今回当サイトのインタビューに協力してくださったのは、東京都在住でイベント会社に勤務されている女性Oさん。2013年5月、当時27歳だったOさんは秋田県の実家に帰省中、交通事故に遭われました。
そして事故発生から3年後の現在、加害者側の保険会社との示談交渉は最終段階を迎えています。そのOさんに事故から現在までの経緯をお話し頂きました。
目次
事故の状況
クルマの下敷きになり内臓が破裂するかと
――事故発生時の状況を教えてください
私は信号も横断歩道もない交差点を歩いて渡っていました。すると減速せずに右折してきた軽自動車に轢かれて、身体が車の下の挟まった状態のまま10メートルぐらい引きずられました。自分に何が起きたのかわかりませんでした。
後日、警察の方から聞いた話によると、加害者の方は交差点の直前で右折を思い立ち、田舎道で夜だったこともあり、人がいるか確認もせずに右折したそうです。
――事故発生の直後はどのような状況でしたか?
車が停止した時、私は意識があったのですが、身体がまだ車体に挟まれたままでしたし、身体の痛みと骨折をしている感覚から、身体を動かすことが一切できませんでした。
しかし、「このままの状態だと内臓が破裂しそう」と怖くなり、大声を出して助けを求めました。不幸中の幸い、事故現場がタクシー会社の目の前だったこともあり、すぐに人が駆けつけて車を持ち上げてくれました。その後は救急車と警察が来て、私は救急車で病院に搬送されました。
周りに人がいなかったら死んでいたかも
――加害者の方の事故当時の様子は?
加害者の方は中年の女性で、事故発生時は事故を起こしてしまったこと、私にケガをさせてしまったことで、「どうしよう、どうしよう」と呟きながらパニック状態に。もし事故現場に他の人が居てくれなかったら死んでいたかもしれません。今考えてもゾッとします。
示談交渉は交通事故の直後から既に始まっています。示談交渉を有利なものにするためにも、加害者の身元や目撃者の有無の確認など、被害者として必要な対応は可能な限りしておきましょう。
治療中の状況
約1か月寝たきりに
――どれぐらいお怪我をされたんですか?
骨盤の骨を4本、それに肋骨と鎖骨が折れました。他にも軽い肝臓損傷、あとは車に引きずられた時に全身に擦り傷や切り傷ができました。
――病院搬送後の治療について教えてください
病院に搬送されてからは、数日間ICU(集中治療室)で治療を受けました。その後、一般病棟に移ったのですが、骨盤骨折の治療は全身固定で、約1か月は寝たきりの状態でした。
退院したのは入院してから2か月が経ったころです。そこから1か月間は、自宅から病院に通ってリハビリを受けました。
事故から4か月が経ったころには骨折自体は完治したのですが、神経痛が残っていたので週1回くらいのペースで病院で電気治療などを受けていました。神経痛が完全に消えて治療を終えたのは、事故発生から約1年半後でした。
母が保険会社とのやり取りを代行
――保険会社とやり取りを始めたのはいつ頃ですか?
入院した直後です。しかし、私は入院してからしばらく寝たきり状態でしたので、代わりに母が加害者が加入している保険会社とやり取りをしてくれました。
やり取りと言ってもただ連絡を取り合うだけでなく、警察が作成する事故の調書などすぐに提出しなければならない書類もありましたので、母は何度か秋田と東京を行き来していました。動けるようになってからは、私が保険会社とのやり取りを引き継ぎました。
示談交渉をするにあたり必要となる書類は、物損か人身かなど交通事故の種類によって異なります。普段耳にしないような名前の書類ばかりですし、入手に時間を要するものもあります。交渉で不利にならないために、必要な書類をしっかり把握して不備のないようにしたいですね。
治療後の状況
一生消えない傷跡が残った
――今も症状や傷跡は残っていますか?
症状の方は完治しているのですが、車に引きずられた時にできた傷の跡が手や足に数か所残っています。服を着れば見えなくなる部分の傷跡もあるのですが、手の甲など服ではなかなか隠せない部分の傷跡もあります。大きくないとは言え、一生消えない跡が身体に残るのはやっぱりショックでしたね。
治療方法によっては、治療費が損害賠償として認められないものがあります。また、被害者の都合で入院や治療期間が長期化した場合も、全期間の損害賠償が認められない可能性がありますので、どのような場合に損害賠償が認められなくなるのか確認しておきましょう。
後遺障害等級は認められず…
――医師へ後遺症の診断書などの申請はされなかったのですか?
