保険会社との示談内容は一度決まったら撤回は不可能であることをあらかじめ知っておく
示談交渉の際は許可を取って内容を録音し、感情的にならないようにする
保険会社との示談交渉はできるだけ弁護士に任せるようにする
人身事故は、加害者側から被害者側に損害賠償金を支払うことによって解決、終了扱いになります。損害賠償において、調停や裁判になるケースは非常に少なく、ほとんどが加害者と被害者の話し合い、すなわち「示談」で解決しています。
なお加害者と直接やり取りする示談交渉は少なく、多くの場合は人身事故の対処に詳しい加害者側の保険会社の担当者が代理人として、示談の相手になります。彼らを相手にする時、被害者はどうすればよいのでしょうか。
目次
示談交渉の相手は殆どのケースで加害者側の任意保険会社
交通事故の被害にあって、加害者側と示談交渉をする際、実際の交渉相手は誰になるのでしょうか?
加害者が自賠責保険とは別に、任意保険(対人賠償保険)に加入している場合、加入している任意保険会社は、自賠責保険金を含め一括して保険金(損害賠償金)を支払う「任意一括払い」を実施しています。
つまり、任意保険会社が自賠責保険の部分を含めた損害調査や支払保険金額の算出を行い、被害者に保険金を支払います。
そのため殆どの示談交渉の相手は、加害者側の任意保険会社です。
加害者側の保険会社の担当者はどういった立場の人?
保険会社の担当者は加害者と保険の契約を結んだ人ではなく、損害調査部門(名称は「損害サービス部」「損害調査部」「損害部」「サービスセンター」など各保険会社で異なる)の人であり、加害者と直接的に関係がある人ではありません。
加害者と契約した人が保険会社の窓口や営業ならば、示談の担当者は保険会社の示談専門家といえます。その為、加害者との接点が皆無なのです。
担当者は自分が所属する保険会社の利益を考え、相手に支払う賠償金を限りなく保険の適用範囲内に抑えることを示談の目的にしています。
そのため、保険会社の担当者は示談において必ず加害者に有利な言い分を尊重しやすい傾向があります。
保険会社と示談交渉を行う際に知っておきたい3つのポイント!
【★保険会社と示談交渉をする前に知っておきたい3つのポイント★】
1 示談は一度決定してしまうと白紙にできない
2 交渉の際は許可を取って録音し、証拠を集めよう
3 示談交渉は弁護士に依頼したほうが良い
知っておきたいポイント1:示談は一度成立するとやり直すことができない
示談は一度決まってしまうと、原則としてやり直すことが不可能です。
示談締結後に損害の増加が発覚しても追加請求を行うことができません。
そのため被害者側には保険会社の担当者の不当さ、不誠実さに負けない我慢強さ、辛抱強さが必要不可欠です。
一定の治療期間が過ぎたころに保険会社からそろそろ症状固定にしないか、と提案されてもその場で了承してはいけません。必ず主治医に相談しましょう。
知っておきたいポイント2:示談交渉の際は許可を取って内容を録音し、感情的にならないようにする
加害者側や保険会社との示談交渉において、後になって「(●●について)言った、言わなかった」といった口頭トラブルが後々に尾を引くことがあります。
これがきっかけとなって示談が長期化するパターンが多く存在します。
そのため、示談を始めるときには交渉した内容を必ずノートやボイスレコーダー(録音する際は必ず許可を取ってから録音するように、無許可の録音は後に証拠として扱われません)に記録するようにしましょう。
またついつい思った通りに交渉が進まず、怒鳴ったり感情的になってしまうことも少なくありません。
ただし怒鳴り過ぎてしまったり逆上してしまってしまうと、示談交渉が悪化する恐れがあります。
その場合、このままでは話し合いにならないと、保険会社側が顧問弁護士を投入する可能性が高く、示談交渉が非常に困難になります。
こうなってしまえば被害者には不利以外の何物でもありません。
その為、常に冷静な態度で交渉に臨むようにしましょう。保険会社を恐れず・気負いせず、話の内容を録音するようにすると良いでしょう。
知っておきたいポイント3:保険会社との示談交渉は弁護士に依頼をしたほうが良い
専門的な知識を持った保険会社の担当者と示談交渉を行うことは個人では非常に難しく、最終的に満足のできる保険金額を受け取ることが厳しいことが多いです。
また、被害者の状況や事情によっては、示談交渉を行うことができない場合もあります。
