着手金+報酬金=弁護士費用を保険会社が負担する特約が弁護士費用特約
弁護士費用特約が使えるケースは被害者、配偶者、家族、事故に巻き込まれた場合など(上限は300万円まで)
弁護士費用特約が使えないケースは加害者、故意または重大な過失の事故の被害者など
弁護士費用特約―――名前だけ知っていてもどんな特約の詳細を知っている人は少ないのではないでしょうか。実はこれ、弁護士に支払う費用をある一定の金額まで保険会社が負担してくれるメリットが非常に多い特約です。
ですが、この特約も交通事故ならば全て使用できるかといえばそうではありません。使えないケースなど存在します。それはどのようなケースなのか見ていきます。
目次
約7割の被保険者が加入している弁護士費用特約とは一体どんなものなの?
弁護士費用特約とは任意保険に付随して加入する特約で、交通事故を解決するにあたって弁護士に依頼した場合に、弁護士費用を保険会社に負担してもらえるものです。
弁護士費用特約は契約内容によって多少異なる可能性があるものの、弁護士費用(着手金、報酬金、訴訟費用、和解や調停に使用した費用等)を300万円まで、法律相談費用として10万円までをそれぞれ上限として保険会社に支払ってもらえます。
交通事故に遭った被害者の中で弁護士費用特約に加入していれば実質0円で弁護士に依頼することができます。
しかし2017年3月時点で約7割もの人が弁護士費用特約に加入しているにもかかわらず、その利用方法を知らないために弁護士に依頼しない人が多いというのが実情です。
弁護士費用特約の上限金額 | |
---|---|
法律相談費用 | ¥100,000 |
弁護士費用 | ¥3,000,000 |
弁護士費用特約を使えるケースと使えないケース
弁護士費用特約の使えるケースと使えないケース | |
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使えるケース○ | 使えないケース× |
・交通事故の被害者の場合 ・加入者の配偶者、同居の親族 ・自分の所有車以外の車で ・交通事故に巻き込まれた場合 | ・交通事故の加害者の場合 ・故意、重要な過失をおこした場合 ・無免許運転の場合 ・飲酒運転、薬などを使ってた場合 ・運転していた場合 |
このような弁護士費用特約ですが、交通事故に関わる全てのケースに適用されるわけではなく、弁護士費用特約が使えないケースが存在します。
また損保やあいおいニッセイなど大手の保険会社は自社HPで保険約款を公開しており、その中に弁護士費用特約について書いています。
弁護士費用特約が使えるケース
保険会社との契約内容にもよりますが弁護士費用特約を利用できるケースは幅広く設定されていることが多く、弁護士費用特約加入者の配偶者や同居の親族が交通事故の被害者になっても弁護士費用特約を利用できます。
また、友人の車など自分の所有車以外を運転していて事故に巻き込まれた場合でも構いません。但し、弁護士費用特約はあくまで被害者のみが使用できる特約です。
弁護士費用特約が使えないケース
一般的な保険約款では、「弁護士費用特約の利用にあたっては保険会社の同意を要する」と記載されています。その為、保険会社が同意しなければ弁護士費用特約が使用できないのです。
他にも自身が交通事故の加害者、被害者側に重い過失がある、無免許運転や薬・お酒の影響で正常な運転ができない状態の運転の事故、事業用と記載されている自動車を運転中の交通事故、天災による被害事故といったケースにおいては、弁護士費用特約は使えないケースがあります。
保険会社が示談交渉を代行できないから弁護士費用特約が存在する?
弁護士費用特約が利用できる背景には、「保険会社は、被害者の代わりに示談交渉ができる」が存在します。これは、結果として損害賠償金を支払うのは保険会社になるため、示談交渉の関係者(当事者)になるからです。
しかし被害者が過失ゼロの交通事故(いわゆる、追突事故・貰い事故)に遭ってしまうと、被害者側の保険会社は加害者側に損害賠償金を支払う必要がなくなるため、関係者として示談に関わることができません。(もし保険会社が無視して示談交渉をした場合、法律違反になる。)
こういった状況に陥った被害者は直接加害者や保険会社の担当とやり取りをすることになるため、動けない保険会社の代わりとして弁護士に依頼できるよう「弁護士費用特約」が存在しています。
原則として、保険会社が今回の交通事故では示談交渉の代行が難しい、と判断した時「弁護士費用特約」が利用できます。
弁護士費用がどれくらいかかるのか実例を交えて紹介
弁護士費用特約を利用するうえで被害者にとっての最大のメリットは、お金をかけずに弁護士に依頼できることです。
事故の内容によって日当や訴訟費用、実費などが必要となりますが、基本的な弁護士費用は大きく分けて着手金、報酬金の2種類です。
これらの額について弁護士から提示される場合がほとんどですが、基本的には依頼者と弁護士の合意で決めることができます。
弁護士費用が高額になるほど弁護士特約があるとお得!
