かかる税金も任意保険の支払い者によって種類が変わる
損害賠償金は税金の対象外
賠償金としての側面がない保険金は税金の対象になる
交通事故で被害者が死亡したときに遺族が加害者に請求できる慰謝料はどのようにもらえるのでしょうか。また損害賠償金にそもそも税金はかかってしまうのでしょうか?今回はそちらについてみていくことにします。
目次
交通事故で身内が死亡した場合に支払われるお金とは?
人が亡くなるとどのような損害が生じるのか?
このように交通事故で家族を亡くすと3つの損害が発生します。事例を挙げて説明してみましょう。
Cさん(42歳男性、年収500万円)が交通事故に遭い、その直後に亡くなってしまったとします。突然家族を奪われた遺族の精神的苦痛はなかなか大きいものでしょう。ところが、遺族は悲しみに暮れる間もなく、Cさんの葬儀を執り行うことになります。
また、Cさんが60歳で定年するまでに得られるはずだったお金(500×18=)9000万円も得られなくなります。
交通事故の加害者に請求できるお金
このように交通事故で家族を亡くすと、死亡慰謝料、葬儀関連費用、逸失利益という損害が発生します。
また、即死なのでCさんが何らかの苦痛を感じることは実際にはなかったかもしれませんが、これからの人生を奪われるという大きな苦痛をCさん自身が受けたと捉え、Cさん自身にも慰謝料請求権が発生すると考えます。
慰謝料請求権を相続した遺族は、自らの慰謝料請求権とは別にCさんの慰謝料請求権も行使できます。
死亡慰謝料とは
死亡慰謝料とは、その名のとおり、死亡によって受けた精神的苦痛を慰謝するためのお金です。どのような基準で計算するかにもよりますが、死亡慰謝料だけで数千万円受け取れるケースも多くあります。
精神的なストレスで通院を余儀なくされたケースや加害者が飲酒運転をしていた場合にはより高額な慰謝料の支払いが認められます。
葬儀関連費用とは
被害者の遺族は、法要の費用や火葬代、お布施など葬儀に関する費用を加害者側に請求することができます。
金額としては150万円が相場とされていますが、会社の社長が亡くなり大規模な葬儀が必要であるなど合理的な理由があれば増額も認められます。
香典返し費用は相手に請求できない
葬儀をすると参列者から香典が渡されます。これは被害者の生前の行いに対する感謝のようなものなので、交通事故で亡くなったか否かに関係なく支払われていたはずのものです。このため、交通事故による損害とは別個に扱われ、香典返しを損害として請求することはできません。
逸失利益とは
逸失利益とは、本来得られたはずであるにもかかわらず交通事故に遭ったために得られなくなったお金です。上記の例でいえば、9000万円が逸失利益に当たります。
ただし、この全てを加害者側に請求できるわけではありません。生きていれば生活費を支出していたはずなので、生活費相当分を控除した残りを請求します。
交通死亡事故の慰謝料に税金がかからないケースとは?
交通事故の被害者が死亡したことに関して支払われた慰謝料などの賠償金は、原則として相続税・所得税の対象ではありません(所得税基本通達9‐19、9‐23参照)。遺族は、被害者の遺言があればそれに従い、遺言がなければ法定相続分に沿って相続することになるでしょう。
また、加害者から受け取った見舞金も社会通念上相当といえる金額であれば非課税となります。軽い打撲で100万円の見舞金を受け取ると課税される可能性がありますが、死亡事故であればほとんどのケースで相当な金額だと判断されるでしょう。加えて、近親者固有の慰謝料も非課税であり、被害者が亡くなった後の遺族の生活に配慮がなされているといえるでしょう。
【非課税(=税金がかからない)の場合】
・原則として交通事故の慰謝料は税金の対象外
・加害者からの見舞金も常識の範囲内なら税金の対象外
・相続した死亡慰謝料も税金の対象外
交通死亡事故の慰謝料に税金がかかるケースとは?
どんなケースで税金がかかるの?
被害者の生存中に示談が成立したものの、被害者が示談金を受け取らないうちに死亡した場合、遺族が被害者に代わって示談金を請求できます。これは通常の金銭債権を相続する場合と異ならないので、相続税の対象となります。
扱い注意!保険金
加害者側の保険会社から示談金を受け取る場合であっても、実質的にみてそのお金が賠償金と評価できれば、相続税の対象になりません。一方、自損事故保険、搭乗者傷害保険の死亡保険金や人身傷害保険金のうち被害者の過失部分にあたる保険金のように賠償金としての性格がなければ課税の対象となります。
保険料を誰が負担したかによって課税方式が異なり、保険金の受取人が保険料を負担していた場合には一時所得として所得税が、第三者が保険料を負担していた場合には贈与税が課税されます。
保険金に税金がかかるパターン
かかる場合 | かからない場合 | |
---|---|---|
交通事故の損害賠償金だと認められない場合 | 交通事故の損害賠償金だと認められた場合 (例.加害者が支払った示談金) |
教えて!こんなケースはどうなるの?
Dさん(10歳)の両親は離婚しており、母親であるEさんがDさんを引き取って暮らしていたとします。Dさんが交通事故で亡くなったとすると、Eさんは離婚したDさんの父親Fさんに慰謝料を渡さなければならないのでしょうか。
Dさんに子どもはいないので、EさんとFさんが法定相続人になります(民法900条4号)。
このため、EさんとFさんは等しく死亡慰謝料を相続するので、EさんはFさんにお金を渡さなければなりません。これはFさんが受け取るべきお金を渡すだけであり、相続税や贈与税などの税金の対象ではありません。
Q:10歳のDさんが交通事故で死亡した時、だれが慰謝料を受け取るの? |
A:Dさんの血縁者は両親のみなので、両親がそれぞれ受け取る権利を持つ。受け取るお金を渡すだけなので相続税などの税金の対象外。 |
分からないことがあれば税理士・弁護士に相談!
死亡事故で受け取る賠償金については基本的に税金がかからないと考えて問題ないでしょう。しかし、具体的な事案によって結論が変わってくることがあるので、わからないことがあれば税理士や弁護士に相談してみてください。
交通事故での慰謝料を請求するにあたり、交渉を有利に進めたい場合は弁護士への依頼がおすすめです!
交通事故でケガを負った場合、慰謝料請求を弁護士に依頼することによって、治療費や慰謝料などの慰謝料を増額できるケースがあります。初回相談料や着手金が0円の弁護士事務所もありますので、慰謝料を請求するにあたり不安を感じたらまずは弁護士へ相談してみましょう。
【交通事故の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット】
・専門知識が必要な示談交渉を弁護士に任せることにより、有利かつスムーズに示談交渉を進められる。
・相手方に請求する慰謝料を増額させることができる。
・通院中や入院中など、交通事故のダメージが残っているときでも交渉を任せられるため、治療に専念できる。
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