交通事故の被害者になったとき、自賠責保険で支払われる慰謝料の計算方法を徹底解説!

公開日:2016/05/16
最終更新日:2018/09/05

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ムチ打ち交通事故保険慰謝料被害者

むち打ちの治療費やけがの慰謝料に悩む被害者のイメージ画像

 

 自賠責保険の支払限度額は\1,200,000。超えた分は任意保険から支払われる

 傷害慰謝料の計算方法は、入院は入院日数、通院は実際の通院日数×2と治療期間を比較して少ない日数が適用される

 物損事故は自賠責保険の補償外なので直接加害者に請求する

ナビ夫

交通事故で負った被害者の怪我の治療費や慰謝料は、相手方が加入している保険会社から支払われます。

しかし相手が自賠責保険にしか加入していない場合は、支払金額に限度があります。ここでは、自賠責保険の支払限度額や計算方法についてみていきます。

自賠責保険の支払い金額には上限がある

アシスト爺ちゃん
りんね、自動車保険には2種類あると話したことを覚えているか?
りんね
うん。強制的に入らなくちゃいけない「自賠責保険」と入るのが自由な「任意保険」だよね?
アシスト爺ちゃん
その通りじゃ。そして自賠責保険は、最小限の補償しかされないのじゃ。例えば対象は被害者の怪我とかで加害者の怪我や車の修理費は支払われん。なにより支払金額にも上限があるんじゃ。
りんね
本当に最小限なんだ……。じゃあ、もしそれ以上にお金がかかったらどうするの?
アシスト爺ちゃん
もしそれ以上かかったら任意保険がその上回った金額を支払ってくれるんじゃよ。だから任意保険には入っておくのが何かと安心じゃ。

車を購入したら強制加入する保険が自賠責保険です。自賠責保険に加入することは法律でも決められているため、加入していないと法律違反となり罰則が課せられます。

自賠責保険未加入は法律違反について詳細はこちら

自賠責保険が負担できる損害と負担できない損害

★自賠責保険の大前提★
自賠責保険が負担できる損害➡人身事故(被害者の怪我)
自賠責保険が負担できない損害➡加害者側の怪我・物損事故

この自賠責保険は交通事故の被害者に対して最低限の補償を行うことを主とした保険で、基本的には交通事故の被害者の身体に関わる損害だけしか対応できません。

例えば、被害者の怪我は補償の対象になりますが、車を壊された、家の塀を壊されたという物理的な損害(物損)は対象外となってしまうのです。また加害者側の損害は補償外になります。

つまり、人身事故は対応できて物損事故は対応できないのです。

自賠責保険の支払限度額

自賠責保険には補償される損害の範囲と同時に支払限度額も決められています。この限度額を超える損害賠償を支払う場合は、任意保険を使うか、自己負担で被害者に損害賠償額を支払わなければなりません。

<自賠責保険で支払われる限度額>
傷害 ¥1,200,000
後遺障害等級に応じた金額 ¥320,000(14級)~¥11,000,000(1級/※要介護の場合は金額が変化)
死亡 ¥30,000,000
<自賠責保険で被害者に支払われる項目>
治療費 病院での検査や治療、または、整骨院や鍼灸院での施術費も全額支給。
交通費 通院のための交通費も支給。
入院雑費 入院が必要になった場合はベッド代などが支給。
文書作成費 診断書の作成などにかかった費用。
休業損害 怪我により働けなくなった場合、通院により勤務時間に制限ができ通常の給料より低くなってしまった場合に補填される金額
傷害(入通院)慰謝料 怪我によって通院を余儀なくされた場合に考えられる精神的苦痛に対する慰謝料。
後遺障害慰謝料 怪我が後遺障害になり事故前の生活を送れなくなった精神的苦痛に対する慰謝料。後遺障害の等級によって金額が変化
死亡慰謝料 被害者が死亡したとき遺族への精神的苦痛や被害者自身への精神的苦痛に対する慰謝料。扶養人数によって変化

自賠責保険の適用は保険会社の支払う総支払い金額が120万円を超えないのみです。

つまり治療費だけで120万円ではなく、治療費や交通費、入院雑費などを含めた金額の支払い限度額が120万円ということになります。

もし相手が自賠責保険のみの加入だった場合の限度額越えはどうするの?

