示談の流れとしては、治療終了後に賠償金を確定させて過失割合と慰謝料について話し合う
示談を被害者自身でやろうとすると不慣れな交渉や精神的疲労で失敗することが多い
交通事故の示談を成功させる最善策は弁護士に一任する事
交通事故に遭って損害賠償の請求をするために示談交渉をする人が殆どですが、自分で行ってしまう人がいます。
ですが、その多くは挫折してしまい、自分が請求した金額よりも少ない金額で受け取ってしまう人ばかりです。何故そうなってしまうのか、理由も交えてみていくことにします。
目次
交通事故の後で行われる「示談」って一体何だろう?
示談とは、法的紛争を裁判ではなく当事者同士の合意によって解決することです。揉め事に対して早期解決を図るために慰謝料や様々な条件を決めてその揉め事を終了する合意がされます。示談はその合意を指します。
交通事故においては一般的に加害者が一定の額を支払う代わりに、被害者がそれ以上責任を追及しないと約束することで示談が成立します。
交通事故の示談の簡単な流れ
交通事故の示談の大まかな流れとしては、まず被害者が病院に通い怪我の治療などを行います。完治、もしくは症状固定や後遺障害を申請する等、被害者の最終的な損害賠償額を確定します。
賠償金額が確定したら次に両当事者の過失割合や慰謝料について話し合います。話し合いがまとまれば双方合意のもとで示談書を作成し、損害賠償金が振り込まれれば示談はひとまず終了です。
追突事故や10対0の過失割合等の被害者側が過失ゼロの示談の場合は免責証書という書類を使用することもあります。
見落としがちな「示談」の大前提
示談において相手に対する請求権を持っているのは被害者・加害者(交通事故の当事者)なので、本来は弁護士や保険会社を介さなくても示談が成立します。
実際、物損事故などで損害額が少なければ当事者間で示談することもあります。しかしほとんどのケースでは加害者側に保険会社が立つ為、被害者は保険会社と示談することになるでしょう。
交通事故の被害者が自ら示談交渉を行うと失敗する3つの理由
交通事故の被害者が自ら示談交渉を行うと、最終的に失敗してしまったり、思っていた以上に損害賠償金がもらえなかったりする理由は大きく分けて3つ存在します。
被害者が示談交渉を行うと失敗してしまう理由3つ
1 示談交渉のやり方や対策が分からない
2 長期戦になるため精神的に疲れて参ってしまう
3 示談を後回しにしてしまって請求する権利を失ってしまう
失敗する理由①:そもそも示談の対処方法が全くわからない
示談を仕事にしている保険会社に比べて交通事故の被害者は示談の経験がない人が殆どです。その為示談のやり方はもちろん、自らに有利な証拠の集め方や法的主張の構成の仕方もわからないでしょう。
大手の保険会社であれば顧問弁護士が事件処理にあたるケースも少なくないため、被害者が自ら示談交渉しようとすると不利な立場に追いやられてしまいます。
もし保険会社から債務不存在確認訴訟(さいむふそんざいかくにんそしょう)を提起されれば、ますます弁護士のいない被害者は不利な状況になってしまいます。
豆知識:債務不存在確認訴訟 |
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加害者が持つ「債務」の「存在」を裁判所に「確認」してもらうための訴え。つまり、加害者が被害者に対して持つ債務の金額を第三者である裁判所を証人として認めてもらって確定してもらう事。 これが認められてしまうと、その金額以上を請求することができなくなる。 |
失敗する理由②:示談や裁判は長期戦になるため精神的にすごく疲れる
相手の提示した損害賠償金に納得せず、自ら裁判を起こす場合、最大のデメリットの一つが必然的に長期戦を強いられる事や慣れない裁判の為、精神的に疲れてしまう事です。
裁判の展開で不利になった、あるいは長期戦に疲れたため訴訟の途中で相手との示談の方向にもっていこうとすると、被害者自身が考えていた以上に慰謝料が減額するパターンが多いです。
Q:何故裁判の途中で示談に切り替えると賠償金や慰謝料が減額するのでしょうか? |
A:切り替えようとした時点で示談交渉の精神的な主導権を相手に奪われているため、せっかくの示談も終始相手の言い様にされてしまうからです。 |
なぜなら裁判を判決ではなく示談や和解に持ち込もうとした時点で、示談交渉のマウントポジションを精神的な側面で既に相手に取られているからです。
訴訟費用や書類を作成する手間がかかっている状況で全ての原因である賠償金が減額するのは、非常につらいことです。
失敗する理由③:示談を後回しにしていたら賠償請求の権利が消えていた
示談の大本となる損害賠償の請求権には時効が存在します。示談交渉をしないまま3年が経過すると損害賠償請求権そのものが消滅してしまうのです。
つまり自分で行うから、または治療を優先しすぎて示談を後回しにしてしまった場合、気が付いた時にはお金が手に入らなくなっているかもしれません。
損害賠償の請求権に時効があるという事実を知らない人が多い為、こちらは見落としがちになっています。
▼損害賠償の時効についてはこちら
損害賠償請求権にも存在する時効。示談はいつまでに始めればいい?
