交通事故によるむち打ちの症状固定までの期間は少なくとも半年以上の治療後が一般的
症状固定になる➡もう治療の意味がないとされる為、治療費などを請求できない
むち打ちの症状固定になった後は整骨院や鍼灸院に通う人が多い
交通事故によって出来てしまったムチ打ちですが、症状固定までの平均治療期間は少なくとも半年以上が一般的と言われています。
ただし、完治するまでの期間は人によってまちまちとしか言えません。なぜなら、交通事故によって受けた怪我はどんな事故だったのか、どれくらいの衝撃が患部に加えられたのかは事故の状況によって異なり、ひとつとして全く同じ事故はありえないからです。
交通事故による衝撃が強ければ、首にかかる負担も大きくなり重症度も増しますし、衝撃が弱ければ軽症となるのは当然のこと。
従って「どのくらいでむち打ちは治るのか」という疑問については、そのときの被害者の体の状態や事故の状況によるとしか言えないのが現状の答えですが、平均的に見ても症状固定まで半年以上の治療が必要となるケースが多いようです。
ですがむち打ちをなんとか治したいと思う人は多いはず。そこで今回はむち打ちの症状固定と治療に関して知っておきたい5つのポイントについて、解説をしていきたいと思います。
目次
治療を続けている日々が続いてしまえば生活に支障が!
一部の整形外科医からは「むち打ちは通院を初めてから3ヶ月もすれば9割前後の患者が治る」との意見も発表されています。
しかし人の痛みの感じ方は人それぞれ、3か月経っても体の痛みが引かない、手にしびれが残っている可能性も十分あり得ます。
もし「怪我の完治」を「事故に遭遇する以前の状態のコンディションに戻った」とするのであれば、痛みや違和感、しびれなどを感じている間は「完治した」と言いきれるのでしょうか?
しかし、体に痛みやしびれ、違和感があるからといってもひたすら病院に通うのは難しいといえます。痛みを我慢しながら通院し続けるのも体に負担がかかりますし、また通院のために仕事や学校を休まなくてはいけなくなってしまいます。
その為、完全に痛みを直すまで、と通院し続けてしまう事は、体にかかる負担以上に、生活に支障をきたしてしまうのです。
ずっと同じ状態のまま通い続けている事で生活基盤まで揺るがしてしまうのをふせぐために、用いられている制度が「症状固定」というものです。
むち打ちの治療と症状固定の関係 知っておきたい5つのポイント
ポイント1 症状固定の認定を受けると、「完治は無理」と「治療費は今後受け付けてもらえない」という2つの意味を理解する必要あり
症状固定がもつ2種類の重要な意味
1 これ以上治療を行っても現状維持にしかならない(=完治は無理)
2 治療が無意味ならばその怪我を後遺症扱いにして、後遺障害認定をすることでその痛みの分の慰謝料を払う為、治療費の請求は今後受け付けない
そしてこの症状固定というものは2種類の重要な意味があります。一つは、上記の「これ以上治療を行っても完全に治ることはない」というもので、これは「医学的な意味の症状固定」です。
そしてもうひとつは「治療を行なってもこれ以上の効果が見込めないのであれば、残ってしまった症状は後遺症(後遺障害)として、後遺障害認定を行い早期に問題を解決しましょう」という「損害賠償上の症状固定」です。
Q:なぜ症状固定がここまで重要視されるの? |
A:事故の発生から症状固定が認定されるまでの期間にかかった費用は保険会社に請求できますが、認定された後にかかった費用は一切請求できないからです。 |
事故の発生から症状固定を認定するまでの期間は「障害部分」と呼ばれ、治療費や通院にかかる交通費、休業損害、入通院慰謝料を加害者側の保険会社に請求することができますが、症状固定になった後はそれらの「障害部分」に当たるものは一切請求することができません。
たとえ、痛みや違和感が残っていてもです。その為、この症状固定を行うタイミングは今後のことを考えても非常に重要だと言えるのです。
ポイント2 症状固定が認定される時期の治療期間目安は平均で6ヶ月、長いと1年以上のケースも
症状固定を行う時期は医師の診断と患者の状態によって決定されますが、平均的には6ヶ月、長い人で1年くらいが症状固定が認定される時期と言われています。
被害者の中には「まだ痛いのに…」「手にしびれが残っているのに…」と思う事もありますが、治療またはリハビリを受けた直後は回復しても、時間が経つにつれ、違和感が再発してしまうという状況は、これ以上治療を行っても完全に回復する見込みがないと判断されてしまうのです。
そう言った場合は医師と相談して、症状固定の認定を延ばすか、後遺障害診断(後遺症の認定)を行うより他ありません。
前述したように、事故の状況によってムチ打ちの状態もひとそれぞれ違います。きちんとした治療を受けて1ヶ月程度で回復するひともいれば、同じような治療を受けても後遺症に悩まされる事態に陥ってしまうこともあります。
症状固定後でも治療を受けたい場合は?