インターネットで調べて、後遺障害等級が認定されれば損害賠償額が大幅に上がるということを知ったので、神経痛と身体の傷跡について医師に後遺障害診断書の作成をお願いしましたが、断られてしまいました。傷跡も神経痛も完治扱いとされてしまったのです。
これは後で知ったことなのですが、病院はできれば後遺障害診断書を作りたくないみたいです。と言うのも、後遺障害等級が認定されるかされないかで賠償額が大きく変わってきますので、その金銭問題に病院は関わりたくないのだそうです。
そんな事情があるので、被害者の中にはある程度治療をしてもらったところで、後遺障害診断書の作成を知り合いの医師がいる病院にお願いする方もいるみたいですね。しかし、当時の私にはそんな知識もなかったので、医師に断られた段階で「そういうものなんだ」と納得するしかありませんでした。時間が経ってから別の症状が出てきたりしないか不安はありましたけどね。
Oさんが調べた通り、後遺障害等級が認定されるか否かでは損害賠償額が大きく変わってきます。正当な後遺障害等級を認定してもらうためには、治療を始める段階から準備が必要となります。ちなみに、もし既に認定された等級であっても、異議申し立てが認められれば等級が変更されることもあります。
自分での示談交渉
保険会社から提示された示談金は少なかった
――保険会社から最初に提示された示談金額はいくらでしたか?
保険会社から示談金を提示されたのは、事故から3年ほど経ったころで金額は98万円でした。
――示談金額に対する感想をお教えください
率直な感想は「少ない」でした。しかも、保険会社が掲示した金額の中には、骨折完治後に残った神経痛に関する損害賠償は一切含まれていなかったのです。
弁護士さんに教えてもらったのですが、大きなケガが治った後に神経痛が残ることは決して珍しいことではなく、必ずと言って良いほど残るものみたいです。しかし、レントゲンには写らないので、保険会社は損害賠償を認めないそうです。そのため、自分で示談交渉をする場合はこの神経痛に関する損害賠償を請求することはかなり難しいみたいですね。
事故が原因であることは明らかなのに、レントゲンに写らないからと言って完治扱いされて、さらに医療費や慰謝料も出ないのはとても不満でした。
自分では出し渋っているかの判断はできない
――保険会社が賠償額を出し渋っていると感じましたか?
少ないとは感じましたが、保険会社が提示してきた賠償額は細かく各項目ごとに金額が記載されていたので、これが妥当な金額なのかなと思いましたし、そもそも知識がない私には出し渋っているかどうか判断ができませんでした。
Oさんのように少なからず不満と感じながらも「保険会社が計算した金額だから間違いはないはず」と納得してしまう被害者の方はたくさんいますが、そもそも保険会社が掲示する金額は一番低い基準で計算されているのです。
示談交渉は一度成立してしまうと、やり直すことが非常に難しくなります。保険会社が提示した金額が妥当な金額であるか、賠償される内容に漏れがないか判断するためには、賠償の内容をしっかり把握する必要があります。
弁護士への依頼を検討
どうしても示談内容に納得がいかず
――なぜ弁護士に依頼しようと思ったのですか?
保険会社から提示された示談金が少ないと感じたこと、神経痛に関する賠償が受けられないことに対してどうしても納得ができませんでした。そのためどうにか賠償額を引き上げてもらえないかと考えたのです。
その時に交通事故に遭ったら弁護士をつけた方がいいと聞いたので、まずネットで色々調べるところから始めました。主に自分と似たケースの交通事故を探し、弁護士に依頼したことで賠償額がどれほど変わったのかを調べました。
調べた結果、多くのケースが弁護士に依頼したことで賠償額が大幅に見直され、逆に弁護士をつけずに自分で示談交渉をしても賠償額の見直しは相当厳しいことがわかりました。そこで弁護士事務所に一度相談してみようと思ったんです。
交通事故に特化した着手金0円の事務所に
――今の弁護士事務所を選んだ理由をお教えください
弁護士事務所の中にも交通事故の問題に特化している事務所とそうでない事務所がありましたし、事務所によって増額の可能性がある金額や手数料が違ったので、複数の事務所に相談して比較することにしました。
結果として私は3つの弁護士事務所に相談しました。先に行った2つの弁護士事務所には賠償額の増額は難しく、むしろ弁護士費用だけがかかって損をすることになると言われました。納得はできませんでしたが、保険会社の提示した金額は妥当だったのだろうと諦めかけましたね。
3つめの弁護士事務所は正直ダメ元でしたが、なんと増額の可能性は高いと言われました。私が相談した3つの弁護士事務所の中で、その事務所が交通事故の問題に一番特化していたのでとても驚きましたね。増額できる可能性がある金額が高く、弁護士費用も先払いではなく結果的に増額した金額の何パーセントということでしたので、ここなら金銭的負担がなく弁護士に依頼することができると思って依頼を決めました。
Oさんの言う通り、弁護士事務所の中には交通事故の問題に特化している所とそうでない所があります。もちろん、交通事故問題に特化している弁護士事務所の方が賠償額の増額の可能性は高くなります。
また、弁護士事務所によって弁護士費用の金額や支払い方法は異なります。最初の相談が有料の弁護士事務所もありますし、弁護士費用が先払いで結果的にあまり増額できずに損をしたなんていう被害者の方も…後悔しないためにも弁護士事務所の特徴はきちんと調べてから相談や依頼をするようにしましょう。
弁護士による示談金の増額
保険会社が提示した金額の約2倍に
――弁護士が計算した示談金はいくらでしたか?
