後遺障害等級の審査は損害保険料率算出機構という第三者機関が行う
後遺障害の認定期間は30日以内に出るのがほぼ8割のケース
事前認定による申請で1ヶ月以上かかる場合は催促するか被害者請求の切り替えを検討しよう
交通事故で負った怪我を症状固定だと判断した後に被害者がすることは、怪我を後遺障害だと認めてもらうために、書類を保険会社に申請する事です。
一般に後遺障害等級の申請といわれますが、申請してから結果が届くまでどれくらいの日数がかかるのか、一向に返事が来ない場合はどうするのか、紹介します。
目次
後遺障害等級の申請には症状固定の診断が必要
後遺障害を申請するためには、交通事故の被害者の怪我が症状固定だと診断される必要があります。症状固定とは、病院に通い続けても、それ以上症状が良くも悪くもならない状態です。
主な症状別に、症状固定になるまでの期間目安を紹介していきます。
症状固定と判定される期間は怪我によって異なりますが、交通事故の怪我の7割を占めるむち打ちに関しては、治療を開始してから6ヶ月以上が目安といわれています。ですがこの期間はあくまで平均ですので、個人間の差は存在します。
症状固定後の後遺障害等級申請の流れ
症状固定が認定された後は後遺障害の認定を申請します。後遺障害の審査をおこなうのは損害保険料率算出機構と呼ばれる第三者機関で、こちらの機関の審査内容を元に自賠責保険会社が等級を認定します。
症状固定後の後遺障害等級申請の流れを理解してもらいやすくするため
まずは全体の流れをイラストにてご紹介します。
後遺障害の申請方法は二つある
後遺障害の申請の方法は事前認定と被害者請求の2種類があります。事前認定は後遺障害の申請を相手の任意保険会社に任せる方法です。被害者請求は相手の自賠責保険会社に対して、被害者側が自分で資料を集めて後遺障害の申請を行う方法です。
両者、メリットとデメリットがありますので、詳細については本サイトの下記記事を参照してください。
結果に納得いかない場合は異議申立の選択がある
申請にかかる期間は平均で1ヶ月、遅くて3ヶ月ぐらいと考えましょう。
後遺障害申請後に判定される後遺障害等級で、何級の認定を受けるかによって被害者が受け取れる後遺障害慰謝料の金額は大きく左右されます。認定の結果によっては自分が想定していた等級よりも下になってしまったり認定されなかったり、悔しい思いをする人も少なくはありません。
自分の症状と見比べて納得できる後遺障害等級ではないのであれば異議申立が行えます。しかしただやみくも異議申立をしたところで結果が覆ることはありません。覆るだけの資料と根拠が必要です。それら資料を集める為にできるだけ早めに弁護士と相談するようにしましょう。
弁護士に相談する際は弁護士費用特約がついているか確認しておこう
そして弁護士に相談していざ依頼する場合、問題となるのが高額な弁護士費用です。しかし被害者がつけている保険契約の中には弁護士費用特約という、加入していれば弁護士費用を保険会社が負担してくれるオプションが付随しているケースもあります。弁護士費用特約のメリットに関してはこちらの記事をご覧ください。
後遺障害の認定までの調査期間は30日以内で結果を出す事が多い
後遺障害等級の審査を行っている損害保険率算出機構は、各種の申請手続きに要した認定期間を毎年出しています。下記グラフが後遺障害認定にあたる調査の所要日数を調べたものになります。
「自動車保険の概況 2018年版」に記載されたまとめを参照すると、30日以内で調査結果を出すケースが9割越えであることがわかるでしょう。2017年度は後遺障害全体の78.4%が30日以内で調査を終えています。31日~60日は11.6%、61日~90日は5.5%、90日間かかる場合は全体の4.5%です。
また傷害の調査期間は30日以内で結果を出すのが98%と通例になっていて、31日以上かかることは稀と言えるでしょう。
1ヶ月以上かかる場合は書類不備の可能性も
後遺障害等級を申請して30日以内に結果が出ない場合は、審査になんらかの支障がでている可能性があります。
例えば、提出した書類に不備があったりすぐに判断できない症状の申請ですと、調査が長引く原因となるでしょう。また高次脳機能障害のように、医師の専門的な知識が必要になるために回答待ちで時間がかかるなど、調査機関だけでは判断できないケースも存在します。
後遺障害の認定結果が長引いた場合の対処方法
事前認定が長引いた場合は、保険会社の対応に遅れがでている可能性があります。
保険会社の担当者は同時並行で10件以上の案件を対応することも珍しくないからです。担当者が忙し過ぎるのであれば、自分の案件への着手が遅れるのも仕方がないことでしょう。
事前認定での申請で遅い場合は保険会社の対応が遅れている
