事故直後に受診すべき理由は「怪我に気が付かずに放置すると悪化する可能性がある」「後から受診しても事故と関係があるのか疑われる」の2つ
怪我の治療費や通院費を損害賠償金として保険会社に請求するには、治療中の証明になる医師の診断書が必要
整骨院での治療費を請求するには医師の診断後、医師と保険会社の許可が必要
交通事故に遭った被害者の中には、自身に外傷が無いことや治療費の高さを理由に病院ではなく整骨院に通う人がいます。
確かに整骨院は安く、すぐに痛みが引くため、こちらを選んでしまいがちです。
しかし、交通事故の怪我の治療を整骨院だけにしていると、治療費を含む損害賠償金の請求の際に被害者側に不利になる可能性が高いのです。何故整骨院だけの治療は不利になるのでしょうか。
目次
交通事故に遭ったらケガは無くても整形外科を受診すべき!その2つの理由
交通事故に遭い被害を受けた自分や一緒にいる人(車の同乗者等)がケガをしていた場合、何よりも治療を最優先にしてください。具体的にはすぐに救急車を呼びましょう。
自分たちがケガをしていなければ警察に通報します。警察に事故現場の状況を記録してもらい交通事故証明書を貰う為です。
また、相手の連絡先や保険会社の名前(車検証)といった加害者側の必要な情報もメモしておきましょう。
警察の捜査が一通り済んだあとは、目立った外傷がなくてもすぐに病院に向かってください。
理想は事故発生日ですが、難しいならばどんなに遅くても事故発生から1週間以内に受診しましょう。
事故直後に行く理由①:事故後は肉体が興奮やショック状態に陥り、痛みに気が付いた時はもう手遅れの可能性がある為
Q:交通事故に遭ってもどこも痛くないから、わざわざ時間を作って病院に行かなくてもよいのでは? |
A:その時は痛くなくても日数が経過したら痛みを感じるケースがあります。 このケースの場合痛みに気が付いていない事が殆どなので、痛くなくても病院に行き、一度きちんと見てもらって医師のお墨付きをもらうのが大切です。 |
交通事故に遭っても目に見えるケガがなければ病院に行く必要はないと思ってしまう人が少なくありません。
また通常、病院に行こうと発起したら、待ち時間で半日近く潰れてしまう事を懸念してまずはスケジュール調整を行う人が殆どです。
その為単なる物損事故や怪我をしていない場合、これといった目立った怪我もなく目に見えない怪我の治療の為に仕事や家事を休む事に引け目を感じてしまい、「痛くないしたぶん大丈夫だろう」と過信して放置してしまう人が殆どです。
しかし交通事故に遭った事で体内に異変が起きているのに、体がショック状態や興奮状態にあるため痛みを感じる余裕がないだけというケースもあります。
このケースの場合はきがついたときには症状がかなり進行している事が多く、慌てて病院に行っても治療費が余計にかかる事も在り得ます。
交通事故で負った怪我はすぐに病院に行き適切な治療を受けなければ症状が長引いてしまい、場合によっては後遺症が残ってしまう可能性もあるのです。
事故直後に受診すべき理由②:事故からしばらく経過してから受診した場合、怪我と事故との関係性を疑われるため
また、交通事故からしばらく時間が経ってから通院した場合、その怪我の症状が事故によるものなのかと事故との因果関係を保険会社に疑われてしまいます。
そして治療費を含む保険金の請求にあたって不利になる可能性があります。
保険会社によってはその怪我は事故とは関係ないと言い張り、治療費を支払わないパターンもあるのです。
こちらの事情を説明しても「すぐに病院で診察を受けないそちらが悪い」といわれてしまえば、被害者側は何も言い返せません。
従って事故の当日、事故発生から遅くとも2日~3日以内には病院で診察を受ける必要があります。
このとき、事故で強く頭を打った場合のように精密検査が必要な場合を除いて、整形外科に行くのが良いでしょう。
あるいは、総合病院で「交通事故に遭ったけどどこの科にいけばいいのでしょうか」と伝え適切な受診先を案内してもらうのもひとつの手です。
事故直後から病院の治療費を負担してくれる保険会社もある
最初から加害者の任意保険会社が病院でかかる治療費を負担してくれるケースも多くみられます。
病院に交通事故の被害者であることと相手の任意保険会社を伝えると、その後は病院と保険会社のほうでやり取りを進めてくれるのです。
物損事故で処理した場合
もっとも、加害者と被害者のあいだで事故に関する争いがある場合や物損事故で処理されている場合には、被害者がいったん立て替えざるを得ないでしょう。
このような場合でも、後日必要かつ妥当な治療だったと認められると、治療費を含む示談金を受け取れます。
そのため被害者が一時的に治療費を立て替えるときには、後日の賠償金の請求に備えて診断書・領収書を保管しておくのがトラブルも起きにくく無難でしょう。
のちに後遺障害に関する慰謝料を請求するときにも事故当初の診断書が有効な証拠となるので、病院で診断書を受け取っておく必要があります。
そのほか交通事故直後の病院の受診の際に注意しておく点についてはこのページをご覧ください。
▶交通事故でケガをしたら何科を受診すべき?通院のポイントも含め徹底解説!
