損害賠償の請求先は加害者だけとは限らない-加害者以外にも損害賠償を請求できる5つのケースを解説!

公開日:2015/12/16
最終更新日:2018/08/03

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交通事故保険加害者慰謝料損害賠償請求

交通事故後賠償請求はほかにもいると指さす人の写真

 加害者以外にも、車の所有者や監督者に損害賠償を請求することができる

 加害者の車に同乗している人も、共同不法行為に該当すれば請求できる

 加害者が交通事故で亡くなった場合も、加害者の損害賠償責任は消えない

ナビ夫

交通事故の被害者となった時、加害者本人に損害賠償を請求するのは当然ですが、加害者以外にも賠償請求をすることができるケースがあります。

ここでは、加害者以外が損害賠償の責任を負うケースにはどのようなものがあるのかを見てみましょう。

加害者以外にも損害賠償を請求できる5つのケース

りんね
おじいちゃん、先輩の彼氏が事故を起こしちゃったんだけど、その車がお友達から借りたものだったらしくて、どうしようって先輩からメールが来ちゃった。
アシスト爺ちゃん

そうじゃな……まずはお友達に事故を起こしたことを説明しなくちゃならんのぅ。まさかと思うが、その先輩とやらは未成年か?

りんね
う、うん。来年成人するって、免許取ったばかりだって。
アシスト爺ちゃん
それはますますまずいのぅ。お友達や先輩のご両親も責任を負う可能性が出てくるぞ。
りんね
そうなの?事故とは無関係なのに……まだ先輩のご両親はわかるけど、先輩のお友達も?

交通事故に遭った場合、被害者が被った損害は加害者本人が賠償することになります。

しかし、加害者が多額の賠償金を支払うのは難しいため、加害者が加入している保険会社が代わりとなり賠償金の支払いを行います。

しかし、加害者の状況によっては保険会社以外にも損害賠償を請求をすることができるケースがあります。

加害者以外に損害賠償を請求できるケース請求先
1事故を起こした車の所有者に請求できるケース運行共有者
2加害者の勤務先の社長や雇用主に請求できるケース使用者
3加害者の親に請求できるケース監督義務者
4加害者以外に事故の原因となる行為(飲酒を進めた等)をした人がいるケース共同不法行為者
5国や地方公共団体請求できるケース国家

1.運行供用者に損害賠償を請求できるケース

運行供用者とは、自動車損害賠償保障法で「自己のために自動車を運行の用に供する者」と定められています。

つまり「車両の運行をコントロールでき、且つ、それによって利益を得ている人」、もしくは「その車を運転する権利を持ち利益につながる人」のことを指し、加害車両の持ち主は、場合によっては運行供用者とみなされるのです。

では、運行供用者にあたる、またはあたらないケースの一例を見てみましょう。

運行共有者の責任加害車両の持ち主

責任がある
加害車両の所有者
レンタカー業者
使用貸借の貸主
代車提供者
代行運転の依頼者
無断運転された車の所有者(※原則として)
自動車修理業者(※原則として)
×
責任がない
リース会社(所有権留保特約付売買の売主)
盗難車の所有者(※原則として)
請負人が起こした事故の注文者(※原則として)

ちなみに「原則として」という言葉は「基本的には」という意味になり、例外もあるということです。

加害車両がレンタカーだった場合

レンタカーで加害者が事故を起こした時のイメージCG画像

加害者がレンタカーの運転中に事故を起こした場合、被害者がレンタカー業者に損害賠償の請求を行うことができるケースがあります。

交通事故証明書には、自動車の所有者としてレンタカー業者名が記載されており、レンタカー業者の連絡先も分かるため、被害者が損害賠償を請求する場合は、そのレンタカー業者やレンタカー業者が加入している保険会社に対して損害賠償の交渉をすることになります。

交通事故証明書の入手方法はこちら

加害車両が盗難車だった場合

加害者が運転していた車が盗難車だった場合、その車の所有者は加害者に対して車の使用を認めたわけではないので、運行供用者としての責任は発生しないとみなされます。

よって、盗難車の所有者には損害賠償請求をすることができません。

アシスト爺ちゃん
大事なことは、車の所有者が「加害者に自分の車を運転することを認めたかどうか」という事なんじゃよ。盗難車はその名の通り、盗まれたものだからのぅ。

2.使用者(加害者の勤務先)に損害賠償を請求できるケース

加害者が勤務中に交通事故を起こした場合、加害者の勤務先に対しても損害賠償を請求することができる可能性があります。

ポイントは「監督としての責任の有無」

従業員の監督責任に悩む経営者のイメージイラスト

これは、法律で「事業のために他人を使用する者は、被用者が事業の執行にあたり第三者に損害を与えた場合、その責任を負担する」と定められており、これが使用者としての責任となるためです。

