事故後、ある程度治療を続けても症状回復が見込めない場合、医師が「症状固定」だと判断する
症状固定後の通院費は被害者の自己負担になる
症状固定後も痛みが続く場合は後遺障害等級の申請をしたほうがよい
交通事故でけがをした場合、症状固定までにかかる期間は、加害者に対して請求する治療費に影響します。何故なら症状固定後は、保険会社に治療費を請求できないからです。
被害者としては、きちんとけがを治すまで治療費を支払ってもらいたいところです。したがって、症状固定にかかる期間は重要な問題になります。
そこで今回は、症状固定までにかかる期間を「打撲」、「ムチ打ち」、「骨折」、「後遺障害」の症状別に事例を用いて紹介していきます。
目次
「症状固定」は誰が決める?
症状固定とは、交通事故の後、怪我の治療を続けたとしても、現時点において症状が良くなることはない状態になったときのことを意味します。
症状固定の判断は、けがの種類などによって期間が決まっているわけではなく、被害者の症状の状態によって、医師が判断するものです。ただし、一定の目安はあり、おおよそ6カ月間治療を続けても症状が回復に向かっているわけではない場合には症状固定とされます。
症状別!症状固定までの期間
そこで交通事故における怪我で多く見受けられるむち打ちや骨折について、事例を交えて症状固定までの期間を紹介していきます。
また、これはあくまで例の一つであり、例外もあることを把握しておくとよいでしょう。
打撲の場合の症状固定までの期間例
34歳女性のAさんは、停車中に突然後ろから別の車に追突されました。全身打撲と診断され、症状固定には通院3カ月を要しました。
※打撲の場合、打った箇所によって症状固定の期間はバラバラです。打撲と同時に捻挫になる場合も非常に多く、当サイト調べによれば、約2カ月から3カ月ほどを要すると考えられます。
ムチ打ちの場合の症状固定までの期間例
50歳男性のBさんは、信号待ちで停車中、後続車両に追突されました。頸椎捻挫(いわゆるムチ打ち)と診断され、症状固定までに1年を要しました。
※ムチ打ちは、レントゲンで確認できる症状ではないため、症状として診断されることが難しいけがの1つです。ここで紹介した事例では、症状固定までに1年かかったと認められていますが、多くの場合は2~3カ月とされています。
骨折の場合の症状固定までの期間例
22歳男性のCさんは、車を運転中、後続の車に追突され、左股関節を脱臼骨折しました。症状固定までに2年かかりました。
※骨折は、症状固定までに時間を要するけがです。当サイトの調べたところによれば、骨折箇所にもよりますが、症状固定までに5カ月以上かかると考えられます。
後遺障害の場合の症状固定までの期間例
43歳男性のDさんは、原付バイクで走行中、同じ方向を走っていた車と衝突し、ガードレールに激突しました。外傷性頸部症候群と診断され、症状固定までに2年を要しました。その後、後遺障害等級14級9号と認定されました。
※後遺障害の等級に認定されると、慰謝料額の相場が大きくなります。後遺障害の等級には1級から14級まであり、等級が認められる症状も様々です。
慰謝料にも差が出る?
また加害者に請求できる後遺障害慰謝料にもその金額の基準が3種類あり、それによっては2倍近い差がでることもあります。
症状固定後は通院できない?
症状固定は、あくまでもこれ以上良くなることはないということを認めるだけで、症状固定後には通院してはならないというわけではありません。
ただし、症状固定後の通院費は、被害者が自分で支払わなければなりません。何故なら症状固定だと認めた場合、保険会社は「もう治る見込みのない人に治療費を払う必要がない」と判断して治療費を支払わなくなるからです。
症状固定後なら後遺障害等級を申請できる???
しかし症状固定後も通院を続けることで、けがによる症状が依然として残っていること、その症状は回復困難であることを証明し、後遺障害等級を認定してもらえる可能性があります。
ムチ打ちなどで後遺障害が認められていた場合でも、損害賠償の請求で重要になる、交通事故でけがをしないでいれば働けたはずであろう期間(労働能力喪失期間)を算出する際の判断材料ともなるのです。
保険会社から症状固定を促される場合がある
けがの治療中に、保険会社から「症状固定してください」と言われる場合があります。保険会社がこのような指示を出すのは、被害者の治療費を保険で賄うことを打ち切りたいと考えている場合がほとんどです。
もし、保険会社からそのような連絡を受けても安易に判断せず、弁護士に相談してから判断するようにしましょう。
▼なぜ症状固定をするよう保険会社が言ってくるのかの理由はこちら
後遺症の等級認定と異議の申し立て方法
後遺障害等級の認定は加害者の自賠責保険の会社を通じて行われますが、認定結果に満足できない場合には保険会社の認定結果に異議申立てをすることが可能です。異議申し立ては、以下の3つの方法のどれかを行います。
- 1. 保険会社の行った認定について再審査を行うよう書類を送る方法
- 2. 医師による後遺障害診断書、交通事故証明書などの書類を用意し、自分で後遺障害の等級申請を行う方法(=被害者請求)
- 3. 裁判で争う方法
異議申し立てをするなら弁護士に依頼!
保険会社による認定結果に対して異議を申し立てたとしても、必ずしも後遺障害等級に認定されるわけではありません。安直に送ったところで非該当、という通知がくるだけです。
さらに、自分で後遺障害等級申請を行う場合は、ただ必要な書類を用意するだけではなく、診断書を作成する医師にも協力してもらうなど時間と労力が必要になります。
その代わり弁護士は、後遺障害等級の認定が得られる最善の方法を選択し、効率よく手続きを進めてくれるでしょう。
まとめ 症状固定についてよく知っておくべきコツは・・・
症状固定だと診断されるまでの治療期間は、加害者に治療費を支払ってもらえます。もし症状固定後も痛みなどが続く場合には、後遺障害等級に認定してもらい、慰謝料を請求することが可能です。
ただし、安易に症状固定を認めてしまうと、後遺障害等級の認定に悪影響を与えてしまう恐れがあります。
等級認定の結果については異議申し立てを行うことができますが、手続には時間と労力が必要です。加害者から適切な治療費、あるいは慰謝料を得るためには、保険会社から症状固定の指示が出ても、まずは弁護士に相談すると良いでしょう。
症状固定と診断されたら、その後の示談交渉に関して弁護士へ相談するのがおすすめです!
交通事故でケガを負い、その治療が長期に渡ると症状固定と診断されることがあります。特に相手方の保険会社から症状固定と診断されると、その後の治療費を打ち切られる場合もあるため、一度弁護士へ相談することをおすすめします。
初回相談料や着手金が0円の弁護士事務所もありますので、不安を感じたらまずは弁護士へ相談してみましょう。
【症状固定に関して弁護士に相談するメリット】
・専門知識が必要な示談交渉を弁護士に任せることにより、有利かつスムーズに示談交渉を進められる。
・弁護士に依頼することにより、後遺障害認定に関する手続きをスムーズに行い、かつ『弁護士基準』で後遺障害慰謝料を請求できる。
・ケガをしている中で、交渉にかかる心理的な負担が省ける。
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