しかし保険会社の担当者があえて自分の案件を後回しにしているケースもあります。
案件の深刻度によって優先度をつけて作業している場合、自分の事故が軽微であれば、処理は後回しにされてしまう可能性も考えられます。
損害保険率算出機構の調査期間は上記のように通常1ヶ月以内の為、よほどややこしい後遺障害の申請でなければ、調査の誤差が少ないはずなのです。複雑な後遺障害ではないのに、結果の通知が遅い場合は保険会社の処理が止まっていると考えましょう。
対処法①:事前認定の場合は保険会社に催促する
後遺障害診断書を提出してから1ヶ月過ぎても、連絡がないのであれば、相手の任意保険会社に手続きの進捗状況を確認してください。
仮に、任意保険会社が自賠責保険会社への書類申請をまだ済ませていないなら、定期的に催促するようにしましょう。自分の案件の優先度を高くしてもらえるように積極的に動くことが必要です。いくら催促をしても手続きが進まないようであれば、自分で手続きを進めた方がよいかもしれません。
対処方法②:申請方法を被害者請求に切り替える
保険会社に後遺障害認定の依頼をしている最中であっても、自身が手続きをおこなう被害者請求に切り替えることは可能です。被害者請求は自分だけで申請できますが、手続きは煩雑な部分が多いので、不安がある人は弁護士へ依頼をするようにしましょう。
被害者請求で重要なのは「症状を証明する資料集め」
被害者請求で特にネックになるのは、必要となる資料をすべて集めることです。被害者請求に必要な書類はさまざまな種類があるので、面倒くさくなり後回しにしてしまう人も多いでしょう。後遺障害等級の申請に必要な書類は下記の書類になります。
しかし早期に資料が集められなければ、後遺障害の認定結果が出るのが長引く原因となります。例えば、病院に依頼する資料はそのときの混み具合によって時間がかかるものです。特に診断書や診療報酬明細書の照会に1~2ヶ月かかることも所も多いでしょう。医師も保険会社同様患者を多数抱えている為、即日で作成は不可能です。
病院にクレームを入れても処理が早くなることは期待できませんので、被害者請求をすると決めた時点ですぐに作成依頼を申請するしかありません。
従って申請に必要となる上記の資料集めは迅速に行うようにしてください。
もしも資料集めが難しいと感じたら弁護士に依頼を検討しよう
自分で書類を集めるのが難しいと感じたら、弁護士に依頼しましょう。弁護士は後遺障害申請の手続きのプロですので、書類集めには慣れていますし、書類の作成や事故状況の取りまとめもスムーズにおこなってくれます。
弁護士に依頼すれば、自分にかかる手間を大幅に減らすことができるでしょう。弁護士の指示に従い、必要最小限の書類を用意するだけです。また、慣れていない人が自分で手続きをおこなうと、いろいろと不備が出てしまいがちですが、弁護士に依頼すればその点も心配ありません。
交通事故に関して弁護士に相談する場合、上記の条件を満たしている弁護士事務所に相談するべきでしょう。弁護士はほぼ満遍なく業務に対応できますが、どの弁護士にも得意分野が存在します。交通事故が得意分野の弁護士に依頼したほうが、後遺障害等級の申請の認定率も上がるからです。ま
た相談料が不安な方は、市役所などが開催している無料相談を狙って相談するのもよいかもしれません。その他、交通事故に強い弁護士を探す際にはこちらの記事をご覧ください。
まとめ・後遺障害の認定期間は30日以内がほとんど
後遺障害は症状固定後に加害者側の保険会社に対して後遺障害診断書や必要な書類を提出することで判断されます。後遺障害の認定はおおよそ30日以内で結果が出るケースがほとんどです。
それ以上かかる場合は、保険会社の対応に不備がある可能性があります。
場合によっては弁護士に依頼し、自分自身で被害者請求をおこなった方がよいでしょう。
後遺障害の等級認定を受けるにあたり、スムーズかつ的確に進めたい場合は弁護士への依頼がおすすめです!
交通事故でケガを負い完治しないと判断された場合(症状固定)、適正な損害賠償額を受け取るためにも後遺障害の等級認定を受ける適正な等級認定を得るためには、書類作成から専門家である弁護士に相談するのがおすすめです。
初回相談料や着手金が0円の弁護士事務所もありますので、示談交渉に不安を感じたらまずは弁護士へ相談してみましょう。
【後遺障害認定を弁護士に依頼するメリット】
・後遺障害認定に関する書類作成や審査などは専門的な知識が必要となるため、専門家である弁護士に任せることにより、スムーズに手続きを進めることができる。
・専門家により適正な障害等級を得ることができ、後遺障害慰謝料の増額が見込める。
・ケガをしている中で、心理的な負担を省ける。
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