主婦も交通事故による休業損害を請求できる!休業損害の計算方法と請求手順について徹底解説

公開日:2018/07/13
最終更新日:2018/08/06

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主婦交通事故休業損害損害賠償請求

主婦でも休業損害が貰えるか悩む女性のイメージ画像

 

 専業主婦や兼業主婦も休業損害を請求できる

 専業主婦の1日の収入は「賃金センサス」で求める

 主婦の休業日数は規定がない為、保険会社との示談次第

ナビ夫

交通事故の休業損害の元は、事故によって得られなかった収入です。一般的に会社員や自営業といった勤労者が請求できるイメージがあります。

その為、実質的な収入がない主婦が事故で家事を休んだからと休業損害を請求できる筈がないと考えてしまう人が多いです。ですが、主婦も休業損害を請求できます。

その理由や算出方法についてみていきます。

実収入が無い主婦が休業損害を請求できる理由とは

りんね
お母さんが風邪を引いちゃったから私が代わりに家事をしているんだけど、料理とか洗濯とか掃除とかなかなか大変……ッ!
アシスト爺ちゃん
お母さんは慣れた手つきでしておるが、家事はなかなか重労働なんじゃ。
アシスト爺ちゃん
だから裁判の判例では他人のための家事は金銭的に評価できるものだと理解されておる。それに、ハウスキーパーという仕事が存在しているしのう。交通事故の主婦の被害者は、保険会社に対して家事の休業損害を請求できるんじゃよ。

休業損害とは、簡単に言うと交通事故に遭った事で働けなかった結果、その期間に得られなかった収入の事を指します。

このように説明すると、もともと給料のような収入のないない専業主婦は、休業損害を受け取れないのではないかと疑問を持つ人が少なくありません。

実際、保険会社の担当者のなかには「あなたは主婦なので休業損害は支払いません」と誤った説明をする人もいます。

しかし、家政婦やハウスキーパーに家事を頼めば料金が発生することからもわかるように、他人の家事を代行することは金銭的な評価が存在しているのです。

家政婦という職業があるように、他人の家事をする事は金銭的価値がある

▼家事で休業損害が請求できるケース▼
請求できる 主婦(主夫)
同居して家族(両親)の代わりに家事を行っている
他人(家族)の為の家事
請求できない 一人暮らしの家事 自分の為の家事

このため、家族とともに暮らしている主婦が事故により家事を行えなくなった場合には、休業損害を請求することができるのです。

主婦だけではなく、たとえ結婚をしていなくても他人のために家事をしていればよく、高齢の両親のために娘が一人で家事を担っていた場合には、休業損害を請求できます。

これに対し、一人暮らしで自分の家事をしているだけならば休業損害を請求することはできません。

家事をするのは女性だけではない!

専業主“夫”が一般的な用語となりつつあるように「男性が外で働いて女性が家事をするもの」という考え方はもはや時代遅れと言えるでしょう。

このため、家事従事者として休業損害を請求できるのは女性に限らず、男性であっても休業損害を請求できます。

主婦の休業損害の計算方法|“3つの基準”のうち一番高い金額で請求しよう

家事手伝いのイメージ画像

休業損害を算定する計算方法には、自賠責基準任意保険基準、弁護士基準の3種類があります。基本的な計算方法はいずれも同じで、自賠責基準では1日あたりの収入を5,700円として休業日数分の休業損害を割り出します。

任意保険基準は一般に公開されていないのでよくわからないのが事実ですが、自賠責基準よりも高額の金額を算出する傾向にあります。

一方、弁護士基準では、事故前の具体的な収入状況から1日あたりの収入を割り出し、その金額に休業日数分をかけて割り出します。

▼休業損害の計算方法▼
自賠責基準 1日5,700円(上限19,000円)×休業日数
任意保険基準 非公開(自賠責より高い)
弁護士基準 1日の収入額×休業日数

休業損害の計算方法は基準ごとに決まっていることが多く、主婦だからと言って計算方法が特別違うという事はありません。会社員でも主婦でも計算そのものは一緒です。

専業主婦の「1日の収入額」の求め方

Q:専業主婦の1日の収入はどのように計算しますか?

A:事故年の賃金センサスの平均賃金を365日で割ります。
平成29年度は下記の計算で10,351円です。

もっとも、専業主婦の場合、事故前に具体的な収入があったわけではないので、「賃金センサス」の産業計・企業規模計・学歴計(※)の女子労働者全年齢平均の賃金をもとに、1日あたりの基礎収入額を算出します。

※e-stat→賃金構造基本統計調査→一般労働者→産業大分類→年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額→(産業計・産業別) で見れます(資料はエクセルでダウンロードします)

企業規模計10人以上の女・学歴計の、「きまって支給する現金給与額」に書かれている数字が1か月の金額になります。そこに12ヶ月分をかけ、「年間賞与その他特別給与額」に書かれている数字を足します。すると、平均賃金(年収)が出るため、それを365日で割ります。

平成29年版の平均賃金額
 263,600×12ヶ月+615,000=3,778,200
 3,778,200÷365=10,351.2329……

計算するとおおよそ1日あたり1万円前後になるので、自賠責基準よりも弁護士基準のほうが高額になるでしょう。専業主夫であっても男性の賃金センサスをもとにするのではなく、女性の賃金センサスを基にします。

パートアルバイトもしている主婦の「1日の収入」の求め方

Q:兼業主婦の1日の収入はどのように計算しますか?

