自転車の事故は約8割が出会い頭の交差点でおこる
事故に遭ったらまず救急車と警察を呼ぶ
相手先の確認も忘れずに
自転車で事故にあった時、どうすればいいのか?そこで今回は自転車に乗っている時にあった事故の対応について見ていきます。
目次
自転車での交通事故の実態
2000~2009年にかけて交通事故全体の死傷者数及び自転車乗用中の交通事故による死傷者数はいずれも減少していく傾向を迎えています。もっとも、2015年の自転車乗用中の交通事故件数は98,700件で、交通事故全体の約2割にあたります。
自転車が当事者となる事故の傾向をみると、交差点での事故が最も多く、交差点と直線路で起こる事故が全体の約9割を占めています。事故類型では車両相互での出会い頭が最多です。
また、自転車事故の約8割が自動車対自転車の事故なので、自転車の運転手にとって1度の事故が重大な被害につながりやすいといえます。死傷者数は減少傾向にあるとはいえ、交通事故全体の死傷者数の減少率からみると、ゆるやかな減少にとどまっているので、注意が必要です。死亡事故では安全不確認や信号無視、一時不停止などの法令違反が多いので、道路を横断するときには自動車が来ていないか左右をきちんと確認しましょう。
年齢別にみると、7~24歳までの若年層の事故が多い傾向にあり、特に高校生にあたる16~19歳の層の事故が多くなっています。
自転車での交通事故事例
当サイトで調査したところ、自転車を被害者とする以下のような事故の実例が見つかりました。
その1 坂道を下っていたら信号機のある交差点で車と接触
信号機のある交差点で自動車とぶつかった20代男性のCさん |
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1か月の通院治療で完治。相手は任意保険に加入していなかった |
Cさん(20代男性)は、学校の帰り道にある急な坂道を、スピードを出して降るのを日々の楽しみにしていました。その周辺は車の通行量が少なかったため、Cさんも油断していたのでしょう。ある日、信号のある交差点で乗用車と接触し、車のフロントガラスに叩きつけられたのです。
幸い命に別状はありませんでしたが、鼻の軟骨を折り、足首を捻挫するなどのケガをしました。1カ月の通院治療で無事完治し、相手との話し合いもスムーズに進み、その治療費は相手が支払いました。相手は任意保険に加入していませんでしたが、Cさんは満足できる金額を受け取れたとのことです。
もっとも、事故直後に自ら保険会社などと話をしなければならなかったのが大変だったようで、次回大きな事故を起こしたら弁護士に必ず依頼するそうです。
その2 事故から数日経過して体の痛みが出てきた
左右を確認せず自動車と接触した40代女性のDさん |
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後日事故の後遺症の治療で1か月の通院。全額支払ってもらえた |
Dさん(40代女性)は、左右を確認しないまま道路へ出て右折しようとしたところ、右から走行してきた自動車と接触してしまいました。自動車の運転手はDさんの状態を非常に心配してくれたのですが、先を急いでいたDさんは連絡先だけ交換しその場からすぐ立ち去ったとのことです。
その後、この事故でできた打撲の治療のために1カ月通院治療を行いました。Dさんにも左右を確認しなかったという過失が認められるのですが、相手から修理代を請求されることはなく、治療費も全額負担してもらうことができました。
Dさんの場合、事故からしばらく経ってからアザが広がり始めたとのことで、後日、後遺症が発覚するようなケースに遭遇した場合どのように対処すべきなのかを不安視しています。
その3 物損事故で処理されたけど保険に入っていたので恩恵があった
見通しの悪い道路で自動車と接触した20代男性のEさん |
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足首ねん挫だけの為物損事故。いくつかの保険に加入していた。 |
Eさん(20代男性)は見通しの悪い道路で自動車と接触してしまいました。受け身の姿勢をきちんと取れたEさんは足首を捻挫しただけで済み、人身事故ではなく物損事故として処理されました。その後、破損した自転車は全損扱いになり、新品の自動車の購入代金が保険で支払われています。
いくつかの保険に加入していたEさんは、実費以上の保険金を受け取ることができたので、保険のありがたみを痛感したとのことです。
自転車事故に遭った際、対応すべきこととは?