着手金は総じて決まっていることが多いのですが、報酬金は弁護士に依頼することによって当初の金額より上昇した金額(経済的利益)をもとに算定します。
上昇した金額にもよるのですが、ここではわかりやすくするため一律に着手金は経済的利益の8%、報酬金は経済的利益の16%だと仮定しましょう。ちなみに多くの弁護士事務所はこのパーセントで算出しています。
豆知識:経済的利益 |
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基本的には増額した金銭の事。 訴えた側=増額できた金額 |
実例その1:損害賠償金が10万円→20万円に増額した場合
第1の実例として、弁護士に依頼したことによって賠償金が10万円から20万円に増額した物損事故のケースを想定します。
経済的利益が10万円なので、着手金として8,000円(10×0.08)、報酬金として1万6,000円(10×0.16)必要です。
➡弁護士に支払う費用(着手金+報酬金)=24,000 | |
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最初の損害賠償金 | 100,000 |
請求した損害賠償金 | 200,000 |
経済的利益 | 100,000 |
着手金 | 8,000 |
報酬金 | 16,000 |
つまり、弁護士費用特約を使わなくても、もともとの10万円よりは高い17万6,000円を受け取ることができます。
もっとも実際の事案では振込手数料や消費税なども発生するので、費用倒れをするかもしれません。
これに対し、弁護士費用特約があれば弁護士費用の2万4,000円を保険会社に負担してもらえるので、損害賠償の請求額より弁護士費用のほうが高くなるのを回避できます。
実例その2:損害賠償金が50万円→150万円に増額した場合
第2の実例として、損害賠償金が50万円から150万円に増額したケースを想定します。経済的利益が100万円なので、着手金として8万円、報酬金として16万円必要です。
弁護士費用特約を利用しなくても100万円増額すれば費用倒れの心配はないでしょうが、弁護士費用特約を利用できないばかりに24万円もの安くない金額を支払わなければなりません。弁護士費用特約のメリットの存在は、弁護士費用が高くなるほど顕著になります。
➡弁護士に支払う費用(着手金+報酬金)=240,000 | |
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最初の損害賠償金 | 500,000 |
請求した損害賠償金 | 1,500,000 |
経済的利益 | 1,000,000 |
着手金 | 80,000 |
報酬金 | 160,000 |
実例その3:損害賠償金が1000万円→2000万円に増額した場合
第3の実例として、損害賠償金が1,000万円から2,000万円に増額したケースを想定します。この場合は着手金として80万円、報酬金として160万円必要になります。
このケースでは、損害賠償額が最終的に1,000万円も増額することを踏まえると結果としては弁護士に依頼したほうがよいといえるでしょう。しかし依頼の時点で240万円の弁護士費用を自己負担するかでその後の生活は大きく異なるはずです。
➡弁護士費用=2,400,000 | |
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最初の損害賠償金 | 10,000,000 |
請求した損害賠償金 | 20,000,000 |
経済的利益 | 10,000,000 |
着手金 | 800,000 |
報酬金 | 1,600,000 |
まとめ・弁護士費用特約が適用できるかしっかり確認!
交通事故の被害者が保険会社に弁護士費用を負担してもらえる弁護士費用特約。加入しているのにこの特約を利用しないのは非常にもったいないことです。
交通事故に遭い加害者に損害賠償金の請求をするにあたって自分の事故のケースで利用できる弁護士費用特約がないかをまず確認してみましょう。
交通事故の被害者になったら弁護士特約の利用をおすすめします!
交通事故で怪我を負った場合、弁護士特約が利用できると、費用の負担なしで弁護士に対応を依頼することが可能です。
依頼を行う弁護士は自分自身で選ぶことも可能です。保険会社との示談交渉を弁護士に依頼することによって、治療費や慰謝料などの示談金を増額できるケースがあります。
初回相談料や着手金が0円の弁護士事務所もありますので、被害者になったらまずは自分が契約している保険会社に弁護士特約が使えるかどうかを確認し、利用可能な場合は弁護士へ相談してみましょう。
【弁護士特約を使って弁護士に依頼するメリット】
・費用の負担をせずに弁護士に依頼ができる
・専門知識が必要な示談交渉を弁護士に任せることにより、
有利かつスムーズに示談交渉を進められる。
・怪我をしている中で交渉にかかる心理的な負担が省ける
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