損害賠償請求権にも存在する時効。示談はいつまでに始めればいい?

公開日:2015/12/15
最終更新日:2018/08/03

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交通事故加害者損害賠償示談交渉被害者

交通事故の時効切れのイメージ画像

 

 被害者請求権(被害者から加害者への賠償請求)は3年で時効になる

 時効は加害者と事故の損害を知った日が起算日

 請求権の時効起算日は中断されることもある

ナビ夫

交通事故の被害者のなかには、示談交渉は後遺障害が出てから行うほうが良いと、示談をなかなか始めなかったり、損害賠償を請求しない方がいます。

しかし、損害を請求する権利にも期限、つまり時効が存在します。その期限を過ぎてしまうと、権利が失われて加害者に損害賠償を請求することができなくなります

そこで今回は損害賠償の時効について説明します。

被害者請求権は2年/加害者請求権は3年

りんね
ニュースで事件の時効切れって聞くけど、交通事故にも時効はあるの?

アシスト爺ちゃん
もちろんじゃよ。そして損害賠償を請求する権利にも期限がある。

りんね
そうなの!? じゃあ事故の被害に遭ったら保険会社との示談をすぐに始めないとまずいよね! でも交渉相手がダラダラと時間を稼いできたらどうしたらいいんだろう…?

アシスト爺ちゃん
確かに示談を早く始めることに越したことはないのう。だがそれは請求を始めるまでの期限であって、示談をそれまでに終わらせなくてはいけないということではないんじゃよ。

りんね
だ、だよね。よかったぁ……。

砂時計のイメージ画像

請求方法によって時効期間は異なります。

まずは、加害者請求、つまり、被害者が加害者へ損害賠償を請求する場合は、損害と加害者を知った時点から3年で時効となります。

次に、被害者請求、つまり、被害者が加害者側の自賠責保険に賠償金を直接請求する場合は、加害者と損害を知った時点から2年で時効となって消滅し、保険会社には請求を行うことができなくなります。

請求方法の時効期間
加害者請求3年
被害者請求2年

▼加害者請求と被害者請求の違いについてはこちら▼

請求権時効の起算日

消滅時効は、損害を請求する権利を行使できる時点から始まることになります。交通事故の場合、ひき逃げでない限り、事故発生と同時に加害者と損害を知ることになります。

しかし、後遺症の場合は特殊で、症状固定日が損害を知る日、起算日とされています。なお、受傷時には予測が不可能な後遺症が後に現れた場合は、後遺症について医師の診断書が出た日が時効の起算日になります。

ちなみに、死亡事故の場合は、死亡した日が時効の起算日になります。

 死亡事故の損害賠償請求権                    死亡した日
 後遺症の損害賠償請求権                    症状固定日

        (後に後遺障害が現れた場合)

 後遺障害について医師の診断書が出た日 

 傷害事故の損害賠償請求権                     事故発生日

なお、損害賠償請求の時効は、時効期間が経過した時点で、ただちに賠償請求の権利がなくなるわけではありません。加害者側が「時効になったので支払わない」と主張しなければ、請求を行うことができます

ひき逃げの場合

ひき逃げの場合は、加害者が判明した時点から3年、事故から20年で賠償請求権が消滅します。また、自動車損害賠償法に基づき、政府保障事業に対して損害の補償を請求する事が出来ますが、この補償の請求は事故から2年で時効消滅(後遺障害の損害は症状固定から2年)するので、注意するようにしましょう。

ひき逃げの時効
加害者判明から3年
事故(加害者知らず)20年
政府保証事業宛て2年

請求権の時効は中断される場合もある

中断されるイメージ画像

時効については、損害賠償債務の承認がなされた場合や、訴え提起のような強い権利を行使した場合は、中断が認められます。

その際、すでに進行していた時効期間は効力を失い、中断がなくなった時点から改めて時効期間が開始されることになります。

豆知識:債務

債務とは「返済しなければいけない」義務や責任の事。
簡単に言えば「(お金を)借りているから返さなくてはいけない」状態です。

どのような場合に時効は中断されるのか

請求権の時効の中断に対するイメージ画像例えば、加害者や加害者の保険会社から治療費が支払われた場合は、中断事由としての「債務の承認」が認められ、時効は治療費支払時から3年が経過しないと成立しないということになります。