診断後は整骨院での治療も併用可能!
交通事故に遭った後で怪我の治療をする時、病院よりも整骨院のほうが身近に存在する為、そちらでの通院と治療を考えている被害者もいると思います。
整骨院と病院の併用治療は難しいのでは、と思われがちですが、きちんとした手順を踏めば整骨院と病院での治療費を保険会社に請求できるのです。
病院と整骨院の違い
診察方法 | 治療方法 | |
---|---|---|
病院 | ・症状の診断 ・機械の検査による特定 | ・投薬治療 ・リハビリ |
整骨院 | ・症状を触診で判断 ・筋肉の異常の把握による特定 | ・マッサージ治療 ・電気治療 ・ストレッチ、リハビリ |
日常生活において病院と整骨院の違いを意識する機会は少ないかもしれません。
医療機関は症状の診断、特定を行い、医薬品などを用いて治療を行うのに対し、整骨院は筋肉や骨などの異常を把握して、その痛みの原因をマッサージなどで改善していきます。
レントゲンでわからないダメージの程度でも柔道整復師の触診なら把握できることがあります。
このため、交通事故の被害者のなかには、整骨院での療法で症状が緩和される人も多くいます。
たとえば、骨折の治療ならば整骨院で筋力トレーニングやストレッチを行い、スムーズに事故前と変わらない状況に戻れることがあります。
しかし最初から交通事故の怪我の治療を整骨院で行うのは、賠償金請求の兼ね合いもありおすすめしません。
事故当初から整骨院で治療を受けるのはNG!
Q:どうして交通事故に遭った後の治療を病院より先に整骨院でしてはいけないの? |
A:①整骨院では保険会社の治療費請求に必須の診断書が書けない為(かけるのは医師のみ) |
交通事故でケガをすると治療費や病院までの交通費などがかかります。
このようなケガを前提とした保険金を受け取るには、事故で治療が必要なケガをしたことが必要です。
これを証明する書類が「診断書」です。診断書を作成できるのは医師に限られているので、交通事故に遭ったらまずは医師の在籍する病院に行かなければなりません。
つまり事故当初から整骨院にだけ通っていたら怪我の治療に関する費用の請求ができなくなり自腹になる可能性があるのです。
後遺障害等級の申請や慰謝料の計算にも影響がでる
また整骨院では投薬治療や検査ができない為、事故直後の被害者の怪我の状態を記録に残すことができず、事故直後の怪我を明確に証明することが難しいといえます。
事故直後の怪我の状態が検査結果等に存在しない場合、きちんとした資料が少なくなる為、後遺障害等級を請求しても不認定になりやすいでしょう。
整骨院の治療費を保険金に含む為には医師の指示や保険会社の同意が必要
医師の診断後であれば病院でのリハビリに加え、医師の指示や保険会社の同意がある限り、整骨院を併用することができます。
それ以外の場合は治療費を自ら負担しなければならない可能性を踏まえたうえで、痛みを無くすために整骨院に行くかどうかを検討しましょう。
医師の指示のない場合、自賠責保険の上限(120万円)を超える治療費は支払ってもらえない可能性があります。
加えて、整骨院では医療保険が適用されるケガの種類も限定されており、疲労によるものや慢性的なものは保険の対象外になるので注意してください。
整体院やカイロプラクティックでケガの治療をしても良いの?
