交通事故の損害賠償請求は、加害者本人ではなく加害者が加入している保険会社に対して行う
保険会社に行う請求の種類は、被害者請求と加害者請求の二つがある
加害者請求は保険会社が処理し、被害者請求は被害者自身が行う
交通事故に遭った後、加害者に損害賠償を請求する方法は二つあります。被害者請求と加害者請求(任意一括払いとも言う)というものですが、それぞれの請求方法、流れ、メリットなどといった違いについてみきます。
目次
被害者は、加害者ではなく(加害者が加入している)保険会社へ損害賠償請求をする
交通事故の損害賠償は、当然ながら加害者本人が負う義務があります。
しかし、損害賠償金の支払いは加害者が加入している保険会社が行います。そのため被害者は、損害賠償の請求を(加害者が加入している)保険会社に対して行うことになります。
前提
交通事故の損害賠償金の請求先:加害者本人ではなく加害者が加入する保険会社
事故の賠償請求のやり方は2種類ある
保険会社に対する賠償請求は、被保険者である加害者(と加害者の加入している保険会社)が請求を行う「加害者請求」と、被害者が加害者の保険会社に直接請求を行う「被害者請求」の2つの方法があります。
下記の通り、請求者は請求方法によって異なりますが、請求されるのはいずれも同じ(加害者の自賠責保険会社)であるということです。
なお、加害者の自賠責保険会社への損害賠償請求は、被害者本人・加害者本人以外でも行うことができます。
請求方法 | 請求を行うことができる人 |
---|---|
被害者請求 | ・被害者本人 ・被害者の親権者 ・被害者の家族 ・被害者の遺族 ・被害者に委任を任された人(委任請求) |
加害者請求 | ・加害者本人 ・任意保険会社(任意一括払い) |
任意保険が行う加害者請求のひとつ「任意一括払い」が一般的
加害者請求を行う場合、すでに加害者が被害者に賠償金を支払っていることが条件となります。そのため、被害者が賠償金を受け取ったという領収証が必要になります。
加害者の代わりに加害者側の任意保険会社が「一括払い」という方法で被害者に賠償金を支払い、自賠責保険会社が支払うべき金額を請求するケースが一般的です。
被害者以外が被害者請求を行う場合
加害者が任意保険に加入していない場合や、被害者の過失が大きい場合は、任意保険会社による一括払いが行われません。そのような時は、必然的に被害者請求を行うことになります。
二つの請求方法の違い
被害者請求▶▶▶被害者が直接加害者の自賠責保険会社に請求する
加害者請求▶▶▶加害者(or任意保険会社)が加害者の自賠責保険会社に請求する
しかし、被害者自身が未成年の場合や重度な後遺障害を負った、または死亡したような場合など被害者自身による請求が困難だとわかったときは、親権者や家族、遺族などが被害者に代わって被害者請求を行うことになります。
被害者の家族が代わりに請求を行う場合
被害者本人が保険の請求手続きを行うことが困難な場合、家族や親族などの然るべき立場の人が被害者に代わって請求手続きを行うことになります。
その場合は、被害者との関係や、被害者本人が請求を行うことができない理由などを記した念書を保険会社に提出する必要があります。
病院や第三者が代わりに請求を行う場合
被害者の家族や親族ではない第三者に被害者請求による損害賠償金の請求と賠償金の受領を委託する委任請求という方法があります。
1.治療費の部分を病院に委任する場合
一般的に治療費の請求は、病院から行うことになります。被害者側としては治療費を立て替える必要がなくなり、病院側としても治療費を確実に回収することが可能です。
病院に請求の委任を希望することを伝え、自賠責保険に提出する請求書の、治療費の振込先指定欄に病院の口座番号を記入すれば、治療費が病院へ直接支払われます。
2.弁護士などの第三者に委任する場合
被害者の遺族など、賠償請求の権利をもつ人が弁護士などの第三者に損害賠償請求を委任する際は、必ず自賠責保険会社へ「委任状」の提出が必要となります。
被害者以外が被害者請求をする方法 |
---|
☑ 被害者の家族が行う場合は理由を記載した「念書」を提出する |
☑ 弁護士等第三者に依頼する場合は権利を委任した「委任状」を提出する |
☑ 病院から直接治療費を請求させる場合は振込先指定欄に病院の口座番号を記入する |
被害者請求を行うケース
交通事故は、基本的に加害者側の任意保険会社による任意一括払いが多いため、自賠責保険の被害者請求はあまり行われません。被害者が自賠責保険の被害者請求を行う場合は下記のケースが考えられます。
被害者請求を行うケース
1 加害者が自賠責保険に未加入
2 加害者が無免許運転をしていた
3 加害者が任意保険に未加入で被害者と示談交渉ができない状態(音信不通など)
4 事故における被害者の過失割合が高い
5 加害者側が示談を取り合わない、交渉が進まない
そもそも自賠責保険は交通事故の被害者を救済することが前提で、加入を法律で強制されている保険です。法律による強制保険の為、未加入の場合は法律違反となり罰金や減点対象の対象になります。
もし加害者と音信不通になったり、加害者が経済的困窮で賠償金の支払いが難しいとわかっても、最低限の補償を約束されているので、保険会社に自賠責保険を請求できます。
また加害者側の任意一括払いで、加害者の保険会社が被害者に不利な示談交渉をしようとしたり、示談交渉が停滞してしまって一向に進まない場合は、逆にこちらから被害者請求をする方法もあります。
もし示談にすら取り合わない加害者の場合は、加害者側の保険会社に被害者請求をしましょう。
しかし自賠責保険の被害者請求は集める書類が煩雑の為、もし難しいと感じたら弁護士等の専門家に相談するのも一つの手だといえます。
損害賠償の請求に対する二つのケースのまとめ
交通事故に遭った後の損害賠償の請求先や加害者請求、被害者請求について簡単に見てきました。
ここで重要なのは、損害賠償の請求先は加害者本人に請求ではなく保険会社に請求するということ。また加害者の保険の加入具合によって、被害者の行動が変わってくるということです。
特に被害者請求になった場合、自分自身で保険会社に請求した上で示談交渉に行かなくてはいけないため精神的に苦労することになり、場合によってはトラウマになってしまうこともあるでしょう。
被害者請求 | 加害者請求 | |
---|---|---|
請求先 | 加害者の自賠責保険会社 | 加害者の自賠責保険会社 |
請求する人 | 被害者本人 被害者の関係者 弁護士などの第三者 | 加害者本人 任意保険会社 |
上記を見てみるとわかるように、請求先はプロである保険会社。そのため自分が思っていた以上に示談金がもらえない可能性が考えられる上、相手の保険会社のペースにのせられて交渉が思った以上に動かないこともありストレスになってしまいます。
それを避けるために最初からその道のプロである弁護士に頼んでみるのも一つの手です。また、任意保険の中には、弁護士に簡単に依頼できる弁護士特約というオプションがありますのでこちらをつけてみてはいかがでしょうか。
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交通事故で怪我を負った場合、弁護士特約が利用できると、費用の負担なしで弁護士に対応を依頼することが可能です。
依頼を行う弁護士は自分自身で選ぶことも可能です。保険会社との示談交渉を弁護士に依頼することによって、治療費や慰謝料などの示談金を増額できるケースがあります。
初回相談料や着手金が0円の弁護士事務所もありますので、被害者になったらまずは自分が契約している保険会社に弁護士特約が使えるかどうかを確認し、利用可能な場合は弁護士へ相談してみましょう。
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