交通事故の被害者が活用できる国民年金と厚生年金の障害年金制度

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交通事故の被害者になってしまった場合、実際にどの保険が活用できるかを知っておきましょう。中でも障害年金、労災保険については詳しく知っておくことをおすすめします。

国民年金/厚生年金の障害年金制度

交通事故によって死亡したり重い後遺障害が残った場合、被害者が国民年金や厚生年金に加入していれば、労災保険の障害年金または障害手当金、遺族年金とは別に、国民年金や厚生年金からも障害年金や遺族年金を併給してもらうことができます。

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労災保険とは障害等級の基準が異なる

労災保険と同じように、国民年金や厚生年金も後遺障害等級に応じて支給される年金が異なります。しかし、労災保険と国民年金/厚生年金では後遺障害等級の判断基準が異なり、更には国民年金と厚生年金の間でも基準は異なりますので、それぞれ確認が必要になります。

国民年金から支給される障害年金

障害基礎年金 後遺障害等級1級または2級
遺族基礎年金 被害者が死亡した場合

厚生年金から支給される障害年金

障害厚生年金 後遺障害等級1級~3級
障害基礎年金 後遺障害等級1級または2級
障害手当金(一時金) 後遺障害等級3級よりやや軽い障害
遺族厚生年金 被害者が死亡した場合
遺族基礎年金 被害者が死亡した場合

併給することが可能

厚生年金に加入しているということは、国民年金にも加入していることになります。

そのため、被害者が厚生年金に加入していて通勤中に交通事故に遭い、後遺障害等級1級または2級の後遺障害を負った場合は、労災保険からの障害補償年金に加え、厚生年金からの障害厚生年金と、国民年金からの障害基礎年金が支給されることになります。

併給した場合は労災保険が調整される

しかし、このような併給を受け取る場合、公的年金(厚生年金/国民年金)は全額支給されますが、労災保険から支給される金額は調整されて減額します。

これは、支給される年金額が被災前の賃金よりも高額にならないようにするためです。また、保険料の負担を、厚生年金は被保険者と事業主が折半、労災保険は事業主が全額していることから、事業主の二重負担を防ぐ目的でもあります。

労災保険と国民年金/厚生年金の調整率

  労災保険の年金
障害補償年金 遺族補償年金 傷病補償年金
厚生年金
および
国民年金
障害厚生年金
障害基礎年金
0.73 0.73
遺族厚生年金
遺族基礎年金
0.80
厚生年金 障害厚生年金 0.83 0.86
遺族厚生年金 0.84
国民年金 障害基礎年金 0.88 0.88
遺族基礎年金 0.88

例えば、障害厚生年金(公的年金)と障害補償年金(労災保険年金)を併給する場合、障害厚生年金は全額支給され、障害補償年金は0.73の調整率がかけられた金額が支給されることになります。

しかし、調整が行われない併給もあります。例えば、障害厚生年金(公的年金)と遺族補償年金(労災保険年金)の併給では調整が行われず、両方とも全額を支給されます。

ちなみに、調整を行う場合でも、調整された労災保険の年金と厚生年金の合計が、調整前の労災保険の年金より低額になることはありません

障害年金で受けられる支給額

次は、具体的に障害年金の支給額がどのように計算されるのか見てみましょう。

等級 障害厚生年金 障害基礎年金(国民年金)
1級 報酬比例の年金額×1.25
+配偶者(22万4,500円)

780,100円×1.25+子どもの加算
※第1子と第2子 224,500円
 第3子以降    74,800円

2級 報酬比例の年金額
+配偶者(22万4,500円)

780,100円×1.25+子どもの加算
※第1子と第2子 224,500円
 第3子以降    74,800円

3級 報酬比例の年金額
※最低58万5,100円

上記で登場する報酬比例の年金額は、平均標準報酬額(ボーナスも含めた毎月の平均収入)と被保険者期間(厚生年金を納めた期間)で決まります。

ちなみに、これでは被保険者期間が短い若年者の支給額が少なくなるように思えます。しかし、このように被保険者期間が300か月未満の場合でも、300か月(25年間)の加入期間が保障されます。

被害者になった時の年金制度の重要性

近年未払いが問題となっている国民年金ですが、単に老後のためだけではなく、若くして交通事故被害者で障害が残った時にも使える重要な制度です。

自損事故や加害事故で重度の後遺障害が残った場合、自賠責保険の対象外となったり、重過失減額によって無責事故となったりと、十分な賠償を受けることはまず不可能です。そんな万が一の事態も想定した上で、年金には必ず加入しておくようにしましょう。

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