休業損害は事故がきっかけで減少した給料や収入を指す
家事も仕事の一つなので主婦が被害者でも休業損害は出る
休業損害にも慰謝料同様3種類の基準が存在する
交通事故に遭った事がきっかけで給料や収入が減少する被害者もいるのではないでしょうか。減少した差額分を、損害賠償のひとつの休業損害として相手に請求することができます。
しかし相手の保険会社に提示された休業損害の金額に納得がいかないケースも存在します。そういった時はどうすればよいのか、見ていくことにします。
目次
休業損害の提示額に不満があったら、まずは弁護士に相談を
交通事故で入院をすると、当然ながら会社に行くことができません。そして入院による欠勤が長く続けば会社を解雇されてしまうかもしれません。
あるいはケガの影響で長時間のデスクワークや外回りが難しくなってしまい、元々いた部署に比べて給料の少ない部署に異動になる可能性もあります。
そのため交通事故に遭った事で有給の消化をする羽目になったり収入が減少してしまう結果に陥ってしまいます。
休業損害はどんな損害なの?
休業損害とは、本来得られたはずなのに得られなかったという消極損害の一種で、具体的には事故が原因で通常より減少した給与などをいいます。
基本的に休業損害は、休んだ日(=休業日数)に1日あたりの収入額(基礎収入額)を掛けて割り出します。
休業損害の求め方
基礎収入額(1日当たりの収入額)×休業日数
たとえば、1日1万円収入を得る女性が1週間仕事を休まざるを得なかったとしたら、休業損害は7万円です。
計算:10,000(1日の収入額)×7(休んだ日数)=70,000
休業損害に不満がある代表的なケース
休業損害に関して、被害者が不満を抱くケースには次のようなものがあります。
・専業主婦で休業損害は出ないといわれたケース
・兼業主婦で1日あたりの収入額を2,700円として算定されたケース
・役員報酬が減額されたにもかかわらず労務提供の対価ではないため休業損害にあたらないとされたケース
・休業損害を実際に働けなかった日数より短い期間で計算されたケース
・個人事業主が確定申告で実際の収入よりも少なく申告していたケース
Q: 弁護士に相談すれば、休業損害に関する不満も解決できますか?
A:不満が必ず解決できるとは限りませんが、思い悩む疑問点は解消できる可能性が高いでしょう。
理由1:弁護士が被害者の主張を法的に組み立ててくれる。
被害者が単に「保険金額が安いので適正な保険金を支払ってください」と要求しても保険会社が応じることはほとんどありません。
どのような理由で、または何と比べると安いのかを法的に主張する必要があります。その主張を被害者自身が行うことは難しく、弁護士に法的に組み立ててもらったほうがスムーズに解決できるでしょう。
加えて弁護士に依頼すると、どのような資料を集めればよいのかを指示してくれますし、おおよその見通しも伝えてもらえるでしょう。
理由2:保険金額が増額する可能性がある。
休業損害でも自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準と、3種類の基準が存在するため、弁護士に依頼すると保険金額が増額する傾向にあります。
自賠責基準:1日5,700円(上限9,000円)×休業日数
任意保険基準:各保険会社ごとに異なる(比較的現実の収入額で計算されやすい)
弁護士基準:1日当たりの基礎収入×休業日数
弁護士に相談して、休業損害の金額が上がったケース3つ
その1:被害者が専業主婦で休業損害は出ないといわれたケース
専業主婦であるCさんは「保険会社から休業損害は出せないと言われた」として弁護士に相談しました。
Cさんは夫と3人の子どものために家事に従事していましたが、3日間入院したために家事ができなかったのです。たしかに専業主婦の場合、給与を受け取っているわけではありません。
しかし、普段から家族のために家事という仕事をしていたにもかかわらず一切休業損害を受け取れないとするのは不公平です。
弁護士に相談した結果➡休業損害〇 入院+退院後の休業損害GET
弁護士は賃金センサスの女子労働者の全年齢平均賃金から基礎収入額を算定して請求することをアドバイスしました。これは年度ごとに異なるものの大体1万円です。
その結果、入院日数分の休業損害3万円に加えて、退院した後の分も家事に支障が生じた分だけ休業損害を受け取ることができました。
その2:兼業主婦で1日あたりの収入額を2,700円として算定されたケース
兼業主婦であるDさんは「年収が100万円なので、10日分の休業損害が2万7,400円だといわれた」として弁護士に相談しました。
たしかに、年収100万円であれば1日あたりの収入は約2,740円(100万÷365)なので、10日分だと2万7,400円になりそうです。
しかし、専業主婦であれば賃金センサスの10万円もらえる可能性が高いにもかかわらず、仕事をしていたからといって3分の1だけしか請求できないのは不公平です。
弁護士に相談した結果➡高い賃金センサス側の10万円の休業損害GET
この場合、実際の収入額と賃金センサスのいずれか高いほうを基礎収入額として請求することになります。その結果、Dさんは休業損害として10万円を受け取ることができました。
その3:役員報酬が減額されたにもかかわらず労務提供の対価ではないため休業損害にあたらないとされたケース
知人の会社で取締役として働くEさんは「収入が減ったのに役員報酬は休業損害にあたらないから保険金を支払わないといわれた」として弁護士に相談しました。
休業損害は交通事故によって減額された収入をいうので、役員報酬のように一定の地位にあることを条件として支払われるお金は対象外になります。
弁護士に相談した結果➡減額された役員報酬の休業損害GET
しかし、実際に働けなかったために減額されたとなれば、客観的に見て労務提供の対価だった可能性が高いでしょう。
実際、Eさんのケースでは減額された分の金額を休業損害として請求することができました。
休業損害は請求漏れしやすいので注意!
実際に収入の減額があればその減額分を休業損害として請求したいと考える被害者はいると思います。しかし専業主婦の家事やサラリーマンの有給のように、傍から見て金額が変わっていないケースも存在します。
このような場合でも上記のケースのように弁護士に依頼することで、休業損害として認められれば、被害者がもらえる保険金が増額できます。
交通事故に遭った後、相手の保険会社と示談をする前に、提示された損害賠償額が適正な保険金額なのか弁護士に一度見てもらうと良いでしょう。
交通事故での損害賠償を請求するにあたり、交渉を有利に進めたい場合は弁護士への依頼がおすすめです!
交通事故でケガを負った場合、慰謝料請求を弁護士に依頼することによって、治療費や慰謝料などの慰謝料を増額できるケースがあります。
初回相談料や着手金が0円の弁護士事務所もありますので、慰謝料を請求するにあたり不安を感じたらまずは弁護士へ相談してみましょう。
【交通事故の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット】
・専門知識が必要な示談交渉を弁護士に任せることにより、有利かつスムーズに示談交渉を進められる。
・相手方に請求する慰謝料を増額させることができる。
・通院中や入院中など、交通事故のダメージが残っているときでも交渉を任せられるため、治療に専念できる。
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