弁護士費用は着手金と報酬金と実費&日当
弁護士費用は弁護士が自由に決められる
弁護士費用特約を使えば費用倒れの心配なし
交通事故に遭った時、示談交渉を保険会社ではなく弁護士にお願いする場合、どうしてもネックになるのが弁護士費用。
今では着手金ゼロや完全成功報酬などを謳っていて安く見える費用も詳しく調べてみると意外な落とし穴がある事に気が付きます。
そこで今回は弁護士費用の計算方法について詳しく見ていきます。
目次
示談交渉を弁護士に依頼する際にかかる費用内訳
弁護士に依頼した場合に発生する費用は、基本的に着手金と成功報酬の2つです。着手金と報酬金は弁護士にとっては扱いが違うお金なので、注意が必要です。
着手金=交渉を手掛ける前に支払うお金
着手金とは、事件処理に関する委任契約を締結した弁護士が事件に着手するときに必要となるお金で、契約時に支払います。着手金を支払うと、弁護士がその事件の証拠を精査して方針を決め、法的にサポートするようになります。
着手金は結果のいかんに関係ないため、仮に保険会社の提示金額が全く変わらなかったとしても返金されません。
また、デパートで購入した商品が気に入らず返金を求める場合と異なり、委任した弁護士を解任する場合でも着手金は通常返金されません。
報酬金=交渉終了後(解決)に支払うお金
一方、成功報酬とは弁護士が介入した結果、無事に事件を解決できた場合に支払うお金です。金額は経済的利益(交渉によって増額できた金額)の何%であると決められていることが多く、受け取れた金額によって異なります。
時々見かける完全成功報酬制というのは、大まかに言えば事件の前に支払う着手金を依頼者から弁護士が貰わずに、弁護士が交渉を成功させて依頼者が手に入れた報酬金から、かかった費用を支払うというものです。
日当・実費の支払いもあり
そのほか、日当や実費の支払いを求められることがあります。
日当とは、法廷への出席など弁護士を時間的に拘束することに対して支払うお金です。交通事故では弁護士と保険会社の交渉によって終了するケースも多く、日当の不要な場合もあります。
実費は切手などの通信費や書類の郵送代などで、通常1万円に設定されています。
【費用内訳まとめ】
・着手金は弁護士が法的に動くために必要なお金で返金無し(解任しても返金無し)
・報酬金は手に入れた経済的利益によって変わり、事件を解決できた場合に支払うお金
・日当は弁護士を拘束した際に発生するお金
・実費は通信費などの雑費
総合的な視点で検討しよう!弁護士費用の計算方法と事例
2004年4月以降、弁護士報酬は事案の性質や難易度に応じて、各弁護士・弁護士事務所が自由に決められるようになりました。
もともと保険会社から示談金として1,500万円を提示されていたケースで、弁護士が介入した結果、交渉で終了して2,500万円を受け取れたケースを想定して弁護士費用の総額をみてみましょう。
経済的利益によってこんなにも違う! 弁護士費用の違い
C事務所は着手金0円、成功報酬を経済的利益の15%としており、D事務所は着手金を30万円、成功報酬の10%にしていると仮定します。
両事務所とも経済的利益は弁護士が介入したことによって増えた額(1,000万円)だとします。実費はいずれの事務所も1万円です。交渉で終了したので、このケースでは日当はかかりませんでした。
C事務所 | D事務所 | |
---|---|---|
着手金 | 0 | 300,000 |
成功報酬 | 経済的利益(増額分)の15% | 経済的利益(増額分)の10% |
成功報酬の金額 | 1,500,000 | 1,000,000 |
実費 | 10,000 | 10,000 |
弁護士費用総額 | ➡1,510,000 | ➡1,310,000 |
実は着手金無料は甘い罠?