加害者が自賠責保険にしか入っていない場合、示談などのやり取りは加害者本人と直接行います。なぜなら、自賠責保険には示談を代行するサービスがないからです。そのため、被害者と加害者同士の話し合いで解決しなければなりません。

Q:賠償が120万円を超えてしまって相手が支払えない場合はどうすればいいの?

A:被害者から保険会社に直接請求できる「被害者請求」という制度を利用する

しかし、自賠責保険の120万円を超えてしまった場合や、被害者に後遺症の残るような怪我(後遺障害に認定された場合)はどうなるのでしょうか?

そういった場合のために、被害者から自賠責保険会社に対し損害賠償金の支払いを直接請求できる「被害者請求」という制度が用意されています。

これは加害者から十分な賠償を受けることができない場合に行う請求方法です。この制度により、いわゆる泣き寝入りを防ぐことができます。

被害者請求についてはこちら

交通事故の慰謝料がいくらもらえるのかは「何基準」で計算するかによる

交通事故の慰謝料には「3つの基準」が存在し、その基準ごとに金額が決まっています。

3つの基準
・自賠責基準
・任意保険基準
・裁判所基準

まずは強制保険とも呼ばれる「自賠責保険」の自賠責基準、そして任意で加入する「任意保険」の保険会社が決めた任意保険基準、さらに、弁護士会によって決められた「裁判所基準」です。

最も高い慰謝料基準は裁判所基準、低い基準は自賠責基準となっています。通常、保険会社は慰謝料算定の時、自賠責基準で算定してくることが多いのです。

★入通院慰謝料の計算式★

▼自賠責基準:入院➡入院期間×4,200
      :通院➡治療期間×4200 or (通院した日数×2)×4200
▼弁護士基準:公開されている慰謝料の表を見る

入通院慰謝料を任意保険基準または裁判所基準にするには

まずは「任意保険」について説明します。これは自賠責保険の範囲を超えてしまった場合(120万円)に保険会社から補填される金額ですので、被害者が自ら「任意保険基準で計算してくれ」と依頼する必要はありません。

裁判所基準で慰謝料の計算を希望する場合は「弁護士」を立てる必要があります。被害者が自ら示談交渉を行う場合は、裁判所基準は使うことができません。

Q:つまりどうすれば基準方法を変更できるの?

A:任意保険基準は自賠責保険以上のお金がかかった場合、加害者が任意保険に入っていれば支払われる。裁判所基準は弁護士がいなくては変更できない(弁護士会が定めている基準であるため)

さらに、これらの慰謝料はあくまで「入通院慰謝料」です。ムチ打ちによる入通院慰謝料で「大幅な慰謝料の増額」「慰謝料」を希望することは、相手の保険会社にも良い印象を与えることができず、余計な火種を生むことにもつながりますので注意してください。

りんね
高い基準を使うには被害者本人の力だけじゃ厳しいんだね。
アシスト爺ちゃん
そうじゃ。特に裁判基準は弁護士しか使うことができないからのう。

自賠責基準の計算式

自賠責保険の入通院慰謝料は決まっており、1日につき4,200円です。
入院期間は入院日数に4,200円をかけた費用です。

通院期間の計算方法は少し難しいですが、治療期間or実際に通院した日数×2の少ない方に4,200円をかける計算になります。「少ないほう」というのがポイントです。

Q:入院日数なし、治療期間100日で実際に通院した日が70日だった場合の入通院慰謝料は?

