後遺障害等級の申請は二つあるが自分で行う被害者請求が認定されやすい
保険会社が行う事前認定の場合、自分の怪我に適切な後遺障害等級が認定されない可能性がある
怪我の等級や基準によって受け取る慰謝料に差がある為、自分の怪我が何級に該当するか確認する
交通事故で怪我を負い、症状固定だと診断された後は後遺障害等級を申請するのが基本の流れです。
後遺障害等級の申請は事前認定と被害者請求の二つがありますが、被害者請求のほうがよいといわれています。
何故事前認定ではなく被害者請求をお勧めするのか、その疑問にお答えします。
目次
後遺障害の申請方法は2通り|どちらの場合も申請先は同じ
交通事故で強い衝撃を受けると、体の一部に何らかの症状が残ったまま完治しないことがあります。このように、事故後の治療が功を奏さずに残ってしまう症状を「後遺症」と呼びます。
★後遺症と後遺障害の違い★ | |
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後遺症 | 事故で受けた怪我を治療しても完治せずに機能障害や神経障害として体の一部に残り続けること |
後遺障害 | 交通事故で負った怪我が症状固定になり、事故との関連性・整合性といった相互の因果関係が認められた上、その怪我の存在が医学的に証明・説明できる状態で労働能力の喪失低下を伴うもの |
後遺症のうち、その症状が事故との関連性があり、医学的に説明または証明できるもので、労働能力の低下・喪失を伴い、その程度が自賠法施行令の等級に該当するものを特に「後遺障害」と呼んでいます。
後遺障害による逸失利益や後遺障害慰謝料を請求するには、原則として「後遺障害」に該当しなければなりません。
後遺障害であると認定してもらうための申請方法には、事前認定と被害者請求の2種類があります。
後遺障害等級の申請方法①:事前認定
事前認定は、加害者側の任意保険会社が必要な書類をすべて取り揃え後遺障害等級認定の申請を行ってくれる手続きです。
さらに、一括払いの手続きを採ると、自賠責保険で賄われる範囲も含めて任意保険会社が支払ってくれます。
事前認定には保険会社の闇が存在する
ですが事前認定にも被害者によって不利益なことがおこります。
それは任意保険会社によっては後遺障害慰謝料を支払いたくないが為に、申請に必要な書類をあえて提出しなかったり、最低限の書類しか用意しなかったり、書類に不備があっても訂正してくれなかったりする悪質なケースをおこすことです。
事前認定による申請では後遺障害だと認められなかった為、今度は被害者請求で申請をしたところ後遺障害として認められ、保険金を受け取れた事例は少なくありません。
後遺障害等級の申請方法②:被害者請求
これに対し、被害者請求とは、被害者が自ら必要な資料を集め、加害者の自賠責保険会社に対して後遺障害等級認定を直接申請する請求方法です。
資料を集めるため手続きは煩雑ですが、怪我に対して正しい等級認定を得られるように自身に有利になる資料を用意するなどの主張が可能です。
また自賠責の限度額分の保険金を任意保険会社との示談を待たずに受け取ることができます。
申請者は違うが、申請先は一緒
事前認定と被害者請求では誰が申請するかという違いはあるものの、いずれも最終的な申請先は加害者側の自賠責保険会社にある損害保険料率算出機構です。
そして申請先である損害保険料率算出機構が調査をする点では、事前認定も被害者請求も異なりません。
もし提出資料が同じであれば等級認定結果も同じになるはずですが、提出資料が違う為、申請の結果も自ずと異なってくるのです。
書類不備により後遺障害認定が遅れることも!申請に必要な書類と取得先を把握しよう
加害者側の任意保険会社が手続きを代行してくれる事前認定では、被害者は後遺障害診断書を用意するだけで済みます。
これに対し、被害者請求では後遺障害診断書のほかに、自賠責保険金請求書、交通事故証明書、事故発生状況報告書、診断書、診療報酬明細書、レントゲン写真などの検査結果など様々な書類が必要です。
また、認定が微妙だと思われる事案では、専門医の意見書を合わせて提出することもあります。要は、後遺障害だと認定されるために必要な資料を提出すればいいのです。
後遺障害申請に必要な書類の入手先
★後遺障害等級の申請に必要な書類と貰える場所★ | |
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後遺障害診断書 | 通院中の病院 |