日当が発生する場合には、通常、出廷1回あたり数万円必要です。
C事務所では成功報酬・実費のみで151万円です。D事務所に依頼した場合には着手金30万円に加えて、成功報酬100万円、実費が必要なので、131万円支払うことになります。着手金不要であるC事務所のほうが最終的には多く支払わなければなりません。
「経済的利益」の中身をきっちり確認しよう
では着手金0円、成功報酬を8%としているE事務所があったとします。一見するとE事務所が最も安いように思えますが、E事務所は「回収額全額」を経済的利益にしていたとします。
そうなると、今回のケースでは2,500万円の8%である200万円に実費を加えて201万円を支払う必要があります。
E事務所 | |
---|---|
着手金 | 0 |
成功報酬 | 経済的利益(回収全額)の8% |
成功報酬の金額 | 2,000,000 |
実費 | 10,000 |
弁護士費用総額 | ➡2,010,000 |
つまり、C事務所・D事務所・E事務所の経済的利益の違いを図に示すと、このようになります。
ほかの経済的利益の考え方
そのほか「自賠責を除いた額」を経済的利益と捉える事務所もあります。
たとえば今回のケースで自賠責保険金額が900万円だったとすると、1,600万円が経済的利益です。この10%を成功報酬としている事務所であれば160万円が弁護士費用として求められます。
弁護士費用の実例
保険会社から13万円の示談金を提示されていた人が弁護士に依頼した結果、82万円を受け取れたケースがあります。
このケースでは増額分が経済的利益とされ、成功報酬は経済的利益の14%だとされていたため、弁護士費用は96,600円でした(着手金は無料)。
今回のケース | |
---|---|
提示された金額 | 130,000 |
最終的な金額 | 820,000 |
着手金 | 無料 |
経済的利益(増額分) | 690,000 |
報酬金(経済的利益の14%) | 96,000 |
弁護士費用額(着手金+報酬金) | 96,000 |
弁護士費用を抑えることも可能!
弁護士費用を抑えるためには、総合的な視点から、依頼者のことを考えて弁護士費用を設定している法律事務所を見抜く必要があります。
信頼できる弁護士を見つけることが重要
たしかに弁護士費用にだけ目を奪われて、弁護士としての腕が劣っている人に依頼しては本末転倒です。
しかし、弁護士費用を不当に高く設定している場合、弁護士としても未熟で、被害者を食い物にしようとしていることが少なくありません。信頼のできる弁護士を見つけ出してください。
弁護士費用特約に加入しておけば費用倒れがない
また、弁護士費用特約に加入しておくと、ほとんどのケースで弁護士費用を実質0円にできます。弁護士費用特約とは、弁護士費用を300万円まで保険会社に負担してもらえる特約です。
もし裁判になっても……
現にこの記事で想定したケースはいずれも弁護士費用が300万円以下であるため、契約内容にはよるものの、弁護士費用を支払う必要はないと言えるでしょう。
さらに裁判になったケースでは、弁護士費用を加害者に請求でき、被害者が自ら負担しなくても良いケースもあります。
弁護士費用が高いと思ったら…“無料法律相談”で費用を確認できる
最終的な支払額によっては、弁護士費用が数百万円かかるケースもあると聞くと「弁護士費用は高い」と感じるでしょう。
しかし、人身事故では弁護士が示談交渉などをしたことによってそれを大きく上回る利益を得られるのが通常なので、一概に高いとは言えません。
まずは無料法律相談などを利用して、自身のケースでどの程度増額するのか、具体的な計算方法、最終的な弁護士費用はいくらかを弁護士に尋ねてみると良いでしょう。
交通事故の被害者になったら弁護士特約の利用をおすすめします!
交通事故で怪我を負った場合、弁護士特約が利用できると、費用の負担なしで弁護士に対応を依頼することが可能です。依頼を行う弁護士は自分自身で選ぶことも可能です。保険会社との示談交渉を弁護士に依頼することによって、治療費や慰謝料などの示談金を増額できるケースがあります。
初回相談料や着手金が0円の弁護士事務所もありますので、被害者になったらまずは自分が契約している保険会社に弁護士特約が使えるかどうかを確認し、利用可能な場合は弁護士へ相談してみましょう。
【弁護士特約を使って弁護士に依頼するメリット】
・費用の負担をせずに弁護士に依頼ができる。
・専門知識が必要な示談交渉を弁護士に任せることにより、有利かつスムーズに示談交渉を進められる。
・怪我をしている中で交渉にかかる心理的な負担が省ける。
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