そのような場合は、弁護士に示談交渉を依頼することをお勧めします。
示談交渉に関して専門的な知識を持つ弁護士に依頼することで、はるかに示談交渉が早く、楽に済みますし、過去の裁判例に基づいて示談金額の交渉を行うことができるため高い可能性で損害賠償の金額も増えやすいといえるでしょう。
保険会社の担当者に不満がある場合の解決策
保険会社の担当者の一部に、被害者の無知につけ込んで、専門的な言葉やあやふやな内容で被害者を困惑させる事で損害賠償金を減らし、加害者側に有利になるように仕向ける人がいます。
中には一方的に被害者を加害者扱いし、賠償金を一銭も支払おうとしない悪質な担当者もいます。
そのような担当者に当たった時は、下記の対応を取りましょう。
【★悪質な担当者に当たったときの対処法★】
1 保険会社の担当の上司に事情を訴え変更を希望する
2 保険会社の相談窓口や「そんがいほけん相談室」に連絡する
対策①:示談の担当者の変更を担当者の上司に直接要請する
悪質な担当者と示談交渉を続けても時間とお金の無駄です。
その場合は、担当者の上司(その上司でも駄目な場合は上司の上司)にクレームとして担当者の悪質なやり方や態度の事例をあげながら、担当者の変更を希望することを伝えましょう。
そもそも示談代行というものは、被害者の「(双方の意見で)示談代行でも良い」という同意が必要です。同意がなければ示談を行うことができません。
対策②:苦情を聞いてくれる相談窓口に訴える
加害者が保険契約を結んでいる保険会社の本社や大きな支社などに設けられた、「お客様相談室」や「お客様サービス室」といった相談窓口に、担当者に対する苦情や担当者の変更を訴える方法もあります。
また、日本損害保険協会が全国各地で開いている「そんがいほけん相談室」に訴えるという方法もあります。
協会は苦情が入ると、必ず苦情のあった保険会社の本社に連絡をします。そして保険会社はどう対処を行っているかの途中経過や、解決方法を協会に報告しなければいけなくなります。
最終的には保険会社や損害保険協会で受け付けた苦情について、各保険会社から、監察官庁の金融庁に対し、年4回ほどに分けて報告をすることが義務付けられています。
担当者の悪質な態度に対してただ泣き寝入りや我慢をするのではなく、保険会社の相談室やそんがいほけん相談室のような苦情を聞いてくれる窓口や機関に事情を訴えるようにしましょう。行動することはとても大切です。
交通事故による保険会社との示談交渉についてのまとめ
交通事故の示談交渉をする際に、交渉の相手になる保険会社についてみてきました。
保険会社との示談交渉に臨む際は下記の3つの注意点を念頭において挑むのが基本ですが、相手はプロです。相手のペースで示談が進んでしまう事も否めません。
1 示談は一度決定してしまうと白紙にできない
2 交渉の際は許可を取って録音し、証拠を集めよう
3 示談交渉は弁護士に依頼したほうが良い
相手は交渉のプロだというのを忘れずに!
そして示談は一度決まってしまえばやり直すことはできません。一度きりの勝負です。
3つの鉄則に加えて一度しかチャンスがない事を頭に入れて示談交渉に挑まなければ、示談の結果に後悔する可能性が高いでしょう。
その為、もし示談に不安があるようならば安易に自分で行おうとせず同じ法律関係のプロである弁護士に相談や依頼をしてみるのも一つの示談交渉といえるのではないでしょうか。
交通事故の被害者になった場合、示談交渉を有利に進めたい場合は弁護士への依頼がおすすめです!
交通事故でケガを負った場合、保険会社との示談交渉を弁護士に依頼することによって、治療費や慰謝料などの示談金を増額できるケースがあります。
初回相談料や着手金が0円の弁護士事務所もありますので、示談交渉に不安を感じたらまずは弁護士へ相談してみましょう。
【交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するメリット】
・専門知識が必要な示談交渉を弁護士に任せることにより、有利かつスムーズに示談交渉を進められる。
・相手方に請求する示談金を増額させることができる。
・通院中や入院中など、交通事故のダメージが残っているときでも、示談交渉を任せられるため、治療に専念できる
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