A:パートの収入と賃金センサスの平均賃金のうち、収入の高いほうを採用して計算します

兼業主婦の場合には、パートタイマーとしての現実の収入額か女性労働者の全年齢平均の賃金額のいずれか高いほうを1日あたりの収入として割り出します。

パートタイマーとしての基礎収入が120万円以下の場合(=扶養の範囲内)は、1日あたりの収入が約3,000円なので、賃金センサスによる計算を用いたほうが休業損害は高額になるはずです。

なお、基本的に週30時間以上勤務していれば給与所得者として扱われますので、賃金センサスを用いた計算は原則として使われません。

家政婦を雇った費用も休業損害になる場合がある

家政婦を雇って家事を代行してもらった場合、家政婦を雇うのに要した費用が休業損害として認められることがあります。

もっとも、被害者のケガの状況によっては家政婦の給料分の保険金が認められないこともあるので、保険会社に確認を取りましょう。

専業主婦の休業日数の算出は難しい?証明に必要な書類は取っておくのが大事!

休業損害は、怪我のため労働に従事できなかった期間について支払われます。もっとも、主婦は、サラリーマンのように休んだ日数を客観的に明らかにすることが簡単ではありません。

主婦の休業日数を出す方法は主に二つある

1.入院日数・実通院日数をそのまま休業日数にする
2.事故~完治or症状固定までの期間を、段階的に休業損害の割合を減らして休業日数を計算する

主婦の休業日数を割り出す場合は入院日数・実通院日数を休業日数とする方法や、事故から症状固定日までの期間を段階的に区分して休業損害を割り出す方法が用いられています。

特に後者は、事故から完治、あるいは症状固定までの間に、怪我の症状が回復していった時に適用される場合が多いです。

怪我が徐々によくなり、被害者の容態が回復していくにつれてその間、どれくらいの割合で家事が不可能だったのかを数値化します。

主婦の休業日数は不明確

主婦の休業日数は交渉次第のところがあり、2ヶ月寝たきりだったとしても、2ヶ月間まるまる100%認められることもあれば、入院していない以上2ヶ月目からは75%の休業損害だけしか認めてもらえないこともあります。

1日あたりの収入を1万円とすると、前者では60万円支払ってもらえるのに対し、後者のケースでは30万円に22万5,000円(30×0.75)を加えて52万5,000円だけしか受け取れません。

例.2ヶ月間(60日)寝たきりで30日入院の主婦(1日の収入10,000円)
☆2ヶ月間休業損害が100%認められた場合
▶10,000×60日=600,000
☆1ヶ月目は100%、2ヶ月目は75%の休業損害の場合
▶(10,000×0.75)×30日=225,000
 300,000(100%休業損害)+225,000(75%休業損害)=525,000

休業日数の証明には診断書等の書類が必須

しっかりとした休業損害を請求したいのであれば、被害者の家事への支障の程度を示す証拠となる書類を提出する必要があります。被害者の怪我の程度を示す診断書や日々の様子を記した家族の陳述書が有効な資料の証拠となるでしょう。

家族に迷惑をかけまいと無理をして家事をしてしまうと、保険会社から「家事ができている以上、交通事故による被害者の家事への支障はなかった」と指摘され、休業損害を減額されてしまうかもしれません。

ですから、交通事故で怪我をしたら家族の理解を得て、なるべく無理はしないようにしましょう。

まとめ・主婦だからと最初からあきらめてはいけない

主婦だからと諦めてしまうイメージ画像

保険会社の担当者から「主婦に対しては休業損害を支払えない」と言われたとしても、実際には主婦でも他人のための家事に支障があったのであれば休業損害を請求できます。

休業損害といった事は、十分な知識がなければ泣き寝入りをしてしまいかねないので、示談をする前にいったん立ち止まって弁護士に相談してみましょう。

対象者……勤労者・家事をしている人
対象外……年金生活者・生活保護受給者・無職

交通事故での休業損害を請求するにあたり、交渉を有利に進めたい場合は弁護士への依頼がおすすめです!

母親の代わりに調べている子供のイメージ画像

交通事故で怪我を負って仕事を休んでしまって休業損害が発生した場合、休業損害の請求を弁護士に依頼することによって、休業損害を受け取れるケースがあります。

初回相談料や着手金が0円の弁護士事務所もありますので、休業損害を請求するにあたり不安を感じたらまずは弁護士へ相談してみましょう。

【交通事故の休業損害を弁護士に依頼するメリット】

・専門知識が必要な示談交渉を弁護士に任せることにより、有利かつスムーズに示談交渉を進められる。
・相手方や会社に休業損害を認めさせることができる。
・通院中や入院中など、交通事故のダメージが残っているときでも交渉を任せられるため、治療に専念できる。

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