自転車事故に遭った場合は、気が動転してしまいがちです。自転車での交通事故に遭遇した場合は主に、下記の5つのポイントを迅速に行う事が大切といえます。
1.警察と救急車を呼ぶ
2.目撃者の確保
3.相手との連絡先を交換する
4.破損個所を記録(写真に収める)
5.保険会社への連絡
すぐに警察と救急車を呼ぶこと(重要度★★★★)
1つ目は「警察と救急車を呼ぶこと」です。警察だけでなく、ケガ人がいる場合には、救急車を優先し落ち着いて状況を伝えられるようにしましょう。
先ほどの事例をあげるならば、Dさんのように警察が到着する前に、その場を立ち去るべきではありません。
警察に交通事故証明書を発行してもらう手続きを取るなど、事故直後に適切に対応しておくことが、後日思わぬ症状が発生した場合の対処方法につながってくるのです。
目撃者の確保(重要度★★)
2つ目は「目撃者の確保」です。目撃者がいれば警察が到着するまで、その場に留まり事情聴取に協力してくれないか頼んでみましょう。第三者の中立的な意見があるとより確実に事故の実態をつかみやすくなります。
相手の連絡先を記録(重要度★★★★★)
3つ目のポイントは「事故の相手の連絡先を記録すること」です。相手の氏名、連絡先や加入している保険会社を聞き出しておくことが大切です。 相手車両の車検証のコピーや相手の名刺などをもらっておくと連絡が取りやすいでしょう。
今後の損害賠償請求などにかかわってきますので、必ず相手の保険会社や連絡先を控えておきましょう。
破損個所の記録(重要度★★★★)
さらに、4つ目のポイントは「自転車の破損個所を記録すること」です。文章だけでは後々に確認した時、把握がしづらい上に記憶もあいまいになっている可能性も高いため、自転車の破損箇所などをスマホで撮っておくことをおすすめします。
またこういった写真は後々の示談において証拠にもなりうるため、撮影することは決して無駄ではありません。
保険会社への連絡(重要度★★★)
最後のポイントは「保険会社への連絡」です。事故に遭ってすぐ保険会社へ連絡をした場合、後日、保険会社から連絡がきます。もし、1~2日待っても何の音沙汰もないようであればこちらから保険会社に電話をしましょう。
保険会社から示談を持ちかけられる事が……
事故後、しばらくすると保険会社から損害賠償金が盛り込まれた示談を持ちかけられることがあります。「よくわからないから」「示談の方が簡単そう」と考えてすぐに答えるのは危険です。
提示された示談金の額や事故における自分の過失割合などをしっかりチェックして、不用意な示談に応じないように気をつけてください。
示談は一度決めてしまえば、それを覆すことはほぼ無理なので注意しましょう。
自転車乗車中に交通事故に遭ったときの行動まとめ
自転車の運転中、自動車との事故に遭ったら、直接地面や自動車と身体が接触する自転車側がより重大な被害を負います。不注意やちょっとしたミスで後遺障害を負うなど取り返しのつかない事になりかねません。左右確認をきちんとするなど事故を起こさないように最大限の注意をしたいところです。
万一事故に遭遇した場合、自分がケガをしておらず身動きができるようなら、最低限相手の連絡先を聞き出すようにしてください。
ケガの治療費を保険会社へ請求するにあたり、交渉を有利に進めたい場合は弁護士への依頼がおすすめです!
交通事故でケガを負った場合、保険会社との示談交渉を弁護士に依頼することによって、治療費や慰謝料などの示談金を増額できるケースがあります。初回相談料や着手金が0円の弁護士事務所もありますので、示談交渉に不安を感じたらまずは弁護士へ相談してみましょう。
【交通事故の示談を弁護士に依頼するメリット】
・専門知識が必要な示談交渉を弁護士に任せることにより、有利かつスムーズに示談交渉を進められる。
・相手方に請求する示談金を増額させることができる。
・通院中や入院中など、交通事故のダメージが残っているときでも、示談交渉を任せられるため、治療に専念できる。
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