また、示談交渉において、支払うべき賠償額の掲示があった場合、その時点で「債務の承認」が認められ、時効が中断します。

しかし、加害者側が責任を否定していたり、自賠責から支払われる保険金だけで損害が補償できると主張している場合は、「債務の承認」は認められずに時効は中断されませんので注意が必要です。

時効の中断を申請することができる

時効期間が経過すると、損害賠償請求権が消滅してしまいますので、時効の期限が迫っている場合は、時効の中断手続を行う必要があります。

その際の手続きですが、損害賠償の請求の方法によって異なりますので、それぞれ見てみましょう。

被害者請求(自賠責保険)の場合

被害者請求(自賠責保険)の場合は、「時効中断申請書」に必要事項を記入し、必要な書類(交通事故証明書や事故発生状況報告書など)を添付したうえで、加害者が契約している自賠責保険会社に提出し、承認を受けます。

加害者側への損害賠償請求の場合

加害者側への損害賠償請求の場合は、加害者に対する損害賠償請求の調停の申立てや、訴訟を起こす方法があります。

また、内容証明郵便を利用して加害者側に請求をするという方法があります。しかし、この請求に加害者側が応じない場合(受け取り拒否、反応なしなど)には、内容証明郵便を送ってから6か月以内に訴訟を起こす必要があります。

内容証明郵便とは?

郵便局のイメージ画像

内容証明郵便は、誰が、誰に、どんな内容の郵便を送ったのかを郵便局が証明してくれる郵便です。

さらに、内容証明郵便に配達証明を付けると、郵便を発送した事実、内容、相手が受け取った事実も証明してもらうことができます。

用紙用紙の指定はなし。手書き/ワープロの指定もなし。
文字日本語のみ。固有名詞以外の外国語は不可。
文字数/行数

縦書きの場合:20字以内×26行以内

横書きの場合①:20字以内×26行以内

横書きの場合②:26字以内×20行以内

横書きの場合③:13字以内×40行以内

内容証明郵便を書く際、同じ内容のものを3通(うち2通はコピーしたもので可)用意する必要があります。1通は受け取り人、1通は郵便局で保管、1通は差出人に戻ってきます。ちなみに、複数の相手に同じ内容のものを送る場合、送る相手の数+2通を用意することになります。

アシスト爺ちゃん
内容証明は公的な証拠になるからのう。覚えておくと役に立つぞい。

損害賠償請求権の時効についてのまとめ

時効を示すイメージ画像

損害賠償請求権の期限、時効についてみてきました。

忘れてしまっていて期限切れ、なんて事がないようにしっかりと時効の起算日を覚えておくようにしましょう。時効の中断は申請もできるため、いざということに書類を集めておくとよいでしょう。

また、加害者が責任を認めない場合は内容証明を送って訴訟を起こすということが多いです。せっかく持っている権利を有効活用しないわけにはいきませんので、忘れないようにしましょう。

交通事故の被害者になった場合、示談交渉を有利に進めたい場合は弁護士への依頼がおすすめです!

弁護士と握手する被害者のイメージ画像

交通事故でケガを負った場合、保険会社との示談交渉を弁護士に依頼することによって、治療費や慰謝料などの示談金を増額できるケースがあります。

初回相談料や着手金が0円の弁護士事務所もありますので、示談交渉に不安を感じたらまずは弁護士へ相談してみましょう。

【交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するメリット】

・専門知識が必要な示談交渉を弁護士に任せることにより、有利かつスムーズに示談交渉を進められる。
・相手方に請求する示談金を増額させることができる。
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