに決定されるのです。
しかし、単に過失割合を主張するだけでは示談において有利な結果を認めてもらうことはできません。今回は交通事故における過失割合をより有利に認めてもらうための方法についてご紹介します。
目次
「過失割合」とは、発生した交通事故における過失(不注意)の割合のこと
え!?過失割合って警察が決めるものじゃないの!
交通事故が生じた場合、加害者だけでなく被害者にも何らかの過失があったと考えられます。
たとえば加害者のわき見運転により交通事故に遭った場合に被害者が道路状況を十分に確認していなければ、それは被害者の不注意として過失と認定されるのです。
この過失が「どの程度重い過失だったか」「加害者と被害者でどの程度の過失があったか」を数値化して決めることを「過失割合」と言います。
通常は、加害者・被害者それぞれに過失があるとされる場合が多く、過失割合「0:10」で被害者側がまったくの無過失というのは非常にまれなことです。
過失割合によって支払われる最終的な金額の例
たとえば、交通事故の被害者が加害者と示談交渉し、決定した示談金額が300万円だったとします。
その交通事故の過失割合が「被害者3:加害者7」と認定された場合、被害者が受け取れる賠償額は210万円になります。
つまり、過失割合に応じて被害者が賠償してもらえる額は過失分だけ相殺され差し引かれるのです。
Q:この事件の場合、被害者に支払われる最終的な賠償金額はいくらですか? |
A:下記の計算方法で¥2,100,000です。 |
★計算方法★
3,000,000× (100%-30%)=2,100,000
※被害者の過失割合3割は、加害者の過失割合と相殺される
➡3割の900,000円を引いた2,100,000円が被害者に支払われる
過失割合は過去の判例や裁判例から決まる
交通事故に遭った場合、その過失割合はどのように決まるのでしょうか。
裁判所他の機関は、これまで集積されてきた交通事故の判例と裁判例からおおよその過失割合の認定基準を出します。
また、ほとんどの保険会社もそれぞれの事故の過失割合に対する基準を設定しています。では、過失割合が判断された事例を3つ見ていきましょう。
事例1 歩行者と自動車の交通事故
加害者:自動車 | 被害者:歩行者 |
---|
<過失割合:加害者7 被害者3>
信号のある交差点で青のときに加害者である自動車が交差点に進入しましたが、信号が黄に変わった時点で交差点を右折した際に、歩行者を轢いてしまったケースです。
このとき歩行者は自動車に対する信号が黄の時点で交差点の横断を開始してしまっていました。
このケースでは、過失割合は「加害者7:被害者3」と認定されました。
事例2 自動車同士の交通事故
加害者:自動車 | 被害者:自動車 |
---|
<過失割合:加害者80% 被害者20%>
信号のある交差点で加害者である自動車が、信号が黄に変わったにも関わらず交差点に進入し、右側から交差点に進入してきた被害者の自動車にぶつかってしまったケースです。
このとき被害者側の自動車は青信号で交差点に進入していました。
このケースでは「加害者8:被害者2」と認定されました。
事例3 自動車と2輪車の交通事故
加害者:自動車 | 被害者:2輪車 |
---|
<過失割合:加害者85% 被害者15%>
信号のある交差点で、加害者である自動車が交差点に進入し、信号が青のうちに右折を開始しましたが、対向車線から直進してきた被害者である原付2輪車にぶつかってしまったケースです。
このとき被害者である2輪の運転手も信号が青のうちに直進していました。
このケースでは「加害者85:被害者15」と過失割合が認定されました。
過失割合を変更させる3つのポイント
交通事故の過失割合がある程度決まると、今度は賠償額についての示談交渉に入ります。
自分の過失割合がこれくらいだという主張をするには、それを裏付ける証拠や資料が必要になりますが、示談交渉に入った時点でも、提出した証拠によってはすでにある程度定まっている過失割合を変えさせることができます。