A:下記の計算方法で¥420,000です

100日×4,200=420,000円。

70×2=140(通院)>100(治療期間) で通院期間の方が多くなるので、入通院慰謝料で適用するのは治療期間です。 

つまり、治療期間より多く通院しても慰謝料は増えません。慰謝料を増額しようとして多く通院しようとする人はいないと思いますが、このような計算式になっている以上、慰謝料目的の過度な通院は無意味と言えるでしょう。

アシスト爺ちゃん
実際に通院した日数の2倍というのが少しややこしいが、覚えてしまえば楽なんじゃ。ただ、どんなに通っても自賠責では120万が限度だから注意じゃ。

裁判所基準の計算方法

弁護士基準(裁判基準)は自賠責基準のような計算式ではなく、通院と入院の軸で決められた表の数値がそのまま金額になります。

しかし他の基準と違うのは、むちうちとそれ以外で表がわかれているということ。
これは、むちうちは他の怪我とは違い、他覚症状(他人から見てわからない怪我)が多いため、金額が安くなっているためです。

Q:入院日数なし、治療期間100日で実際に通院した日が70日だった場合の入通院慰謝料は?(怪我は骨折とする)

A:下記の計算方法で約¥520,000です

通院日数70日=2か月10日
2ヶ月=520,000

弁護士基準の入通院慰謝料は「損害賠償額算定基準」に記載された表で計算します。尚、こちらの表では日数ではなく1ヶ月を30日として繰り上げられます。

自賠責保険の範囲「120万円」は合計金額

合計金額を指し示すイメージ画像

自賠責保険の範囲「120万円」はあくまで全ての合計金額です。「治療費」「交通費」「入院雑費」「文書料」「休業損害」「入通院慰謝料」の合計金額の上限が120万円

これを超えた場合、加害者が任意保険に加入していれば、任意の保険会社が補填し、加入していなければ、加害者の実費となります。

加害者が自賠責保険にしか入っていない場合

 自賠責には示談交渉サービスがないことをアピールする画像

加害者が自賠責保険にしか入っていない場合、上記のようなお金のやり取りは加害者本人と直接行わなければならなくなります。

なぜなら、自賠責保険には示談を代行するサービスがついていないからです。そのため、被害者と加害者同士の話し合いで解決しなければなりません。

Q:賠償が120万円を超えてしまって相手が支払えない場合はどうすればいいの?

A:そういう時のために被害者から保険会社に直接請求できる「被害者請求」がある。

しかし、自賠責保険の120万円を超えてしまった場合や、後遺症の残るような怪我(後遺障害に認定された場合)はどうなるのでしょうか?

そういった場合のために、被害者から自賠責保険会社に対し賠償金の支払いを直接請求できる「被害者請求」という制度が用意されています。

これは加害者から十分な賠償を受けることができない場合に行う請求方法です。この制度により、いわゆる泣き寝入りを防ぐことができます。

被害者請求についてはこちら

自賠責保険は物損事故にはどう対応してくれるの?

しかし前述したように自賠責保険で支払えるのは、被害者の身体的損害の損害賠償金のみです。つまり、事故によって生じた車の修理費用や庭のブロック破損等、「物損」については加害者に損害賠償金を請求することができないのです。

Q:相手が自賠責保険しか入っていない場合の物損事故の対応はどうするの?

A:加害者自身に直接請求する

物損事故の場合、前提として相手側の自賠責保険は使えません。つまり自身が被った物損の損害を明確にした後、加害者に物損の損害賠償を請求するしかありません。

破損した車の修理費はもちろんのこと、車内に置いておいた物が破損していた場合や身につけていた物が事故によって壊れてしまった場合、これらは全て加害者に損害賠償を請求することができます。

もし加害者が対応を渋ったら弁護士に頼もう

もし加害者側が自己負担だとわかれば「支払わない」または「支払いを渋る」といった選択をとる事が少なくありません。

そういった場合は、被害者がいくら訴えても聞く耳を持たないでしょうから、法的手段を使わざるを得ないでしょう。

一番得策なのは、加害者との交渉を全て「交通事故案件に強い弁護士に一任する」ことです。一向に取り合わない加害者に対する被害者の精神的負担も軽くなりますし、余計な手間も省くことができるので楽に解決することが可能になります。