弁護士さんに試算して頂いたところ、示談金は200万円が適正であるということでした。保険会社から初めに提示された示談金の額が98万円でしたのでおよそ2倍ですね。驚きと同時に半分の金額を提示してきた保険会社に怒りを覚えましたよ。
弁護士を依頼するだけでこんなにも金額が変わってくるのは思いもしなかったです。
訴訟も検討しましたが
――賠償額の不服について訴訟しようと思わなかったのですか?
もちろん訴訟も考えました。しかし、弁護士さんに相談したところ、裁判を起こすことで賠償額の大幅増額の可能性はありますが、私のケースでは示談で進めたほうが結果的に良いだろうとのアドバイスを頂きました。
と言うのも、私の事故の場合は10:0の過失割合で警察が判断したのですが、裁判になった時にこの過失割合が変わってしまう可能性があるようです。裁判では過失割合が改めて検証され、かつドライバーを守る性質が働く傾向にあるみたいです。そのため、裁判を起こすことが必ずしもプラスになるとは限らないようです。
裁判を起こして時間と費用を費やしたものの、かえって賠償額が減ってしまうことは避けたかったので、私は示談で解決する道を選びました。
交通事故の損害賠償について争う時、非常に重要となるのが過失割合です。過失割合が1違うだけで負担する損害賠償は大きく変わってきます。例えば損害が500万円の事故の場合、過失割合が1増えるだけで50万円負担額が増えることになります、非常に大きいですよね。
Oさんの場合は過失割合が0でしたが、被害者にも過失があった場合は、過失割合が適切であるか検討する必要があります。ちなみに、警察が言う過失割合と示談交渉で用いる過失割合は異なりますので、誤解しないよう注意しましょう。
弁護士による最終的な示談内容
後遺障害と相当の慰謝料が認められた
――最終的にはどの賠償部分が増額になったのですか?
大きく増額されたのが、傷害慰謝料と休業損害です。
傷害慰謝料は、神経痛と身体に残った傷跡に対する慰謝料が追加されました。治療が終わってから時間が経っている関係で後遺障害等級の認定はされませんでしたが、等級が認定された場合と同額の慰謝料が認められました。
休業損害は、そもそも保険会社(自賠責基準)と弁護士(弁護士基準)では1日あたりに支払われる金額が違い、保険会社の計算ではその金額が低く設定されています。私の場合は結果的に3割ほど増額することになりましたが、休業の期間が長いほど差額も大きくなるので、絶対に弁護士基準で計算してもらったほうがいいですね。
その他にも交通費や入院雑費など細かい部分が増額されました。
弁護士相手だと保険会社もすんなり増額を認め
――弁護士と保険会社はどのような交渉をしていましたか?
後遺障害等級が認定されていなくても慰謝料が支払われたという過去の裁判例をもとに交渉を行っていました。実際の裁判例をもとにしているので、保険会社もすんなり増額を認めていましたね。
休業損害に関しては、先程も説明した通りに保険会社と弁護士では計算方法が異なるため、弁護士に依頼するとほぼ必ず増額することになります。
実際に弁護士に依頼して感じたメリット
交渉力の高さ
――弁護士に交渉を依頼して良かったと思う点をお教えください
たくさんありますが、私が弁護士に依頼してよかったと特に思ったことは3つあります。
1つ目は交渉力の高さです。私が神経痛を訴えても保険会社は正直聞く耳を持ってくれませんでしたが、弁護士さんを介して交渉をすると驚くほどあっさり認めてもらうことができました。
過去の裁判例をもとにした弁護士さんの交渉は本当に強力なのだと思いましたね。ちなみに、弁護士さんに聞いたところ、個人の交渉で過去の裁判例を持ち出してもあまり効果はないみたいです。
依頼しやすい支払方法
2つ目は料金面の手軽さと依頼のしやすさです。私が依頼した弁護士事務所が設定する弁護士費用は、「最初に提示された金額から増額した分の何割」を支払うものでした。着手金や手数料は一切かからないので、結果的に慰謝料が増えることはあっても減るということが絶対にないので、安心して依頼することができました。
交渉力は取り扱ってきた案件が多ければ多いほど高くなります。そのため、交通事故を多く取り扱っている弁護士事務所を選ぶことをお勧めします。「弁護士費用って高そう…」と不安を抱いている方は、相談無料で着手金がかからず、費用が完全後払いの弁護士事務所であれば安心ですね。
労力の軽減とスピーディーな対応
3つ目は示談解決までのやり取りが非常に楽でスピーディーに行われた点です。私の場合、示談金の見積もりをもらって弁護士に相談したのは交通事故発生から既に3年が経っていて、正直疲弊して早く交通事故のことから解放されたいと思っていました。弁護士さんはそんな私の意向を汲み取ってくださり、3カ月の短い期間で示談の最終調整の段階まで進めてくれました。ここから半年以内には決着がつくそうで一安心しています。