それは、提示されている過失割合はあくまで保険会社の見解であり、示談書などで合意しない限りその過失割合に縛られないからです。
ポイント1 「実況見分調書」を見せてもらう
保険会社は多くの場合、実況見分調書をもとに過失割合を決定します。実況見分調書とは警察が交通事故の状況を調査し、まとめた文書のことです。
保険会社だけでなく、自分でも実況見分調書を確認する事で、そこに掲載されている写真や文章などの具体的な証拠を得ることができ、これらをもとに自分の過失程度の低さを主張することができます。
ポイント2 事故現場の写真を撮っておく
実況見分調書には交通事故の状況がまとめられていますが、それだけでは当時の状況がわかりづらく、自分の過失程度の低さを主張するには不十分な可能性があります。
そこで、事故直後の車の状態などの写真を撮っておき、示談交渉の際に当時の事故現場の状況を詳しく説明できるようにしておくことが重要です。
交通事故現場を映像や画像として記録しておくことは、交渉の際に正しい証拠になりえるだけではなく、記憶があいまいになることを防ぐことができます。
ポイント3 交通事故の目撃者を確保し、連絡先を聞いておく
事故当事者ではない第三者による証言は、自分の過失の程度が低かったことを立証するうえでとても重要になります。
加害者・被害者どちらにも寄り添わない客観的な立場での証言となるため、示談交渉においては強力な証拠となります。事故を目撃していた人に協力を仰げるよう、連絡先を聞いておくようにしましょう。
【過失割合を変えさせる証拠や資料を集める方法】
▶▶▶警察が作った「実況見分調書」を見せてもらう
▶▶▶交通事故に遭った時、事故現場の写真を撮っておく
▶▶▶目撃者の証言を集める(連絡先も聞いておく)
過失割合は示談交渉で決まるのがポイント
以上で紹介したように交通事故における過失割合は示談交渉において決まり、その過失割合によって賠償金額が決まります。
示談交渉において自らの過失の程度が低かったことを相手に認めてもらうためには、その主張を裏付ける証拠が必要があるため「事故現場の写真を撮っておく」「実況見分調書を開示する」「目撃者の証言を集める」などの方法が有効です。
もし示談交渉に自信がない場合には法的知識と交渉力の豊富な弁護士に相談することで有利に交渉を進めてもらうことができます。
保険会社が提示してきた過失割合に納得がいかない場合は弁護士への依頼がおすすめです!
交通事故で被害者になった場合、どうしても過失割合に納得がいかないことがあると思います。そんな時は、保険会社との示談交渉を弁護士に依頼することによって、治療費や慰謝料などの示談金を増額できるケースがあります。
初回相談料や着手金が0円の弁護士事務所もありますので、示談交渉に不安を感じたらまずは相談してみましょう。
【弁護士に過失割合の交渉依頼をするメリット】
・専門知識が必要な示談交渉を弁護士に任せることにより、有利かつスムーズに示談交渉を進められる。
・通院中や入院中など、交通事故のダメージが残っているときでも、示談交渉を任せられるため、治療に専念できる。
・怪我をしている中で交渉にかかる精神的な負担も省ける。
↓ ↓ ↓
交通事故の過失割合に関連する記事はこちら
基本的に自動車のほうが過失割合が高くなる 赤信号で交差点直進の事故以外はほぼ車の割合が高い スピード違反や改造車、酒気帯び運転など…
状況に応じて被害者と加害者の立場が変わるため、衝突車双方の過失割合が細かく定められている 追突事故は原則として追突した車が原則として…
交通事故における「車」には自転車、バイクも含まれる 基本的に車のほうが過失割合が高い(仮に歩行者が信号無視をしても車の過失割合がゼロ…
接触事故を防ぐために相手の車を避けて損害を被る事故を「非接触事故」と呼ぶ 被害者になったら警察を呼んで交通事故証明書を発行してもらう…
基本的に自動車のほうが過失割合が高い わき見運転、スマホ運転、夜間に点灯しない運転を自転車がした場合は自転車の過失割が高くなる 当…