交通事故の被害者が自ら行う示談交渉を途中でリタイアしてしまう大きな理由3つ!
交通事故に遭った被害者は、治療費や通院交通費など財産的損害や精神的苦痛などの精神的損害が生じています。被害者がこれらの損害を加害者に対し請求する為、示談が始まります。
しかし、加害者としても被害者の求めに応じるがまま、不必要に高額な賠償金を支払うつもりはないでしょう。営利を目的とする保険会社が支払う場合なら、なおさら支払金額を抑えようとするはずです。
このため、保険会社は示談の際に損害賠償金が合理的に算定されて初めて支払いに応じます(治療費を除く)。つまり被害者は保険会社と交渉をして、示談の損害賠償金額を確定させなければなりません。
ところが被害者が自ら交渉するには厄介な点が保険会社との示談交渉に存在しています。その結果、自ら始めた示談交渉を多くの被害者が途中で投げ出したくなる心情に陥ってしまうのです。
被害者の嘆き1:法律用語なんか知らないよ…!
被害者のなかには、法律事務所で勤務する人や法学部出身の人もいます。しかし、そのような人でも自賠責法や保険法など、交通事故に関する法的知識が豊富であるとは限りません。
ましてや、これまで法律に携わったことのない人であれば、「損害賠償」「過失相殺」という言葉すら聞いたことがないかもしれません。そのような状況で、いわば交通事故を解決するプロである保険会社と対峙することは楽ではありません。
被害者の嘆き2:保険会社が治療の打ち切りを提案してきたんだけど、どうすればいいの!?
被害者が通院を続ける限り、治療費は増額していきます。このため、支払金額をなるべく少なくしたい保険会社は、時に「治療費を打ち切ります」と宣言します。これは、示談を一刻も早く始めたい保険会社の常とう手段の1つです。
実際には、保険会社が打ち切りを宣言したところで、被害者が必要な治療を続けているのであれば、保険会社は支払わなければなりません。
しかし、法的知識に疎い被害者のなかには、保険会社に言われたら治療を止めなければならないのではないかと不安になる人もいるのです。
その結果、被害者の怪我や精神的疲弊も加わって、「もうこの辺りでいいか」と保険会社との示談交渉を止めたくなるのです。
ですが、完治していないにもかかわらず通院をやめると、後遺障害等級認定において不利に働くことがあるので注意してください。治療が必要だと思ったら保険会社が言ってこようとも、治療を続けましょう。
▼治療費打ち切りについてはこちら▼
「症状固定」で治療費打ち切りと言われた!泣き寝入りしないための対処法とは?
被害者の嘆き3:どんなに頑張っても保険会社を納得させられない!
多くの保険会社は、弁護士のいない被害者と交渉するスタッフの交渉権限に上限を設けています。
このため、保険会社の提示する示談内容に納得できず、事故に関する資料を集めて判例を学んで、保険会社と交渉を続けても、なかなか保険会社の合意を得ることはできません。
一向に答えを変えようとしない保険会社の対応に困り果ててついにはあきらめてしまい、交渉を止めたくなる被害者がいます。
示談交渉を失敗しない最善策は弁護士に依頼する事
自分で行う示談交渉が失敗しやすい理由や被害者が陥りやすい心境を見てきましたが、保険会社に対抗するための対策はどんなものなのでしょう?
一番簡単な対策としては、自分で交渉しようとせず、法律と交渉のプロである弁護士に依頼することです。
弁護士と言われると費用が高い印象がありますが、任意保険のオプションで弁護士費用特約を利用できる場合には、弁護士費用を保険がカバーするため、実質無料で弁護士に依頼できます。
被害者の立場では限界がある示談だけど……!
被害者が自分自身で行う示談交渉には限界があります。怪我の治療はもちろん、様々な精神的疲労も重なっている被害者が重要な示談交渉に専念するのはかなり苦労する筈です。
弁護士に依頼すれば煩わしい書類作業も行ってくれるうえ、示談交渉も失敗することがない為、おすすめです。
交通事故での慰謝料を請求するにあたり、交渉を有利に進めたい場合は弁護士への依頼がおすすめです!
交通事故でケガを負った場合、慰謝料請求を弁護士に依頼することによって、治療費や慰謝料などの慰謝料を増額できるケースがあります。
初回相談料や着手金が0円の弁護士事務所もありますので、慰謝料を請求するにあたり不安を感じたらまずは弁護士へ相談してみましょう。
【交通事故の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット】
・専門知識が必要な示談交渉を弁護士に任せることにより、有利かつスムーズに示談交渉を進められる。
・相手方に請求する慰謝料を増額させることができる。
・通院中や入院中など、交通事故のダメージが残っているときでも交渉を任せられるため、治療に専念できる。
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