交通事故に遭った結果、手に入らない賃金を休業損害という
自営業者の休業損害請求は国や病院などの第三者が介入した書類をもとに作成
休業損害の基礎収入が正確に計算できない場合は賃金センサスが基準になる
交通事故に遭った事で失った賃金を休業損害といいます。基本的な休業損害の請求は第三者による休業損害証明書を提出すればよいのですが、第三者がいない自営業者が休業損害を請求するにはどのように行えばよいのでしょうか。見ていくことにします。
目次
休業損害とは?
何らかの仕事に就いていれば、会社員や自営業者などは収入を得ることが可能です。ところが、交通事故で怪我をして仕事を休むと、会社員は有給でもない限り欠勤とみなされたり、自営業者は営業できない為、収入が減り、場合によっては仕事を失ってしまいます。
このように、交通事故で怪我をしたために仕事ができなくなった結果失ったお金を「休業損害」といいます。
自営業者の「休業損害」請求は大変!
休業損害の請求には証明書が必要!
加害者またはその保険会社に休業損害を請求するためには、請求金額分のお金を失ったことを示す証明書(休業損害証明書)が必要です。被害者の中にはなるべく多くのお金を加害者に対し請求したいと考えるタイプも否めないため、多少水増しして請求する場合があるかもしれません。
つまり、被害者自身が作成した証明書だけでは虚偽の可能性があると否定できない為、休業損害を請求しても通らない事が多いのです。必要なのは被害者やその関係者以外である第三者が介入して作成された休業損害証明書です。
会社員の場合は勤務先が証明書を発行
そこで、会社員が休業損害を請求する場合、通常第三者である勤務先が休業損害証明書を発行することになります。
より正確性を担保するために前年度の源泉徴収票または直近の賃金台帳の写しを貼り付けるのです。
休業損害証明書が発行されない自営業者は個別具体的に証明していく!
これに対し、自営業者の多くは第三者に休業損害証明書を作成してもらうことができません。そのため、休業損害証明書から休業日数を把握することは困難です。そこで、休業の実態を売上の減少など個別具体的な事情から証明していくことになります。
休業損害証明書の作成方法 |
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会社員➡第三者である勤務先が発行する 自営業者➡発行してくれる第三者がいない為自分で行う。但し、病院や税務署などの第三者が作成した書類をもとに作成する。 |
自営業者がしっかりと休業損害を請求するための3つのポイント
休業損害を算定するには、まず日額基礎収入を割り出し、そこに休業日数を掛けます。
この休業日数を判断するにあたっては、どの程度の怪我だったのかを示す診断書が重要です。そのほか、年齢や仕事の内容なども考慮されています。
休業損害=日額基礎収入(1日の収入)×休業日数
日額基礎収入の割り出し方
自営業者の場合、一般に前年度の税務署の受付日付印のある確定申告書から日額基礎収入を割り出します。しかし、収入が安定しない場合には数年分の資料を用いて事故当年の日額基礎収入を算定します。受付日付印のない場合には課税証明書を付けることになるでしょう。
加えて、損益計算書、帳簿から必要な固定費を割り出し、休業損害に加えてください。休業損害として認められるのは事業と関係のある費用だけです。
きちんと税務申告を行っていれば、適正な所得に基づく休業損害を受け取れるでしょう。
税務申告に不備がある人が行うと……
ところが、税務申告に問題があると十分な賠償を受けられる可能性が低くなります。
過少申告をしていた場合でも、総勘定元帳・売上台帳・仕入台帳など客観性の高い資料を用いれば収入の実態を個別に証明していくことは可能です。
しかし、このような資料がなければ収入金額を客観的に証明できない為休業損害が少なくなってしまうでしょう。
そもそも何かしら生計を立てる手段がなければ生活できないので、あらゆる帳簿がないからといって休業損害が全く認められないケースはあまりありません。
正確な計算ができない場合は賃金センサスが適用される
正確に休業損害を算定できない場合には賃金センサスを基準として、その一定割合の支払いが認められる傾向にあります。ただし、その額は少額で、1日あたり1万円を下回ることも少なくありません。
個人事業主の休業損害は、どういった費目が休業損害として認められるのかなど争われる点が多いので、悩んだなら弁護士に相談してください。
3つのポイントのまとめ
1 休業日数を証明する為の診断書がほしい
2 毎年提出している確定申告書から1日の収入を割り出す
3 事業に関係する必要固定費を帳簿から計算して休業損害に加える
日ごろから会計帳簿をキチンとつけよう!
自らの体が資本となる個人事業主にとって、働けなくなることは死活問題です。万一の時に休業損害として適正な額を受け取れるように、日ごろから会計帳簿をきちんと記入しておくようにしましょう。
それでも争われる可能性が高いので、自分の手に負えないと感じたなら休業損害請求に関して弁護士に相談してみましょう。
交通事故での慰謝料を請求するにあたり、交渉を有利に進めたい場合は弁護士への依頼がおすすめです!
交通事故でケガを負った場合、慰謝料請求を弁護士に依頼することによって、治療費や慰謝料などの慰謝料を増額できるケースがあります。
初回相談料や着手金が0円の弁護士事務所もありますので、慰謝料を請求するにあたり不安を感じたらまずは弁護士へ相談してみましょう。
【交通事故の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット】
・専門知識が必要な示談交渉を弁護士に任せることにより、有利かつスムーズに示談交渉を進められる。
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