Q:症状固定だと認定されても病院に通うことはできますか? |
A:通院可能です。しかし費用は健康保険を含む自己負担になり、保険会社への請求はできません。 |
症状固定だと認定されるということは、保険会社にすれば「治療を続けても治る見込みがないので治療をする必要がなくなった」とされます。
つまり「交通事故の治療費を支払う必要がなくなった」ということ。そのため、症状固定後に病院で治療を受けたい、整骨院などでリハビリを行いたいと考える場合は、「その治療・施術にかかった費用は患者本人の負担」となるので注意してください。
ただし、それはあくまでも「保険会社からの治療費が支払われなくなるだけ」で、健康保険などを使った治療や施術を受けることはもちろん可能です。
ポイント3 症状固定の認定を保険会社は被害者に促してくるケースがあることを知っておく
あってはならないことですが、保険会社の中には一定期間を過ぎた被害者に対して症状固定を促すところも存在します。
なぜなら「症状固定に認定された被害者に対して治療費を支払う必要がない」ということは裏を返せば「症状固定にならない限り、治療費そして通院に対する慰謝料が発生してしまう」からです。
相手に支払う保険料を最小限に抑えたいというのは保険会社からしてみれば当然のことなのかもしれませんが、痛みを抱えた被害者にとってはありえないことです。
また、一度でも症状固定の認定を受けるとその認定をなかったことにすることはできません。もし症状固定の認定を受けてからむち打ちや醜状障害などの後遺症が見つかっても、後遺障害等級を得ることは難しいと考えた方がいいでしょう。
ポイント4 医者に根回しする保険会社があるケースに注意する
しかし、医師の中にも保険会社から「治療費はもう支払うことができません」と通告されると患者に症状固定の打診を行うところもあるようです。
これは、保険会社から全額支払われていた治療費がなくなってしまうために起こること。医療もビジネスと言われる時代ですから、このようなことも起こり得るのです。
被害者の通院期間が明らかに長すぎる場合は裁判の争点になることも
また、治療費を打ち切らせたくないからと言っていつまでも症状固定の認定を引き伸ばして治療費を払わせ続けるのも考えものです。
人それぞれの通院期間と話しましたが、むち打ちで通院3年で症状固定など通常に比べて明らかに長い場合が挙げられます。
例えば、損害賠償請求を行う際に、裁判所で症状固定までの期間が長すぎると判断された場合、余計に通った分の通院費、リハビリ施術代が自己負担となる場合もありうるのです。
しかし平均通院に比べて治療が長引く場合は被害者の精神的な問題も考えられる為、この辺りの線引きは裁判によって異なります。
保険会社が治療費やリハビリ代を負担してくれることはありがたいことではありますが、現時点における自分の体の状況を見たうえで、症状固定の認定のタイミングをはかることが非常に重要と言えます。
ポイント5 症状固定後の治療は整骨院や鍼灸院での施術を優先すべき
症状固定後は病院に通うよりも整骨院や鍼灸院に通い、痛みや違和感を緩和する方法をとられる方が多いようです。
ムチ打ちの後遺症には下記のような症状が現れやすいと言われており、これらの症状は病院よりも、整骨院や鍼灸院での施術が適切といえます。
特に首の神経は全身に繋がっているので、全身のトータルケアができる整骨院や鍼灸院での施術で、症状が緩和されることが多いのです。
ムチ打ちの後遺症一例 |
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むち打ちの症状固定になっていない「障害部分」の状態でも、整骨院や鍼灸院での施術を受けることは可能です。症状固定前であれば施術費も保険会社が治療費として負担するため、被害者自身が負担する必要がありません。
むち打ちの治療は、病院での治療と整骨院や鍼灸院での施術を並行して行なっている人も多いのですが、症状固定前の整骨院や鍼灸院での施術はあくまでサブという認識で、病院での治療を優先させることをおすすめします。
Q:なんで症状固定前は整骨院をメインで受けないほうがいいの? |
A:整骨院や鍼灸院での施術は「施術であって治療ではない」ためです。また後遺障害等級の申請に必要な書類を作れるのは病院の医師だけ、だからです。 |
医師の診断書がないと示談交渉の時に損をするどころか、後遺障害の申請すらできない可能性があります。
つまり、症状固定前は病院での治療をメインに行い、整骨院や鍼灸院での施術は痛みを緩和する手段として行うのがベストな選択と言えるでしょう。
また、整骨院や鍼灸院の担当者では上記の答えにあるように医師ではない為、後遺障害申請に必須ともいえる「後遺障害認定書」を作成することができません。
これらを考えると、整骨院や鍼灸院での施術をメインにすることは避けた方が無難といえます。
むち打ちの治療と症状固定の関係まとめ
ムチ打ちが完治する期間は人によって大きく異なりますが、忘れてはならないのが「ムチ打ちは軽症に見えて後遺症を残す危険性の高い怪我である」という点です。
病院での治療、整骨院や鍼灸院での治療で完治すれば問題ありませんが、「後遺症が残る可能性」を視野に入れて、動く必要があるのです。ムチ打ちの特徴として症状が遅れてやってくるということも考えられます。
「軽症だから」とことを簡単に済ますと、きちんとした賠償額をもらうことができず、その後遺症に一生苦しめられることもあるのです。
ケガの治療費を保険会社へ請求するにあたり、交渉を有利に進めたい場合は弁護士への依頼がおすすめです!
交通事故でケガを負った場合、保険会社との示談交渉を弁護士に依頼することによって、治療費や慰謝料などの示談金を増額できるケースがあります。
初回相談料や着手金が0円の弁護士事務所もありますので、示談交渉に不安を感じたらまずは弁護士へ相談してみましょう。
【交通事故の示談を弁護士に依頼するメリット】
・専門知識が必要な示談交渉を弁護士に任せることにより、有利かつスムーズに示談交渉を進められる。
・相手方に請求する示談金を増額させることができる。
・通院中や入院中など、交通事故のダメージが残っているときでも、示談交渉を任せられるため、治療に専念できる。
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