被害者と加害者で話し合っても埒があかない場合はプロにお任せするのも、精神的負担も軽くなりますし、余計な手間も省くことができるので楽に解決することが可能になります。

また、自賠責保険には「時効」があるのでその点にも注意してください。自賠責保険の請求権の消滅時効は「事故日の翌日から起算して3年」「後遺障害による損害は症状固定日の翌日から起算して3年」となっています。

被害者、加害者間でもめていると、怪我などによる損害の請求もできずに時効を迎えてしまう可能性もあるので、長引きそうな気配がしたらこちらもプロである弁護士にお任せした方がいいと言えるかもしれませんね。

自賠責基準の休業損害はいくらもらえるのか?

休業損害とは交通事故による怪我が原因で働けなくなった結果、事故前と比べて収入が減少してしまう消極損害の一つです。

自賠責保険の基準では1日あたりの支払い金額が5,700円となっています。但し、例外として1日の収入額が5,700円を超えると認定された場合はその実際の金額を1日あたりの支払金額として算定できますが、19,000円が限度額です。

★自賠責基準の休業損害の計算方法★
休業損害=1日5,700円(~19,000円)×休業日数
※怪我の治療で有給休暇を使った場合、休業日数に含まれる

有給休暇が休業日数に含まれる理由は、交通事故に遭った事で本来自由に行使できるはずの有給休暇を事故の治療の為に使わなくてはいけなくなるケースがあるからです。

そのため、交通事故に遭ったからとわざわざ有給休暇を使ってまで治療に行く必要はありません。

アシスト爺ちゃん
家事だって立派な「仕事」じゃ。堂々と休業損害を主張すればいいんじゃよ。

自賠責保険による慰謝料の計算方法についてのまとめ

自賠責保険の損害賠償金の計算方法のまとめ
治療費 総額¥1,200,000まで
入通院慰謝料 ¥4,200×入院日数
¥4,200×(治療期間or実通院数×2の少ないほう)
休業損害 ¥5,700×休業日数

自賠責保険の補償内容や慰謝料の計算方法についてみてきました。自賠責保険基準での計算では怪我の補償の限度額が120万円までのため、怪我の内容によってはすぐに120万円を超えてしまう可能性があります。

交通事故に遭って自腹を切ってしまった、なんて事にならないように車を運転する場合は任意保険に加入しておきましょう。

また被害者請求や加害者に直接損害を請求することが難しい場合は、弁護士に任せてしまいましょう。加害者に直接請求する場合によっては加害者が全く取り合わない可能性が出てきます。

その場合、被害者は治療費や怪我の痛みに加えて精神的な苦痛にも耐えなくてはいけません。その点、弁護士に任せてしまえば自分は治療に専念できる為、精神的にも楽になるでしょう。

交通事故の被害者になったら弁護士特約の利用をおすすめします!

被害者の依頼を待つ弁護士のイメージ画像

交通事故で怪我を負った場合、弁護士特約が利用できると、費用の負担なしで弁護士に対応を依頼することが可能です。依頼を行う弁護士は自分自身で選ぶことも可能です。

保険会社との示談交渉を弁護士に依頼することによって、治療費や慰謝料などの示談金を増額できるケースがあります。

初回相談料や着手金が0円の弁護士事務所もありますので、被害者になったらまずは自分が契約している保険会社に弁護士特約が使えるかどうかを確認し、利用可能な場合は弁護士へ相談してみましょう。

【弁護士特約を使って弁護士に依頼するメリット】

・費用の負担をせずに弁護士に依頼ができる 
・専門知識が必要な示談交渉を弁護士に任せることにより、
 有利かつスムーズに示談交渉を進められる。
・怪我をしている中で交渉にかかる心理的な負担が省ける

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