会社側としては、使用者として従業員を十分に監督していたことが立証できれば、その責任を免れることができます。

しかし、勤務時間に社用車を運転していた時点で、「事業の執行につき」と見なされてしまうため、その責任を免れることは大変難しいと言えます。

3.監督義務者に損害賠償を請求できるケース

交通事故を起こした加害者が未成年だった場合、加害車両が親の所有物であれば、加害者の親に損害賠償を請求することができます。

また、加害車両の所有者が未成年者の場合でも、自動車の購入費ガソリン代などの維持費自動車保険料などを親が支払っていた場合は、親の運行供用者としての責任が認められます。

さらに、親が監督を怠らなければ防止することができた事故の場合だと、運転供用者に加えて監督義務者としての責任が認められる可能性があります。

4.共同不法行為者に損害賠償を請求できるケース

飲酒運転をして蛇行運転になっている車とドライバーのイメージイラスト

加害者が飲酒運転により交通事故を起こした場合、同乗者が加害者に飲酒を勧めて、加害者が飲酒したにも関わらず車を運転をさせると同乗者にも損害賠償の請求ができる可能性があります。

これを共同不法行為といいます。

これは、損害の発生について加害者と同乗者は共に落ち度があるので、同乗者は共同不法行為者としての責任を負うべきだと考えられるためです。

5.国家に損害賠償を請求できるケース

国家賠償法では「道路、河川その他の公の営造物の設備又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる」と規定されています。

そのため、国や地方公共団体が管理する道路で交通事故が発生した場合、その道路の管理不備によって損害が生じたとみなされると、被害者は道路管理者である国地方公共団体に損害賠償を請求することができます。

この場合は道路の構造や場所などの環境、利用方法などの様々な事情を考慮し、その道路の安全性が欠けていたのかを個別に判断した上で、道路管理者に損害賠償の請求が可能かどうかを判断します。

上記以外で損害賠償を請求できるケース

ほかにも、駐車場内で交通事故が起こった際、その駐車場の管理がずさんな状態だった場合は、駐車場の管理者に損害賠償の請求ができる可能性があります。

一般利用者が相当な注意を払ったとしても交通事故が起きて当然な状態である場合は、駐車場の管理者としての責任を果たしていないと考えられるためです。

加害者が死亡した場合でも、賠償責任は消えない

加害者が死亡した場合の賠償責任がどうなるか気になる男性のイメージイラスト加害者が死亡した場合でも、賠償責任が消えることはありません。

事故当時に加害者が加入していた任意保険保険金の支払義務を負っているので、任意保険会社が損害賠償の支払いを行うことになります。

Q:加害者が任意保険に加入していない場合はどうなるのでしょうか?

A:加害者の相続人が相続放棄をしなければ、加害者の相続人にも損害賠償の請求を行うことができます

つまり相続人は、加害者が起こした事故の賠償責任も一緒に相続するという事になる為、被害者に対して賠償の支払いを負うことになります。

相続人についてはこちら

また、加害者が加入していた保険が自賠責保険だけですと、被害者が直接自賠責保険会社に請求する形になります。

自賠責保険についてはこちら

加害者以外に交通事故の損害賠償を請求できるケースについて

交通事故のイメージ画像

交通事故において、加害者以外にも損害賠償を請求できるケースについてみてきました。

加害者以外に損害賠償できるかどうか「運行供用者」かどうかがかなり重要になってきます。

また、加害者が未成年の場合は、事故車が本人のものであったとしても親に請求できる可能性があるということは忘れてはいけません。

もし自分が交通事故に遭った時、加害者本人以外にも損害賠償を請求できるケースがあることを覚えておけば、いざということに役に立つでしょう。

交通事故での慰謝料を請求するにあたり、交渉を有利に進めたい場合は弁護士への依頼がおすすめです!

被害者が考える弁護士のイメージ画像

交通事故でケガを負った場合、慰謝料請求を弁護士に依頼することによって、治療費や慰謝料などの慰謝料を増額できるケースがあります。

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