自賠責保険は強制加入保険。入らないと罰せられる
自賠責保険は対人のみに保険が適用される。物損は適用外
自賠責保険に入らないと免停処分の上、重い処分が下る
実は自賠責保険に加入することは法律で義務付けられているのです。今回はその自賠責保険についてみていくことにしましょう。
目次
自賠責保険の内容と、その特徴
自賠責保険とは、自動車損害賠償保障法上、すべての車両に加入が義務付けられている強制保険です(自賠責法5条)。とりわけ人損事故による損害は総じて高額になりやすく、保険制度がなければきちんと賠償金が支払われない結果、被害者が経済的に追い詰められてしまいます。そこで最低限の被害者補償として設けられたのが自賠責保険です。ディーラーや修理工場、保険会社の支社などで申し込むことができます。
自賠責保険ではいくらもらえるの?
被害者は、加害者の加入している損害保険会社に直接保険金を請求できます(被害者請求)。自賠責保険における保険金の額や基準は自賠法13条1項・自賠法施行令2条で確認してください。
傷害による損害であれば治療費などとして120万円まで、死亡による損害であれば葬儀費用や逸失利益として3,000万円まで支払われます。
傷害による治療費 | 1,200,000 |
死亡による葬儀費用や逸失利益 | 30,000,000 |
さらに後遺障害による損害であれば後遺障害の程度に応じて逸失利益や慰謝料を受け取ることができます。ただし、被害者に重大な過失がある場合には、過失割合に応じて支払金が減額されます。自賠責保険の請求権には3年間の消滅時効が定められているので、注意してください。
自賠責の保険金はすぐに支払われるわけではない
被害者は事故直後から治療費などとしてお金を支払いますが、自賠責保険の保険金は事故後すぐに支払われるわけではありません。このため、当座の費用を賄うための「仮渡金制度」があります。 これを利用すると、死亡の場合290万円、傷害の場合は程度に応じて5万円、20万円、40万円を受け取ることができます。
自賠責保険はあくまで最低限の補償しかしてくれない
たとえば年収600万円の30代男性が亡くなった場合、遺族はその後30年分の給料(1億8,000万円)を受け取れなくなります。通常給料から生活費などを支払うので、この男性が生きていたとしてもそのすべてを受け取れるわけではありません。
しかし、受け取れたはずの金額が3,000万円を大幅に超えていることは間違いありません。このように自賠責保険による補償はあくまでも最低限にすぎません。ただし、上限額は被害者1人あたりの金額なので、被害者が2人以上いれば支払額は増えます。
自賠責保険の補償額を超える損害については任意保険でカバーされます。また、自賠責保険は人身事故に限って適用され、他人の車を壊した場合も任意保険でカバーすることになります。「任意」という言葉で示されているとおり、任意保険に加入するどうかは自由に決められますが、万一の時に備えて加入しておくと良いでしょう。約7割の人が任意保険に加入しています。
それに忘れちゃいけないが、自賠責保険のは対人、人身事故のみ適用じゃよ。
自賠責保険に加入していないとどうなる?
自賠責保険に加入していないケースには、自動車を入手したときから保険に加入していない場合と自動車を利用している途中で自賠責保険の加入期間が過ぎた場合があります。自賠責保険の保険期間は車種などによって異なりますので、きちんと把握しておきましょう。
特に、保険期間切れに注意が必要なのは車検のない250cc以下のバイクに乗っている場合です。250cc以下のバイクに乗車する場合、自賠責保険の満期を示すステッカーが交付されます。自賠責保険の期限が切れる月が示されているので、車検がなくても、保険期間が切れた後の更新を忘れずに行いましょう。
自賠責保険に加入していない車を運転したら罰せられる
自賠責保険に入っていない (無保険運行) | 1年以下の懲役 50万円以下の罰金 |
車検していない (無車検運行) | 6ヶ月以下の懲役 30万円以下の罰金 |
自賠責保険に加入していない車を運転したら、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます(自賠責法86条の3第1号)。また、車検を受ける際にも自賠責保険の証明書が必要です(同法7条)。車検をしていない車を運転したら、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科されます(道路運送車両法58条1項)。
Q:自賠責保険に入っていない車を運転するとどれくらいの罰を受けるの? |
A:無保険運行と無車検運行のうち重い罰則が適用される為、無保険運行が適用される。また、自賠責保険未加入車を運転すると一気に6点の違反になるため免停になる。 |
つまり、自賠責保険に加入していない場合、無保険運行と無車検運行という2つの法律違反を犯していることになるのです。この場合、より重い方の罰則が適用されます(刑法54条1項前段)。このため、その悪質性等に応じて1年以下の懲役または50万円以下の罰金という刑の範囲で処罰を受けます。加えて自賠責保険未加入車を運行すると、それだけで免停になります(違反点数6点)。
豆知識:免停 |
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免停は前歴が多ければその違反点数も少なくなってきます。 |
任意保険はあくまで自賠責保険を補填するようなもの
支払額の上限が設けられていない任意保険に加入していた場合でも、自賠責保険の補償範囲については任意保険の保険金が支払われません。自動車保険パンフレットや約款に「自賠責保険で支払われる部分を除きます」といった1文が記載されているはずです。
さらに、損害額が自賠責保険の補償額を超えない限り、原則として保険会社は交通事故の相手との示談交渉を行ってくれません。
まとめ・自賠責保険の基本的な事について
車を運転する以上、最低限自賠責保険には加入しておかなければなりません。自賠責保険に加入していないと刑罰の対象になるほか、さまざまなデメリットがかかってきます。自賠責保険の月々の負担は高い額ではありませんので、きちんと申し込み手続きを済ませておきましょう。入らなかったことで自賠責保険以上の金額を支払う事になっても後の祭りです。
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