もちろん、痛みを軽減するために自己負担で整体院やカイロプラクティックに通うことは特に問題ありません。
しかし、国家資格を有する柔道整復師が施術する整骨院と異なり、整体院やカイロプラクティックで施術をしている人は国家資格を有していません。
このため、任意保険会社は、整骨院での治療費以上に保険金の支払いを拒むでしょう。
また、症状に関係なく整体院やカイロプラクティックでは健康保険を使えません。
Q:何故整体院やカイロプラクティックでは健康保険を使えないの? |
A:健康保険を利用できる条件に該当していないからです。 マッサージ関係で健康保険の利用が許されているのは国家資格のあん摩マッサージ指圧師が症状改善のために行う医療マッサージです |
整骨院と整形外科を併用することのメリット
交通事故に遭って怪我を負い治療を行う際に、整骨院と整形外科(病院)片方だけを使って治療を続けるよりも、双方を併用した治療のほうが、メリットが高い為、可能であるならば併用治療をおすすめします。
整骨院での最大のメリットが即効の鎮痛効果でしょう。
整形外科でも治療は行われますが、投薬効果や被害者の怪我の進行具合を見て治療を変更する為、最終的には効果が出ますが治療の即効性に欠けているといわざるを得ません。
それに対して、整骨院では筋肉をほぐしたり電気治療を加えたりと直接肉体に働きかけるため、痛みがすぐに治まるのです。
また、多くの整骨院では治療と並行してリハビリも行っているため、病院ではできなかった細かなリハビリも継続して可能です。
そして病院と並行して通うことで怪我の症状や治療の変化といった事が被害者や医師にも分かる為、後遺障害等級申請に必要な診断書の中身が書きやすくなります。
診断書においては自覚症状(被害自身が感じる症状)よりも他覚症状(医師からみた症状)を重要視するからです。
併用治療の注意点(デメリット):整骨院を嫌う整形外科医もいる
整形外科の医師の中には、患部を触って施術する整骨院の触診を嫌うタイプがいます。
このような性格の医師が主治医の場合は、いくら被害者自身が整骨院での併用治療を望んでも併用の同意を出さない事が多いです。
いざという時に失敗しないように普段の治療や診察から主治医とのコミュニケーションをとり、主治医の性格を理解しておくようにしましょう。
まとめ・外傷がなくても病院へ!
交通事故に遭遇した直後、目立った外傷がなくても体内で異変が起きている可能性は十分に考えられます。
従って交通事故に遭ったときには大丈夫だと思ってもとりあえず病院に行く事を忘れずにいましょう。
治療を前提とした保険金や後遺障害に関する慰謝料や損害賠償金を受け取るには医師の診断書が必要です。
医師の診断書が無ければ結果的に自己負担になってしまい出費がかさんでしまいます。
このため事故の治療は最初から整骨院に行くのではなく、まずは医療機関(整形外科)に行きある程度治療を受けた上で、医師と相談して整骨院と併用しましょう。
ケガの治療費を保険会社へ請求するにあたり、交渉を有利に進めたい場合は弁護士への依頼がおすすめです!
交通事故でケガを負った場合、保険会社との示談交渉を弁護士に依頼することによって、治療費や慰謝料などの示談金を増額できるケースがあります。
初回相談料や着手金が0円の弁護士事務所もありますので、示談交渉に不安を感じたらまずは弁護士へ相談してみましょう。
【交通事故の示談を弁護士に依頼するメリット】
・専門知識が必要な示談交渉を弁護士に任せることにより、有利かつスムーズに示談交渉を進められる。
・相手方に請求する示談金を増額させることができる。
・通院中や入院中など、交通事故のダメージが残っているときでも、示談交渉を任せられるため、治療に専念できる。
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