【交通事故による後遺障害等級】下肢に複数の障害が残った場合の認定基準

公開日:2017/05/22
最終更新日:2018/03/28

837人が閲覧しました

後遺障害認定

下肢に後遺障害が複数残った人のイメージ画像上肢・下肢に複数の障害が残った場合、ただ単に等級を併合すると、等級評価の序列が乱れる恐れがあるため、労災の等級認定基準を用いて、自賠責の等級が認定されることになります。

併合

ア.系列が異なる障害が2つ以上あり、併合すると序列を乱すことになる場合は、直近上位または下位の等級を認定する

【例1】
1下肢をリスフラン関節以上で失い(第7級8号)、かつ、脛骨に偽関節を残す場合(第8級9号)、これらを併合すると第5級となりますが、1下肢を足関節以上で失ったもの(第5級5号)には達しないため、併合6級となります。

【例2】
同じ下肢の足関節以上または膝関節以上を失い(第5級5号または第4級5号)、変形障害を残す場合は、変形障害の程度に関係なく、足関節以上は併合第5級、膝関節以上は併合第4級となります。

イ.下記の場合は、併合ではなくそれぞれ等級を認定する

a.等級の組み合わせが定められている場合

【例】
左右の足をリスフラン関節以上で失った場合、右足をリスフラン関節以上で失ったもの(第7級8号)と左足をリスフラン関節以上で失ったもの(第7級8号)を併合するのではなく、等級表に定められた「両足をリスフラン関節以上で失ったもの(第4級7号)」が認定されます。

b.通常派生する関係にある場合

【例1】
脛骨の遠位骨端部の欠損と(第12級8号)、同じ下肢の足関節の著しい機能障害を残した場合(第10級11号)、上位の第10級11号が認定されます。

【例2】
大腿骨または下腿骨の骨折部に癒合不全または長官骨の変形を残し、その部位に疼痛を残す場合は、いずれか上位の等級が認定されます。

準用

後遺障害等級表に、その属する系列はありますが、該当する障害がない場合は、下記の方法で等級を認定することになります。

ア.併合の方法を用いて準用等級を定めるとき、併合すると序列を乱すことになる場合は、直近上位または下位の等級を認定する

a.直近下位の等級に認定されるもの

【例1】
1下肢の足関節の用を廃し(第8級7号)、かつ、同じ下肢をリスフラン関節以上で失った場合(第7級8号)、併合の方法を用いると第5級となりますが、1下肢を足関節以上で失ったもの(第5級5号)には達しないため、準用第6級となります。

【例2】
同じ下肢の足関節または膝関節以上を失い(第5級5号と第4級5号)、機能障害が残った場合は、機能障害の程度に関係なく、足関節以上は準用第5級、膝関節以上は準用第4級となります。

b.3大関節のすべてに同じ機能障害を残す場合

1下肢の3大関節のすべてに機能障害を残す場合は第10級、その機能障害が著しい場合は第8級に準ずる障害として取り扱われます。

c.1足の足指に障害等級表に組み合わせのない欠損障害を残す場合

【例1】
1足の第2指を含めた3指を失った場合、「1足の第1指以外の4指を失ったもの(第10級9号」と「1足の第2指を含む2指を失ったもの(第12級11号)」の中間であり、前者の第10級9号には達しないため、準用第11級となります。

【例2】
1足の第2指を含めた3指の用を廃した場合、「1足の第1指以外の4指の用を廃したもの(第12級12号)」と「1足の第2指を含む2指の用を廃したもの(第13級10号)」の中間であり、前者の第12級12号には達しないため、準用第13級となります。

イ.他の障害の等級を準用する

a.下肢の動揺関節については、それが他動的・自動的であるかに関わらず、下記の基準によって等級を認定する

1常に硬性補装具を必要とする場合は、
第8級に準ずる関節の機能障害として取り扱われる
2時々硬性補装具を必要とする場合は、
第10級に準ずる関節の機能障害として取り扱われる
3重労働のとき以外は硬性補装具を必要としない場合は、
第12級に準ずる関節の機能障害として取り扱われる

b.習慣性脱臼および弾発膝は、第12級に準ずる関節の機能障害として取り扱われる

c.足指を付け根から失った場合は、「足指を失ったもの」に準じて取り扱われる

加重

ア.下記の場合は、障害の程度を加重した限度で障害補償を行う

a.もともと下肢に障害がある人が、同一系列で新たな障害を負った場合

【例1】
1下肢をリスフラン関節以上で失っていた人が、さらに同じ下肢を足関節以上で失った場合

【例2】
1下肢の足関節に著しい障害が残っていた人、または膝関節の用を廃していた人が、さらに同じ下肢を足関節以上で失った場合

【例3】
1下肢の足関節に機能障害がある人が、さらに同じ下肢の足関節に著しい機能障害を残した場合

b.もともと下肢に障害がある人が、障害のある部分以上を失った場合

【例1】
1下肢の脛骨に変形障害がある人が、さらに同じ下肢を膝関節以上で失った場合

【例2】
1下肢を1㎝以上短縮していた人が、さらに同じ下肢を足関節以上で失った場合

【例3】
1下肢の下腿部に手のひらの大きさのケロイド痕を残していた人が、さらに同じ下肢を膝関節以上で失った場合

c.もともと1足の足指に障害がある人が、同じ足指または同じ足の別の足指に新たな障害を負った場合

【例】
1足の第5指の用を廃していた人が、さらに同じ足の第1指の用を廃した場合

d.(両足指を含む)左右両上肢の組み合わせ等級に該当する場合

もともと1下肢に障害がある人が、他の下肢に新たな障害を負った場合、または(足指を含む)同じ下肢に新たな障害を負い、他の下肢にも障害を負った結果として、下記の組み合わせ等級に該当した場合は、障害補償について加重として取り扱われます。

1両下肢を膝関節以上で失った場合(第1級5号)
2両下肢を足関節以上で失った場合(第2級4号)
3両下肢をリスフラン関節以上で失った場合(第4級7号)
4両下肢の用を廃した場合(第1級6号)
5両足指をすべて失った場合(第5級8号)
6両足指のすべての用を廃した場合(第7級11号)

その他

その他にも、ケガ内容の関係で、複数の系列の後遺障害に該当する場合であっても、それぞれが派生する関係にある場合は、上位の等級で取り扱われます。

例えば、関節を構成する長官骨の骨端部の欠損と、欠損による関節機能障害が残った場合や、骨折後の癒合不全による長官骨の変形と、変形部分に疼痛が残った場合などが該当します。

後遺障害の等級認定を受けるにあたり、スムーズかつ的確に進めたい場合は弁護士への依頼がおすすめです!

交通事故でケガを負い完治しないと判断された場合(症状固定)、適正な損害賠償額を受け取るためにも後遺障害の等級認定を受ける適正な等級認定を得るためには、書類作成から専門家である弁護士に相談するのがおすすめです。初回相談料や着手金が0円の弁護士事務所もありますので、示談交渉に不安を感じたらまずは弁護士へ相談してみましょう。

【後遺障害認定を弁護士に依頼するメリット】

・後遺障害認定に関する書類作成や審査などは専門的な知識が必要となるため、専門家である弁護士に任せることにより、スムーズに手続きを進めることができる。
・専門家により適正な障害等級を得ることができ、後遺障害慰謝料の増額が見込める。
・ケガをしている中で、心理的な負担を省ける。

↓  ↓  ↓

関連する記事一覧

シェアする