弁護士に依頼するまで自分で保険会社とやり取りをしていましたが、仕事中に電話はかかってきますし、わからないことを聞いたり必要な書類を請求しても「確認します」と言われて何週間も返答がないことがざらにありました。交通事故の嫌な記憶がそのたびに蘇りますし、ストレスが溜まって仕方なかったですね…弁護士に依頼してからはそういうやり取りを全てお任せできるので負担が減りました。
弁護士に依頼せず示談交渉を自分で行う被害者の方もいますが、その多くがストレスを抱え最終的には損をしていると言わざるを得ません。自分で示談交渉を行うメリットも多少ありますが、それをはるかに上回るデメリットがあり、更には示談交渉の時効を考えると弁護士に依頼する方が賢明であると言えます。
弁護士とのやり取りはメールで
――弁護士とOさんはどのようにやり取りされていたのですか?
基本的にメールでやり取りをしています。交渉の進捗や増額金額の確認など、弁護士さんからきたメールに対応しています。仕事中に突然電話がかかってくるようなことがないので、非常に助かっています。
弁護士事務所へ直接お伺いしたのは、最初に相談に行った時と、委任契約を取り交わした時の2回だけです。委任契約を交わしてからは、保険会社からの連絡の窓口が弁護士さんに移ったので本当に気が楽になりましたね。
実際に弁護士に依頼するデメリット
特にありませんでした
――弁護士に依頼してマイナスだった点は?
マイナスに感じた点は特にありませんでした。もっと早く弁護士事務所に示談交渉を依頼すべきだったと後悔はしています。交通事故の後すぐに依頼をしていれば、こんなに時間と労力をかける必要はなかったと思います。
また、私の場合は治療が終了してから時間が経っていたので、後遺障害等級が認定されませでしたが、治療の段階で弁護士さんに依頼をしていれば、等級が認定されていたかもしれないということなので…知識がなかった自分に後悔が残ります。
また事故にあったら…
次は迷わず交通事故の直後に
――万が一また交通事故に遭われたら弁護士に依頼しますか?
はい、次は迷わず交通事故の直後に依頼します。
そして、私の家族や知人が同じく交通事故に遭った時も、すぐに弁護士さんに依頼するようにアドバイスします。弁護士に依頼するメリットを知らないばかりに、何十万や何百万円の損をする交通事故の被害者の方が一人でも減ればいいと思います。
――本日はありがとうございました。
示談交渉は交通事故の直後から始まっています。より多くの損害を賠償してもらうためには、被害者に有利な実況見分や後遺障害等級認定を見据えた治療が必要となります。
もちろん自力で示談交渉を行うことはできます。しかし、示談交渉の相手となる保険会社の担当者は、交通事故問題の知識が豊富な示談交渉のプロです。そのプロに付け焼き刃の知識で挑んだとしても、被害者に有利な内容を引き出す事は非常に困難です。
追い詰められた状況になってから弁護士に依頼することもできますが、もらえる損害賠償を漏れなく受け取るためには、少しでも早く弁護士に依頼するのがおすすめです。
交通事故の被害者になった場合、示談交渉を有利に進めたい場合は弁護士への依頼がおすすめです!
交通事故でケガを負った場合、保険会社との示談交渉を弁護士に依頼することによって、治療費や慰謝料などの示談金を増額できるケースがあります。初回相談料や着手金が0円の弁護士事務所もありますので、示談交渉に不安を感じたらまずは弁護士へ相談してみましょう。
【交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するメリット】
・専門知識が必要な示談交渉を弁護士に任せることにより、有利かつスムーズに示談交渉を進められる。
・相手方に請求する示談金を増額させることができる。
・通院中や入院中など、交通事故のダメージが残っているときでも、示談交渉を任せられるため、治療に専念できる。
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交通事故でけがをした場合、症状固定までにかかる期間は、加害者に対して請求する治療費に影響します。
普段とは違う時間からの仕事で、いつも使っていた大通りは混み合っていたため、信号機がなく交差点の多い細い道を使って出勤することに。
こちら側はファミリータイプのワゴン車、相手側は軽自動車でした。 住宅街の狭い道路を徐行速度で走行しており、十字路に差し掛かりました。