自賠責保険金請求書 | 自賠責保険会社から書類を貰う |
交通事故証明書 | 自動車安全運転センター |
事故発生状況報告書 | 自賠責保険会社から |
通院交通費証明書 | 自賠責保険会社から |
印鑑証明書 | 市町村の市役所 |
休業損害証明書 | 勤務先が作成 |
診断書 診療報酬明細書 検査結果のデータや写真 | 通院中の病院 |
自賠責保険金請求書は自賠責保険会社で、交通事故証明書は自動車安全運転センターで、診断書や診療報酬明細書、検査結果は治療を受けた病院でそれぞれ取得できます。
交通事故証明書や診断書や診療報酬明細書のように加害者側の任意保険会社に請求すれば写しを送ってもらえる書類もあるので、書類を集める際にはまず一度保険会社に問い合わせてみても良いでしょう。
結果通知は申請してから30日~60日
後遺障害の申請をしてから結果の通知までには、約1ヶ月~2ヶ月かかります。
死亡事故でも損害保険料率算出機構の調査は1ヶ月ほどで終わるものがほとんどですが、提出書類に不備があると調査が長引いてしまいます。
また、高次脳機能障害のように書類だけでは判断の難しいものであれば、主治医やほかの医師の専門的な意見を聞く必要があるので、調査期間が長引くおそれがあるでしょう。
後遺障害申請は“被害者請求”が良い?その理由について解説
被害者請求のデメリットは集める資料の多さ!それを解決するには……
もっとも、被害者請求を行う場合の最大のネックは収集すべき資料が多いことです。
そこで、被害者請求を弁護士に依頼して後遺障害の申請を進めてもらう方法がおすすめです。
弁護士に依頼する理由は「安心感がある」「後遺障害認定の可能性が高まる」「慰謝料増額の見込みがある」の3点です。
弁護士に任せるメリット3点
★被害者請求を弁護士に一任するメリットとその理由★ | |
---|---|
安心感がある | 弁護士は依頼者の利益を最優先する為、一任しても裏切られる事がない |
後遺障害認定の可能性が高まる | 弁護士から書類作成並びに入手する際のアドバイスを貰えるため |
慰謝料増額の見込みがある | 後遺障害等級の認定=後遺障害慰謝料が受け取れる為、増額になる 後遺障害慰謝料の金額基準も弁護士基準で請求できる |
弁護士が面倒な手続きを代行してくれるので、被害者の負担は軽減されるはずです。
加害者側の任意保険会社と違い、弁護士は被害者の利益を最優先に考えるので、安心して任せられるでしょう。
必要な資料に関して弁護士から専門的なアドバイスを受けられるので、後遺障害だと認定される可能性が高まります。
後遺障害だと認定されればもちろん慰謝料の増額も見込め、弁護士費用を上回って損害賠償金を受け取れる経済的なメリットがあるケースも多くあります。
まとめ・後遺障害だと認定されるか何級に認定されるかが運命の分かれ目!?
後遺障害であると認定されるかによって、後遺障害による逸失利益や後遺障害慰謝料を受け取れるかが決まり、最終的な示談金の金額が数百万円も変化するケースが少なくありません。
このため、後遺障害等級の申請方法は被害者の重大な関心事でもあります。
怪我で何級に認定されるかによって慰謝料が変わる
★足指の欠損障害の後遺障害等級の金額★ | ||
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自賠責基準 | 弁護士基準 | |
5級8号 | ¥5,990,000 | ¥15,740,000 |
8級10号 | ¥3,240,000 | ¥8,190,000 |
9級14号 | ¥2,450,000 | ¥6,160,000 |
10級9号 | ¥1,870,000 | ¥4,610,000 |
12級11号 | ¥930,000 | ¥2,240,000 |
13級9号 | ¥570,000 | ¥1,390,000 |
後遺障害の等級認定を受けるにあたり、スムーズかつ的確に進めたい場合は弁護士への依頼がおすすめです!
【後遺障害認定を弁護士に依頼するメリット】
・後遺障害認定に関する書類作成や審査などは専門的な知識が必要となるため、専門家である弁護士に任せることにより、スムーズに手続きを進めることができる。
・専門家により適正な障害等級を得ることができ、後遺障害慰謝料の増額が見込める。
・ケガをしている中で、心理的な負担を省ける。
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